【谷繁元信】優勝するには必ず劇的なドラマが 井端監督の采配が侍ジャパンの命運握る
いよいよ本番を迎える侍ジャパンのメンバーへ、リスペクトを込めてエールを送りたい。 【一覧】WBC 侍ジャパンの日程 (表示は日本時間) 僕も経験があるが、日の丸を背負って戦うには、相当な勇気と覚悟がいる。プレッシャーという言葉を超越した心境になる。前回大会でその重さを乗り越え、歓喜を味わった経験があるメンバーが主力だからこそ、期待も大きい。 現在のメンバーの大半は子どものころ、1、2回大会で優勝したイチローらに憧れ、野球を続けてきたはずだ。大谷や山本ら、夢となる選手。周東、源田ら体は小さくても、スピードや守備を磨けば、トップ選手になれる目標、お手本になる選手がいる。子どもたちが選手に憧れを持ち、野球を始める、続けるきっかけになればと思う。世の中が盛り上がり、日本が元気になる戦いをしてくれることを願っている。 連覇といっても簡単ではない。むしろ道は険しいと思う。まず1次ラウンドでは初戦の台湾戦はカギ。昨年のプレミア12で敗れた相手だ。メンバーが違うとはいえ、グループCの中では韓国より総合力では上だとみている。 登板間隔が空いた山本が先発する予定で、実戦感覚が気になるところ。立ち上がりが、ポイントになるだろう。強化試合では無安打だった大谷は、本番になればスイッチが入って実力を発揮すると思う。 先を見据えれば、一戦ごとに投打の調子を上げていく必要がある。以前にも解説したが、これまで日本が制した3大会では、チーム防御率は2・5以下だった。野球は投手陣が中心。しかし強化試合でも、勝利への継投の形が見えず、どうしてもリリーフ陣が不安としてある。1次ラウンドを突破すれば、スクランブル態勢となる。先発から中継ぎ、抑えと、誰をどうつないでいくのか。その見極め、起用はすごく重要だ。 準々決勝ではドミニカ共和国かベネズエラとの対戦が予想される。米国とは決勝でしか当たらないが、今回、メジャー組が主力の国は本気度が違うと思う。チーム編成で米国、ドミニカ共和国が投手陣を強化したのは、その表れだ。これまでWBC開催時にはシーズンを重視し、7、8割程度の調整しかしなかったメジャーの選手たちが、100%近くの状態に仕上げる調整をしているという。そこまでライバル国が、日本に勝ちたいと本気にさせたのは大谷の存在だと思う。 過去、優勝した1回大会では準決勝の韓国戦で福留が2ラン。不調で先発から外れ、代打で値千金の1発を放った。2回大会決勝の韓国戦ではイチローが、延長10回に決勝打を放った。不振で当初の3番構想から1番へ打順変更を余儀なくされながらも、試合に出続けた結果だった。前回大会の準決勝メキシコ戦では、不振で4番から外れた村上が2点二塁打を放って、サヨナラ勝ちしたのは、記憶に新しいだろう。 優勝するには必ず劇的なドラマが起きている。それを演出したのは、歴代の王監督、原監督、栗山監督の采配だった。野球は何が起こるかわからない。選手の好不調の状態、対戦相手や試合展開によっては、メジャー組であれ、オーダーを変更するなど、厳しい決断が迫られる。負けられない戦いでは、井端監督の采配が日本の命運を握っている。(日刊スポーツ評論家)