プロ野球界に入った選手は「いかに早く体をつくって活躍するかを目指す」(川村さん)のが一般的だ。ただし、筋肉量を増やすことを目的とした「肉体改造」を短期間で行うと、成果の出やすいところにだけ筋肉が付き、かえってバランスが悪くなったり、けがのリスクが高まったりしてしまう。「段階的にやっていけば、一番安全に(体づくりが)できる」。大谷は、トレーニングが行き届きにくい尻周りや太もも裏もじっくりと鍛えてきた。それが投打のフォームに生かされ、今季の活躍につながった。長年にわたる積み重ねの結果として、27歳の大谷がいる。
長い年月をかけて、柔らかさのある大きな体をつくりあげ、技を磨いてきた大谷。故障に見舞われながらも、二刀流を可能にする体の使い方を身につけ、それが今季、花開いた。川村さんは「単純に去年から今年へと変わったわけではなくて、プロ野球選手になってから体をつくっていった成果が、今出ている」と力説する。
◇投手の疲労、どう乗り切るか
大谷は今後、どのような野球人生を歩んでいくと予想されるのか。「打撃の方は、機会さえ与えてもらえれば、ある程度の結果は必ず出せる」。高校生の頃から飛距離を生む技術には目を見張るものがあり、川村さんも「日本人の中で、それができる選手はしばらく現れないだろう」と感じたほどだ。
懸念されるのは、投手としての疲労。「どんなピッチャーだって、シーズンを通してやることさえも難しい」。ましてや大谷は、160キロ超の快速球を投げる力投派だ。投げているうちに肘や肩の痛みが出て、投球を中止しないといけない時期が出てくるという。「早いところでは来年、もしかしたら今シーズンのオフにも必ず訪れる問題になる。そこをどうやって乗り切るのかが課題」と指摘する。
投げることを一時的にやめた場合に、打者に専念するのか、打撃すらもできない状態になるのか。川村さんは「二刀流が20代の後半は続いていくと思う」とした上で、「そのうち、投げられなくなるような、長期離脱のような状況も招くのではないだろうか。その時に、どっちにするんだ、というところが必ず浮上してくる」。痛みの度合いにもよるが、そうした分岐点に差し掛かる可能性も言及している。来季以降のさらなる活躍、そして再び壁にぶつかった時の選択肢―。大谷には今後も、あらゆる角度から熱い視線が注がれるだろう。
(2021年10月24日掲載)
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