46本塁打という素晴らしい結果を出した大谷だが、後半戦はペースダウンした。川村さんは「オールスター以降、低めの球をホームランにしにくくなった」と指摘。大リーグでは、打者の傾向がすぐにデータ化され、苦手なコースを攻められるようになる。シーズン序盤で低い球を本塁打にしていた大谷に対し、高めを突いてくる配球が多くなった。大谷もこれに対応して「上からたたくような打ち方をして、飛距離を出していくように変えた」。すると今度は、相手が低めに投げてくる…。こうした「いたちごっこのような」攻防が繰り返された。
オールスター戦を迎え、大谷は本塁打競争にも出場。これは体への負担が大きく、打撃フォームを崩すとも言われる。川村さんは「(実際にどうなのかは)分からないが、ホームラン競争で引っ張る方を狙っていたかもしれない」。結果として「(前半戦は)外の球を左翼や左中間に運ぶホームランが出ていたが、それが出なくなっている状況」に陥ったとの見方をしている。
打撃フォームの面では、「かかと体重」になっている点を指摘する。理由の一つが下半身の疲労。後ろから前へと移した体重を尻周りで受け止められなくなり、「お尻を引いて体を止めるようになる」。そうすると、外角球に対する距離が長くなり、バットが届かなくなってしまう。
さらに、投手で登板を重ねる中、肩甲骨周りの疲れも重なったとみる。プロの投手が試合で100球前後を投げると、大抵は「次の日は肩甲骨が動かない」。これまでの大谷はその影響がほとんどみられず、川村さんは「よく肩甲骨が動きにくくならないな、と。不思議でならない」と感じていた。ただ、8月末あたりから変化が見られたという。バットを引く右腕につながる肩甲骨が動きにくくなったようだ。
◇故障が癒え、投手としても躍動
今季の大谷は投手でも目を見張る活躍を見せた。23試合に先発登板し、9勝2敗、防御率3.18。2018年10月に受けた右肘の内側側副靱帯(じんたい)再建手術(通称トミー・ジョン手術)からの復活を印象づけた。ただし、道のりは平たんではなかった。昨年は7月に復帰登板を果たしたものの、思うような投球ができずじまい。2試合に投げたところで右前腕を痛め、投手としてのシーズンを終えていた。
川村さんは、トミー・ジョン手術を受けた投手を何人も見てきた経験から「1年から1年半くらいで良くなると言われているが、2年くらいかかるのが正直なところ」とみる。1年余りで患部の痛みはなくなっても、腕が振れていない投手が多い。「自らどこかでリミッターをかけてしまっていて、なかなかそこを外せない。痛みはないんだけれども、思い切ってやれない」。故障の記憶を消し、全力で投げられるようになるためには、長い時間を要する。大谷の場合も「それが去年くらいまでかかっていた」。その上で、こう感じ取った。「(今季は)変化球が違和感なく痛みもなく投げられ、万全なんだなと」
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