大谷翔平は「剛」「柔」「技」 筑波大監督の川村卓准教授が分析

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「投手大谷」が打撃にもプラスに

 投手との二刀流に挑戦している大谷だからこそ、「肩甲骨の周りや上半身の柔らかさ」もある。とりわけ、テークバックからスイングを始めるところにかけて、その特性が生かされている。大リーグにひしめくパワーヒッターたちは、肩周りの筋肉が非常に発達している。その一方で、肩に必要以上の筋肉を付けると、肩甲骨が動きにくくなるという難点もある。川村さんは「よろいを付けるような感じになってしまい、肩が回らなくなる」と指摘。これに対し、大谷の場合は「投手をやっているおかげで、(肩周りなど)そのあたりがしなやかに使える」。そのため、振り始めで左肘を下ろしても、同時に左肩が下がることはない。「効率良くバットを出せるところが特長で、他の選手にはまねできない」

 振り上げながらも、コンパクトさを失わない大谷の打撃。だから、大リーグで多くの投手が投げる、打者の手元で鋭く動く速球にも対応できる。沈む球にはヤンキースで活躍した松井秀喜さんも手を焼き、ボールの上をたたいてゴロになってしまうことが多かった。

 いわゆる「アッパースイング」とも異なる。日本のプロ野球が今の2リーグ制になった1950年。セ・リーグを制した松竹ロビンスで主砲だった小鶴誠が本塁打王と打点王に輝いた。日本球界初の50本台となる51本塁打を放ち、現在もプロ野球記録のシーズン161打点をマーク。その打撃は「ゴルフスイング打法」と呼ばれた。川村さんは「ゴルフのスイングのように、大きく円を描きながら入っていくよう。それがアッパースイングと一般的には言われていた」と説明する。

 大谷の場合は、インパクトまでに「グリップの方からバットが出る」動作となっている。スイングの前半ではグリップが体の近くを通りながらも、後半はヘッドが遠くを通過する「インサイドアウト」の軌道でバットを出せる。「非常にコンパクトにバットが出てくるところは、もともと持っていた技術。パワーが付いたおかげで、スイングスピードも増していった。しなやかに振っているので、そんなに力を入れなくてもバットが体の中心から出ていくような打ち方ができている」。力と技が合わさったスイングだ。

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