light
pixiv's Guidelines will be updated on March 18th, 2026.
View details
The Works "オカン誕生の日" includes tags such as "Fate/GrandOrder", "ぐだ子" and more.
オカン誕生の日/Novel by 茶豆

オカン誕生の日

1,894 character(s)3 mins

エミヤ(アーチャー)が来て間もない頃のとある日のカルデアの話。主人公はよく寝ている印象があったのでもしかしたらこういった誕生秘話があったのかなと。

1
white
horizontal

 カルデアの内部が簡易的に書かれた地図を片手に、廊下を歩くこと数分。
建物が広く部屋数も多いことからまだ全ての部屋を把握できてはいないものの、大体の場所は把握できたので良しとしよう。
(あとはマスターに私の部屋を聞かなければならないのだが・・・。)
実はというものの、召喚されてから数日しか経っておらず未だ自室があてがわれていないのだ。一度は断ったものの「なら、令呪を使う!」などと言いくるめられてしまった。
本来であれば、この探索もマスター自ら案内をする予定だったようだが、連日のレイシフトによる疲労で顔色が優れなかったのでここは丁重にお断りした。あまり納得していない様子ではあったが、疲労で倒れてしまっては元も子もない。
「ふむ、マスターの部屋はこっちか」
くるりと来た道を回り再び廊下を歩いていく。途中、マスターの後輩でもあるデミ・サーヴァントの少女が慌てた様子で廊下を走っていたのが気にかかったが今はマスターの部屋へ行くのが先だ。何しろこちらも強引に話を進めてしまったからな。遅れてしまっては小言を言われてしまうかもしれない。
マスターとは会って間もないが、強引な性格だということがここ数日で分かってしまったのだからこの先は気苦労が絶えない日々を過ごすに違いない。
「・・・っと、確かこのあたりのはずなんだが」
地図と場所とを見比べ道を間違えていたことに気付く。考え事をしていたせいかどうやら一本道を間違えていたらしい。
仕方ない、戻るか。そう思い踵を返そうとした瞬間、曲がり角の向こうからもぞりと物音が聞こえてきた。
(誰か居るのか・・・?)
ぴたりと足を止め、音がした方へ神経を集中する。が、しかし敵の反応は感じることは出来なかった。とはいえ、万が一のこともある。放っておくのは得策ではないだろう。
エミヤは先に進みたい気持ちを抑え、物音がした方へゆっくりと近付いていった。
一歩、また一歩と近付いていく。辿り着いた先には倒れている人影・・・いや、マスターを見つけた。
「お、おい・・・!マスター!大丈夫か?」
何事かと思い、慌てて駆け寄る。
(まさか敵襲?いや、敵性反応は感じなかった。だとすればこの状況は一体・・・。)
呼吸に乱れはなく、衣服や体にこれといった外傷は見当たらない。だが廊下で倒れていたのは紛れもない事実。エミヤはここで何かがあったとしか思えなかった。
 「先輩ー!どこにいるんですかー?いたら返事を・・・って、アーチャーさん!?」
と、するとどうやら彼女を探していたらしい、マシュが走りながらやってきた。
「アーチャーさんどうしてここに?・・・ああ、先輩も一緒だったんですね。良かった、やっと見つけました」
私の腕の中で未だ目を覚まさないままの彼女に慌てる様子もなく、ただ何でもないことのよう話す彼女はいつも通りで落ち着いている。どうやら、この状況が理解出来ていないのは自分だけのようだ。
「あー・・・。すまない、マスターが倒れていたんだが?」
「先輩、こうして眠ってしまうことが時々あるんです。でも、その度に寝る場所が違ったりするので探すのに苦労していて・・・」
コホンと咳払いを一つ。状況を説明して欲しいと促すと彼女はあっけらかんとその言葉を口にした。
こっちの気も知らないでいつもこうなんですよ、困った先輩を持つというのは大変ですね。などと言いつつマスターに近付く彼女は怒った様子もなくどちらかというと穏やかな表情だった。
「倒れていたのではなく、ただ眠っていただけか・・・」
敵襲などではないことに安堵するものの、あまりにも無防備すぎる彼女に頭が痛くなる。そして、彼女のこの手慣れた様子と対応から察するに、寝ること自体珍しくなく寧ろ頻繁に行われているということが更に頭痛を悪化させた。
大きな溜め息が口から漏れ、彼女に何事かと首を傾げられる。が、なんでもないと返し、マスターを部屋へと運ぶ。この様子では当分起きないだろう。特に急ぎの話でもないし、起きるまで待った方が良さそうだ。
「あ、あの・・・?アーチャーさん?」
何も言わずそのまま歩こうとする私におろおろとする彼女だけがその場に取り残される。
「連れて行くのだろう、マスターを。だが生憎私はここに来たばかりでね。あまり道が分からない。よければ道案内を頼みたいのだが」
と言うと嬉しそうに「はい、お任せ下さい!」と、とても良い返事が返ってきた。

 後日、マスターがアーチャーにこぴっどく叱られたのは言うまでもない。


Comments

There is no comment yet
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
© pixiv
Popular illust tags
Popular novel tags