大谷翔平は「剛」「柔」「技」 筑波大監督の川村卓准教授が分析

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公立の進学校で甲子園出場

 大谷の投打にわたる活躍を専門的な見地から分析する川村准教授は、野球コーチング論の研究者であり、同時に母校・筑波大野球部の監督として指導の現場にも立っている。まさに「二刀流」。元甲子園球児の経歴もキラリと光る。

 北海道の進学校、札幌開成高3年だった1988年。第70回全国高校野球選手権大会に出場した。同校初の甲子園切符をつかんだ当時を「練習時間は2時間ほど。公立では強いかな、というくらいのチームだった」と振り返る。強豪校に勝つため、特に工夫を凝らしたのが打撃。「良い投手を打つための練習をしていた」。外角いっぱいに来る球などを常に想定し、「(バットを)短く持って、コツコツと」を磨いた。「そこだけをやっていた。(レベルが)同じくらいの公立が相手だと、振り回している方が得点力があって、負けちゃうことが結構あった」と笑う。

◇川崎憲次郎投手から安打

 たどり着いた甲子園の大舞台。初戦で超高校級の剛腕、川崎憲次郎投手を擁する津久見高(大分)と対戦した。その秋、プロ野球ヤクルトにドラフト1位で指名され、後にエースとして沢村賞にも輝いた右腕から、川村さんは一回に先頭打者で中前打を放った。

 筑波大に進学して野球部の主将。大学院修了後は北海道の浜頓別高監督を経て、2001年から筑波大で指揮を執っている。大学の准教授としては、指導現場で生かせる研究を目指し、プロ野球選手への助言なども行う。いずれも現役引退後に筑波大大学院で学んだソフトバンクの工藤公康監督、ロッテの吉井理人投手コーチ、DeNAの仁志敏久2軍監督がそろって川村さんの講義を受講したこともあるという。

 これまでに1000人以上の打撃フォームを分析してきた川村さん。大谷の打撃を解析する際には、動画から角度などを算出している。各選手を把握するためには、特徴が似ている選手と比較することが多い。大谷に関して一番の比較対象としているのがオリックスのT―岡田選手。「頭を残して、ノーステップで体重移動」する点が共通しているという。10年にパ・リーグの本塁打王になったT―岡田。翌年春に分析をした際、川村さんにとって発見があった。「頭が動かないから重心をそんなに移動しないで打つのかな、と思っていたら、結構移動することが分かった」。今の大谷も似たメカニズムでパワーを生み出しているという。

◇必要な筋肉を過不足なく

 大リーグの本塁打王まであと一歩、先発投手でも10勝に迫った大谷。ベーブ・ルース以来の「2桁本塁打、2桁勝利」という世紀にまたがる快挙は来年以降に持ち越したが、おそらくは世界中の野球関係者もファンも想像すらしていなかった次元に足を踏み入れた。何がそれを可能にしたのか。

 人並み外れた体力を要する二刀流。投球フォームの変化にあるように、体の使い方を工夫していった。川村さんは「もともと体力がある上に、疲労を残さないようにと、何とか体を効率よく使うことを追求していった結果」とみる。それ以上に、計画的に肉体をつくってきたことが大きいという。

 日本ハムでルーキーイヤーを過ごした後のオフ。当時19歳の大谷は川村さんを訪ね、球速を上げるために必要な体の使い方などを学んだ。体づくりに対する意識はひときわ高く、野球選手としてのピークとされる20代後半に照準を合わせ、逆算しながら、必要な筋肉を過不足なく付けていった。

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