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衛宮さん家の弓兵くんと士郎くん 少年期編 大学に行こう/Novel by 大地

衛宮さん家の弓兵くんと士郎くん 少年期編 大学に行こう

6,500 character(s)13 mins

衛宮さん家シリーズ8話目。仲良し衛宮さん家の兄弟は、アメリカに渡った彼らは大学に通うようです。これで、少年期編に掲載していた話とその番外編は終了です。ここから先は、次のシリーズが待ち受けていたり。

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アメリカにやってきて既に一年半という時が過ぎた。

アーチャーの指導の元、各国の言葉を中心に勉学に励んだ士郎の学力は、小学生は愚か中学・高校を超えている。
まぁ、本気で己の資質に見合った魔術を学ぶならば、ある一定以上の知識は必要だったし、いざと言う時に学歴が世間に対してものを言うことがあることを知っていたので、この際大学まで駆け足で学んで貰う予定となっていた。
実用に適う知識を中心に学べば、世界中を武者修行と称して歩き回る事になっても、大概それを元に行く先々で糧を得る術が見付かるだろう。

事実、自分がそうだったのだから。

そんなこちらの思惑に、まだ幼い士郎は必死に付いてくる。
士郎なりに思うところはあるだろうし、自身の目標として色々と考えている所もあるだろうから、こちらは士郎の頑張りに合わせて学んで身に着くレベルを見極めつつ、完全に無理荷はならないように気を配って学習用のカリキュラムを組んだ。
一年半程で高校レベルまで上げておいてと言うかもしれないが、どこか遠い世界では高々数週間で大学レベルまで学習させているなんてフザケタ話もあるし、これくらいは問題ないだろう。
それに、学習内容にノルマを課した訳でもない。
士郎の様子を見ながら、過負荷になり過ぎない程度に考えたペースで学習させているのだ。
本人のやる気に合わせている分、周囲から文句を言われる言われもない。
なにより、士郎に合わせてアーチャーも同じように大学に通っていた。
それが士郎のやる気を引き起こしているらしく、自分から進んで知識を求め、己を鍛えているのである。
どうやら、士郎の現在の目標はアーチャーらしく、それを目指して日々鍛えていると言うのが実情らしい。
それをアーチャーも判っているから、士郎に無理が掛からないように気を配りつつ、己が持つ知識の復習を兼ねて大学の学習を決めていた。
そう、アーチャーはかつての記憶や知識をかなり持っていたので、本来は大学で学ぶ必要はなかったのだ。
ただ、それでは世間向きの学歴にならない為、復習も兼ねて士郎に付き合い学校に通っていたのである。
ついでに、前の生を生きていた頃には得る機会がなかった専門的な知識を得るのも悪くないと考えたからでもあるが。

結果として、二人が学んでいるのは工学部のマテリアル工学科。

士郎とアーチャーの属性が剣である為、学んで損はないだろう。
むしろ、より正確な投影をする為には、使用された武器の材質の性質まで把握していた方が、利点が多かったのである。
また、この新たな知識を根底に置き、最近は新たな試みも始めていた。
単に剣の投影をするだけではなく、新たなレアメタルなどの情報が入れば、それらの情報を投影する際に工程の中に組み込んで新たな剣、もしくは一部の性質を変化させた剣を生み出しているのである。
もっとも、今の所はもっぱら現在ある剣や奇跡や聖なる力、魔の力を宿していない普通の剣にしかその技は適応できないのだが。
それに関しては、今は特に気にしていない。
いずれ自分で変化の一つとして、魔力属性の付加ができる方法を考えるつもりだから、それが成った際に改めて考えるつもりなのだ。

まぁ‥‥そう言う訳で、士郎とアーチャーの二人は、アメリカでも工学系では最高と言われるマサチューセッツ工科大学に通っていたりする。(笑)










士郎の毎日は、アーチャーとのキスから始まる。
正確に言えば、アーチャーとのキスと言う挨拶から始まる。
どこの新婚さんかと思われるかもしれないが、実は違う。
そうして毎朝ラインを通し、士郎の体調や魔術回路の状態を確認していたのだ。
ここで一つ気になるだろう点となるだろう、アーチャーがその確認を取る理由だが、それは以外に単純なものだった。

