谷繁の2000本安打の裏に潜む「敗北を拒否する意志」
チームメイト、井端弘和は、谷繁について、こう語る。 「野球が大好きで決して妥協を許さない。勝ちにこだわる執念、執着心は凄い。だから1打席への集中力がある。キャッチャーというポジションも手伝っているのかもしれませんが、打たれて悔しがっている投手以上に谷繁さんが悔しがっている。そういう姿をずっと見てきた。野球にかける気持ちは、チームで一番じゃないですか」 勝利への強いこだわりと、「負けたくない」との思い。 名キャッチャーの先人、ノムさんや、古田敦也さんが、クリーンアップを任されながら積み上げてきた2000本と、下位打線にずっといた谷繁が、積み上げた2000本では確かに少し意味合いが違っている。飛び抜けた打撃センスの結晶ではなく、谷繁が、ずっと継続してきた勝利という名のチーム貢献、執着心の結晶だと思う。 配球通りに投げることのできない投手に対する苛立ちをモロに見せたり、ベンチに対して、手で「×」マークを作って、投手の状態の悪さを伝えるようなことをしたこともある。 谷繁の「負けたくない」という強い気持ちを現す象徴的なシーンでもある。彼は、おめおめと、敗者になり下がることをずっと拒否し続けてきた。その強い意志の力こそが、谷繁のプロフェッショナリズムであり2000本安打を打たせた原動力なのかもしれない。 迫りくる次なる記録が、通算1000打点である。これもまたずっと7、8番を打っていた人には、前例のない大記録であり、チーム貢献の結晶である。 こういう人こそ間違いなく将来の監督となるべき資質を持つべき人物なのだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ) ―――――――――― サンケイスポーツの記者としてスポーツの現場を歩きアマスポーツ、プロ野球、MLBなどを担当。その後、角川書店でスポーツ雑誌「スポーツ・ヤア!」の編集長を務めた。現在は不定期のスポーツ雑誌&WEBの「論スポ」の編集長、書籍のプロデュース&編集及び、自ら書籍も執筆。著書に「実現の条件―本田圭佑のルーツとは」(東邦出版)、「白球の約束―高校野球監督となった元プロ野球選手―」(角川書店)。