プロ野球でも広がる〝美肌ブーム〟 選手のパフォーマンスも左右する真夏の日焼け対策

本塁打を放ち、デスターシャポーズを決めるDeNAの佐野恵太=横浜スタジアム(撮影・荒木孝雄)
本塁打を放ち、デスターシャポーズを決めるDeNAの佐野恵太=横浜スタジアム(撮影・荒木孝雄)

8月に入っても異常な暑さが続く日本列島。夏の紫外線量は冬の2~5倍にも上ると言われる中、屋外でプレーする機会が多いプロ野球選手は、どんな日焼け対策をしているのか。「男が日焼け止めなんて」と揶揄(やゆ)された時代も今や昔。世間の〝美肌ブーム〟に感化され、美容に気を遣う選手も増えた。近年では日焼け止めを使うことで疲労が軽減されるという研究データも発表され、化粧品会社も積極的な活用を呼び掛けている。

シミ予防にテレビ映えも意識

本拠地球場が屋外なのに、どうしてそんなに白いのか…。ファンの間で「美白」と話題となっているDeNAの佐野恵太外野手は、紫外線のダメージによるシミ予防のため2年ほど前から日焼け止めを使いだしたという。

愛用しているのは化粧品大手・資生堂の人気ブランド「アネッサ」のパーフェクトUVスキンケアジェルNA。汗や水に強いタイプで、「(日中の)練習のときはしっかり。試合のときはべたべたするのが嫌なので薄めに塗ってます」とこだわりを明かす。

ファンの間で美白と話題のDeNA佐野(左)。シミ予防のため日焼け止めを活用している(荒木孝雄撮影)
ファンの間で美白と話題のDeNA佐野(左)。シミ予防のため日焼け止めを活用している(荒木孝雄撮影)

ヤクルトの吉村貢司郎投手も美肌の持ち主だ。「焼けると肌が赤くなっちゃうので」とスティックタイプとジェルタイプの2種類の日焼け止めを使いこなす。テレビ中継では高解像度カメラで表情が鮮明に映し出されることから、試合後のスキンケアに凝っているという選手も多い。

パフォーマンスにも影響

日焼け対策がもたらすのは、美肌効果だけではないようだ。

DeNAの関根大気外野手は自身のパフォーマンス向上のため、徹底的に策を講じている。アンダーウェアと手袋で全身を覆うだけでなく、サングラスから下をファイスカバーで〝完全防備〟。もちろん、日焼け止めも練習の妨げにならない範囲でこまめに塗りなおしているという。

きっかけは5~6年前にさかのぼる。ベテランの石川雄洋内野手(当時。2021年に現役引退を表明)が、暑い日でも長袖で練習していることに気がついた。長袖を着用している理由として返ってきた答えは「日焼けしないほうが疲労がたまらないから」。すぐに真似してみると、練習直後にいつも喉を通らなかった食事が、夏場でも普通に食べられるようになったという。

「疲労を抜くための作業はみんなやるけど、まずは疲労を入れないための作業が大事。暑いけど、日に当たる暑さよりも全然いい」と関根。半袖で練習する若手にも積極的に情報を伝えているという。

屋外球場をホームとするDeNAはスポンサーの花王、ヤクルトは親会社の日焼け止めを常備する。DeNAの河田雄祐コーチは「自分の現役時代とは、暑さも日差しの強さも違う。日焼けは睡眠の質にも関わるし、いまじゃ日焼け対策しないほうがプロとしてどうなの? という時代になってるね」と話す。

サングラスやフェイスカバーを駆使して日焼け対策するDeNAの関根。紫外線を遮断することで疲労軽減につながるという=7月、マツダスタジアム(甘利慈撮影)
サングラスやフェイスカバーを駆使して日焼け対策するDeNAの関根。紫外線を遮断することで疲労軽減につながるという=7月、マツダスタジアム(甘利慈撮影)

紫外線予防で疲労軽減効果も

実際、浴びる紫外線量は疲労度に影響するのか。

化粧品大手コーセーは昨年4月、紫外線と疲労の関係に関する研究データを発表した。男女20人に半袖半ズボン姿で屋外で2時間フィットネスバイクを漕いでもらい、日焼け止めを塗った場合と塗らなかった場合を主観的なアンケートと血中成分で比較。その結果、日焼け止めを塗ったほうがいずれの評価でも疲労感が低くなることが示唆されたという。

コーセーでは米大リーグのドジャースで活躍する大谷翔平を「雪肌精」(せっきせい)の日焼け止め製品のイメージキャラクターとして2023年から起用。男性アスリートを抜擢(ばってき)したことで、店頭で男性や高齢者層が足を止める機会も増えたという。近年では、部活動で屋外活動の多い中高生向けの啓発活動も行う。

コーセー広報の佐藤仁美さんは「日焼け止めはジェンダーレスに使用できるアイテム。紫外線から肌を守るだけでなく、運動のパフォーマンス向上にもつながる。朝起きて顔を洗って歯を磨くように、日焼け止めも生活習慣の一部に取り入れてもらえたら」と呼びかけている。(川峯千尋)

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