士郎とアーチャーの存在が、もともと同一人物から分化したような存在である事もあり、互いの魔術回路の状態をほとんど互いに負担を掛けずに、簡易のラインを通して調べられるからである。

もちろん、同じような事を切嗣も可能だが、簡易パスではアーチャーが関知して確認するレベルまでは不可能に近かった。
しかも、切嗣は身体に過負荷の掛かる呪いが掛かっていたのを、アーチャーの作り出した「ルールブレイカー」で解除したばかり。
『ルールブレイカー』で解除できたのは、あくまで『聖杯』から零れ出た『泥』が媒体としてそれまでずっと切嗣に流し続けられていた『呪い』との繋がりだけであり、既に流し込まれてしまった『呪い』そのものは完全に解除する事は出来なかった。
アーチャーの実力ならば、本物からワンランク下がるだけの投影が可能なはずなのだが、切嗣を蝕む『呪い』が解除できなかった現実は現実として受け入れるしか仕方がないのだ。
誰もがそれが判っていたので、永続的に『呪い』が流し込まれる状況が回避されただけでも『良し』と考えているらしい。

まぁ、そんな理由から体を蝕んでいる『呪い』の症状がこれ以上酷くならないように、それを押さえ込む為の労力は未だに必要で。

魔力的にも体力的にも、今は無駄に消費しないように現状維持に専念すべき状況だった。
だから、士郎のチェックはアーチャーの役目で、朝の挨拶も兼ねたそれは毎朝必ず行われているのである。
なせ、それが毎朝必須の日課になっているか?
それは、士郎がまだ子供であるが為に、ちょっとした事で魔力暴走を起こす可能性があったからだったりする。
朝の挨拶を兼ねたそれが終わると、そのまま顔を洗ってキッチンに向かう。
朝の支度はアーチャーの担当なのだが、士郎もそれの手伝いに入るのだ。

基本的に、食事は洋食や中華が多い。
日本の食材は、昔に比べれば比較的簡単に手に入るが、それでも割高だったり味がかなり落ちるのだ。
だから、アーチャーの創意工夫を凝らした和風ベースの洋食だったり、洋食の素材を使った新しい感覚の和食だったり、そのまま中華になったりする。
その中でも余り時間が掛けれない朝は、洋風なそれでいて所々和風なものとなるのが通例だった。
文字通り和洋折衷な朝食を、手際良くアーチャーが作り、それを手伝いながら出来た朝食をダイニングテーブルに並べるのが、朝の士郎の役割だ。
「今日の朝ごはんは、なに?」
既にキッチンで下拵えを済ませているアーチャーに、士郎は手を綺麗に洗いながら尋ねる。
「今日は、先日貰った良い米があったのでな。
ごはんにワカメと玉葱、ジャガ芋の味噌汁、出汁巻き卵にホウレン草の胡麻和えの予定だ。」
手際良く専用のフライパンを使い、出汁巻き卵を焼きながら答えてくれるアーチャー。
その言葉に、嬉しげな笑みを浮かべると、士郎は食器棚からメニューに合わせた皿や器を取り出して準備を始めた。
「そうだ、別に皿を用意してくれ。
昨日の晩から煮込んでおいた、イワシの甘露煮も出すからな。」
焼き上げた厚焼き卵を専用のまな板の上に移しながら、てきぱきと指示を出すアーチャーの声に、士郎は頷き少し深めの皿を取り出す。
甘露煮のイワシは、深皿に盛って煮汁を掛けて置いた方が食べる時に味が更に染みて美味しい為、アーチャーがそれを作ったら大概は深皿に盛るのだ。

ちなみに、イワシの甘露煮は士郎の好物の一つだったりする。

子供の味覚にしては、それを好むのは微妙に渋いと言われそうだが、実際にそうなのだから仕方がない。
もちろん、子供が好きなハンバーグやカレーも大好きだ。
だが、ジャンクフードをこよなく愛する切嗣に、一時的にハンバーガーを立て続けに食べさせられて以来、ファーストフード系のジャンクフードが、まったく受け付けなくなるほど嫌いではないが、どちらかというと苦手というものになっていた。
それに関して、流石に悪かったと思っているのか、切嗣は最近ジャンクフードを食べるのを控えるようにしている。

