話題と衝撃、中心は大谷翔平 現場で見たMLB初の韓国シリーズ

2024年03月25日11時00分

  • X
  • facebook
  • hatena-bookmark

 米大リーグの開幕シリーズ、ドジャース―パドレスが3月20、21の両日にソウルで行われ、1勝1敗の結果だった。韓国で初めて開催された公式戦は、ドジャースに加入した大谷翔平選手の新天地デビューも重なって大きな注目を集めた。結婚を発表したばかりの大谷に、妻の真美子さんが同行したことも話題に。ドジャースでは、オリックスから移籍した山本由伸投手が2戦目でメジャー初先発。パドレスは、開幕戦で先発したダルビッシュ有投手が大谷と初めて対決し、楽天から移った松井裕樹投手は救援で連投デビューした。
 見どころ満載の2試合となったが、その間、大谷とコンビを組んできた水原一平通訳の解雇という衝撃的な出来事も起きた。韓国シリーズの取材現場をリポートする。(時事通信ロサンゼルス特派員 峯岸弘行)

夫婦そろって空港ロビーに

 大谷は2月29日に米アリゾナ州グレンデールのキャンプ施設で結婚を発表し、相手について「普通の日本人です」と説明した。パドレスとの開幕シリーズが行われる韓国に向かう3月14日。同州フェニックスの空港で航空機に搭乗する前、真美子さんとのツーショットが撮影され、自身のSNSで公表した。

 そのニュースはすぐに広まり、韓国の仁川国際空港では日本、韓国、米国などのメディアや、多くのファンが待ち構えた。15日の空港到着時には夫妻そろって登場し、国内外で反響を呼んだ。大谷は翌16日の記者会見で「公式戦自体を見るのもたぶん、一緒に来てというのも初めて。そういう意味ではいい思い出になると思うので、そこも含めてまず、自分のやるべきことを一生懸命やることに集中したい」と語った。

 デーブ・ロバーツ監督によると、約13時間のフライトで「翔平は11時間寝ていた」といい、時差調整は順調な様子だった。ただ、長距離移動の負担が全くなかったわけではない。16日の練習日を挟み、17日は韓国プロ野球のキウム、18日には韓国代表とのエキシビションゲームに出場したが、2試合で5打数無安打、2三振。「体が硬かったので、構えから違和感があった。そのせいでゾーンがちょっとずれていた」と大谷。19日は自主参加の練習があったグラウンドに姿を見せず、体のケアを十分に行って開幕戦に備えた。

ダルビッシュと初対戦

 迎えた開幕戦。試合前には爆弾テロ予告があったが、厳重な警備の下で無事に開催された。大谷は2番指名打者で先発出場。1番はベッツ、3番はフリーマンで、リーグ最優秀選手(MVP)の経験を持つ「ビッグスリー」が並ぶ豪華打線がお披露目された。

 パドレスのマウンドは、これまで対戦のなかった開幕投手のダルビッシュ。「小さい頃から見ていて大好きな投手」との対戦に胸を躍らせた。一回に打席に向かうと、韓国の野球ファンからの大きな声援も。初球は内角高めの約154キロで、体をのけぞらせるようなボール球に球場はどよめいた。4球目の速球を打ちにいき、最初の対決は遊ゴロに倒れた。

全開のスイング

 第2打席は三回2死。3球目の内角球に反応し、右翼方向へ特大のファウル。米メディアによれば、この打球速度は約192キロで、これまでの自己最高に匹敵するような数字が出た。昨年9月に受けた右肘手術の影響を感じさせない全開のスイングで、客席からは驚きの声が上がった。

 そして外角高めの速球を右前打。ドジャースのユニホームと帽子を着用してスタンドで応援する真美子さんの前で、移籍後の初安打を記録した。直後には、キャンプで走塁練習に力を入れてきた成果を示すように、二盗を決めた。

 大谷はダルビッシュとの力比べを終え、「(打席で)会釈くらいしたかったけど、ピッチクロック(投球間の時間制限)で時間がなかったので、塁上からという感じになった。球も素晴らしく、何とか一本打てた。ここから何回もやっていくと思う」と充実感のある表情。開幕戦に関しては「最後まで試合に出られたことが一つ、術後の経過として、そういうスタートを切れたのが一番よかった」とうなずいた。

「不思議な感じだった」

 対するダルビッシュは「一緒にトレーニングしていた時期があるし、いろいろな今までの関係というか、そういうのもあるから、不思議な感じだった」。内角を厳しく攻めるシーンがあった一方で、安打を打たれた後の心境を吐露した。「自分の中では、ニコッとしてしまって。何だかんだ情が入っていたんだなと思う」

 開幕投手は2年ぶり4度目で、四回途中まで投げて1失点(自責点0)。今季初登板ということで球数の制限もあり、72球で降板した。「絶好調ではなかったが、粘りながら試合をつくれた」と納得のマウンドだったようだ。

記憶に残る連投 松井

 この試合では松井もデビューを飾った。六回1死から4番手で登板し、3分の2回を投げ、奪三振と与四球が一つずつ。「緊張した。下半身があまり使えないというか、それぐらい、ふわふわした気分になったのは本当に久しぶり。そういうのも含め、すごくいい刺激を受けた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 翌日は、七回に大谷が打席に立ったところで登板。初球を右翼フェンス手前まで運ばれたものの、右飛に打ち取った。松井にとって記憶に残る開幕2連投となっただろう。

ほろ苦い初登板 山本

 21日の第2戦は山本がメジャー初先発。12年総額3億2500万ドル(契約時のレートで約460億円)の大型契約で入団した右腕は、キャンプ、オープン戦でアピールし、2戦目を託された。

 しかし、持ち味の制球が定まらず、一回に長短4安打を浴びて5失点。二回のマウンドに上がれず、乱打戦の末にドジャースが敗れ、山本に黒星が付いた。「立ち上がりからコントロールがうまくできず、ピンチを広げてしまい、そこから失点につながってしまった。試合に負けてしまったという悔しさがすごく大きいし、その責任を感じている」。ほろ苦いデビュー戦となった。

成功裏…後味の悪さも

 韓国で初のメジャー公式戦とあって、両チームの練習中には大リーグ機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーや、大リーグOBのケン・グリフィー氏、CC・サバシア氏らが駆け付けた。昨季までブルージェイズに在籍し、韓国のハンファに移籍した柳賢振が多くの報道陣に囲まれる場面もあった。試合前には連日、グラウンドで人気アーティストが曲を披露し、コンサート会場のように球場を盛り上げた。

 試合会場の高尺スカイドームは、グラウンドのサイズは米国や日本と変わらないが、客席数の少なさが当初から懸念され、実際に観衆は開幕戦が1万5952人、2戦目が1万5928人だった。ただ、韓国出身でパドレスの金河成内野手を応援するファンはもちろん多く、大谷のユニホームを着た韓国の野球ファンも目立った。観客の数以上に成功した開幕シリーズと言えるだろう。

 残念だったのは、試合以外の部分で、盛り上がりに水を差すような事態があったことだ。違法賭博への関与を報じられ、21日の試合前、ドジャースは水原通訳の解雇を発表。大きなニュースとしてクローズアップされ、後味が悪くなってしまったのは否めない。

◆スポーツストーリーズ 記事一覧

MLBフィールド バックナンバー

話題のニュース

オリジナル記事

(旬の話題や読み物)
ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