まぁ‥‥「無理に食べなくても、アーチャーの美味しいごはんがあるのだから」と言うのが一番の理由らしいが。

実際問題、ジャンクフードに頼りきりの切嗣の食生活の改善は良いことだから、誰もがその変化を喜んでいた。
添加物が多いジャンクフードより、家で作るきちんとした手料理の方が、身体のためには間違いなく良いのだから。
アーチャーと士郎が揃ってキッチンに立ち、朝ごはんは仕上げていると、漸く起き出してきた切嗣が席に付く。
ほぼ支度が終わっていたテーブルに、少し寝ぼけた様子で席に付いた切嗣は柔らかな笑みを浮かべると、二人に向けて朝の挨拶をする。
「おはよう、アーチャーに士郎。
今朝もなかなか美味しそうな朝食だね。」
椅子に座り、いつの間にかやってきていたアーチャーが注いでくれた、淹れたてにしては少し温めのお茶を受け取ると、嬉しげにそれを啜る。
食事の前の一服が、切嗣の朝の習慣だった。
ゆっくりと一杯の茶を飲む事で、眠っていた身体を完全に覚醒させる事が出来る為、毎朝欠かさずに起き抜けに少し温めのお茶を飲む。
熱いお茶では、最初の一口を飲むのに少し時間が掛かってしまう。
それでは朝食が遅くなる為、アーチャーは少し温めになるように、本来ならば湯飲みを温めていれるお茶を、湯飲みを温めずに注ぐ。
そうする事で、熱いお茶が湯飲みによって冷やされ、淹れたての熱いお茶より飲みやすくなるのだ。

冬場はそれだけで良いが、夏場はそれでは余り冷えない。

なら、麦茶で良いじゃないかと言いそうだが、熱いお茶だから意味があるのだ。
その為、お茶を淹れる役割を受け持っている士郎が、一つ気を配っていた。
夏場は湯飲みを先に冷やしておいて、そこに熱い淹れたてのお茶を注ぎ、飲みごろの温度に冷めるように気を配っているのである。
そうして切嗣がお茶を飲む間に、アーチャーが朝食の最後の支度を済ませていた。
「改めて、おはよう切嗣。
早めに支度を済ませたつもりだった、少し待たせてしまったかな。」
完成した最後の品と共に、キッチンからダイニングに姿を見せたアーチャー。
先にキッチンからダイニングに来て、切嗣にお茶を出していた士郎は、既に切嗣との挨拶を済ませている。
「さて、みんな揃った事だし、ごはんにしようか。
では、いただきます。」
アーチャーが席に付くのを待ち、切嗣が手を合わせれば、士郎たちもそれに併せて手を合わせ、食事を始めた。


三人の朝食は、基本的には穏やかな調子で進む。
食事の合間に会話が無い訳じゃなく、騒々しいまで騒ぐ者がいないのだ。
基本的に、士郎もアーチャーも朴訥な性格で、自分から話をしても騒がしいまでは行かない。
切嗣も、以外に賑やかに話す方ではない為、のんびりとした会話が食事の合間に交わされる事が多かった。
内容はと言えば、そのほとんどが士郎とアーチャーが通う大学の勉強や、その交遊関係などが中心だ。

少なくても、朝っぱらから魔術にかかわる話題は振らないのが、暗黙の了承となっていた。
それに、士郎が学ぶべき魔術関連の知識は、既にそのほとんどを習得しているアーチャーが毎晩マンツーマンで教えている為、以外と切嗣が教える事は少ない。
最初こそ、士郎が魔術に関わる事を嫌った切嗣だったが、アーチャーから聞いた士郎の持つ性質を考えれば、下手に何も知らないまま突っ走るよりも、きっちり自衛手段を学んだ方が良いと思ったのだ。
実際問題、その果てがアーチャーであり、本人は自分殺しをしたくなる程まで追い詰められていたなど聞けば、むしろ幾つもの手段を知る方が良い。
既に「」に到達し、それを知ってしまった事を無いものに出来ない以上、何もできない方が危険だ。

色々な意味で、士郎は魔術にかかわる事は避けられなかったのである。

だから、切嗣は士郎の魔術等の習得をアーチャーに任せ、自分は身体を癒しつつも裏社会の情報を探り、自分を含めた士郎たちの痕跡や情報を消し、三人の行き先を判らなくした上、どういう子供なのか正確な事が判らないようにまず手を打った。
もちろん、全ての情報を消すのは問題があるだろうから、士郎とアーチャーが聖杯戦争の最終決戦に巻き込まれた地域での生き残りであり、それを助けた行き掛かりで切嗣が引き取ったと、最低限の情報を出しておく。

これで、まず士郎とアーチャーを深く疑う事はあるまい。

万が一、その存在を知った魔術師たちが居たとしても、孤児を引き取った理由の大半は聖杯戦争絡みのしがらみと受け取るだろう。
もしかしたら‥‥その中に士郎たちを切嗣の後継者として見るかもしれない。
それでも、士郎たちの本当の事を知られる事に比べれば、かなりマシなこと。
切嗣は、そう考えて打てる手を打つのは全て打っていく。
自分だけでは打ち切れない事に関しては、ありとあらゆるツテを使い、それが出来る相手に頭を下げて頼み込んだ。
その結果、思わぬ人物にまで伝手が出来てしまったのだが。

その相手こそ、かの有名な宝石の翁こと、魔法使い「キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ」その人だ。

まぁ、士郎とアーチャーが「」に到達してしまった時点で、その事実に気が付いて会いに来ようとしていたらしい。
ただ、あの一件の直後の士郎は、切嗣とアーチャー以外とまともに話せない状態だったし、アーチャーもそんな士郎に掛かり切りで。
宝石剣の力の一つを使い、こちらの様子を伺っていたらしい彼は、こちらに来ても構わない時期を選んでいたところに、こちら側からの連絡があったらしいのだが。
とにかく、魔法使いの筆頭とも言うべき宝石の翁との邂逅以来、ミスブルーらとも顔馴染みとなる事になり。

いざと言う時には、強力な後ろ盾を得る事は出来た。

彼らにしても、士郎とアーチャーを放置しておくつもりは無かったらしい。
まぁ、それも当然だろう。
何も知らない幼子の身の上で「」に到達してしまった者を、そのまま捨て置けばどんな争いの元になるか判らないのだ。
切嗣が引き取ったから良いようなものの、言峰のような者の所に引き取られでもしたら、最悪な事態を招いていただろうから。

あの時、切嗣が引き取っていなかったら、ゼルリッチは士郎とアーチャーの二人を引き取られた先を見極め、そこが彼らを育てるのに問題がある家ならば、例え未成年者略取になったとしても、自分の元に引き取るつもりだったのだ。
少なくとも、「」に触れた士郎やアーチャーを、言峰や間桐の元に置く訳には行かないのだから。


そう言う点では、今の養い親である切嗣は、文句無しなのだそうだ。
切嗣に掛かっている聖杯から零れた泥の呪いも、俺たちがもう少し年齢を重ね安定した力を使えるようになれば、それを浄化するだけの宝具の投影も可能らしいから、出来るようになったら真っ先にしようと士郎と話し合い済みだったりする。
だって大好きな切嗣がそんな事で死んでしまうなんて、絶対に嫌だと思ったからだ。
はるか遠い昔、まだ英霊になる前の幼い頃の無力だった俺とは違うのだ。

切嗣が死んだ理由がその身に降り掛かり続けた『呪い』だったと言う真実を知り、いずれ自分たちにそれを取り除く力が身に着くと言うなら、絶対に早く身に付けて切嗣を助けてやる!

半ばそれは俺の誓いとなり、士郎の願いとなっていた。
自分たちを助けてくれた切嗣を、今度は自分達が救うのだ。
心の底からそう思いながら、俺と士郎は勉学と魔術の両立を続けるべく日々鍛錬を続けたのだった。

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