米球界と米国の野球ファンに鮮烈なインパクトを与えた大谷の二刀流。20年前の2001年、ボンズ氏はシーズン73本塁打を放った。20年というスパンで、どちらが史上最も特筆すべき活躍だったのか、という声がある。
「73本塁打は(歴代最多の)記録だから、それを抜けばチャンピオンということになるね。それまでは比較することはできない、というのが私の考え。大谷選手に求めたいのは健康を保って安定した成績を残すことだ。それができれば、彼には73本を抜く実力があると思う。実際に(そういう選手が)出てくるかどうかは誰にも分からない。自分だってあのような成績を残せるなんて思いもしなかった。全てがうまくいったパーフェクトなシーズンだった。そう考えると、大谷選手もパーフェクトなシーズンを過ごせれば達成可能な数字だと思うし、他の多くの才能ある選手だって同じことだ」
大谷はア・リーグ最優秀選手(MVP)の候補とも目されている。その点に関してボンズ氏は、慎重に言葉を選んだ。
「それは分からない。大谷選手の他にもたくさんホームランを打っている選手がいるし、彼を含めてみんなに平等にチャンスがあるように思う。チームの成績もMVPの選考に考慮されるべきだというのが私の考え。(大谷が)もし受賞を逃したとしても今年成し遂げたことに満足していいと思うし、これから何度もチャンスが巡ってくるはずだ」
「(二刀流を含め)トータルでの評価にはなるとは思うが、その答えは私には分からない。大リーグには優れた選手がたくさんいるから、単純に選手を比較することはとても難しい。だからチームをプレーオフに導く活躍をした点も考慮されるべきではないかと思う」
マドン監督は大谷の能力を存分に生かす起用を重視したと言える。仮に「ボンズ監督」ならば、このまま二刀流を継続させるのだろうか。二刀流をめぐる大谷と伝説の名選手、ベーブ・ルースとの比較について、ボンズ氏は冷静な見方をしている。
「もし私が監督なら、うまくいっていることを直そうとはしない。大谷選手がハッピーであることが一番大事だからだ。力を最大限に引き出してあげたいし、今の二刀流を継続させるだろう。だけど私は監督には興味がないから、その代わりに一緒に食事には行きたいね(笑)」
「(ルースとの対比は)ありのままを評価すればいい。今ここに存在しない選手と比較するのは意味がないことだ。大谷選手は独自のスタイルで、誰も見たことがないプレーを実現している。ベーブ・ルースが二刀流をやったと議論することはできても、それは私を含め誰も見ていないわけだから。私には分からないし、彼とルースを比べはしない。大谷選手と比較できるのは彼自身だけ。(ボンズ氏もかつて過去の記録への挑戦で騒がれ)過去と比較されるのはとても難しいことだ」 (2021年10月17日掲載)
◇ ◇ ◇
バリー・ボンズ氏 米カリフォルニア州リバーサイド出身の57歳。大リーグ通算で332本塁打、461盗塁をマークしたボビー・ボンズ氏を父に持つ。アリゾナ州立大を経て1985年にドラフト1巡目(全体6位)でパイレーツに入団。86年に大リーグデビュー。93年からジャイアンツでプレーし、96年に40本塁打、40盗塁を達成。2001年にシーズン最多記録の73本塁打を放つなど、歴代最多の通算762本塁打をマークした。走攻守がそろった左投げ左打ちのスラッガーで、ナ・リーグ最優秀選手(MVP)に7度選ばれ、本塁打王、首位打者が各2度、打点王が1度。通算514盗塁。外野手でのゴールドグラブ賞が8度。ジャイアンツで付けていた背番号「25」は永久欠番。現役時代の禁止薬物使用疑惑があり、野球殿堂入りはしていない。
新着
オリジナル記事
(旬の話題や読み物)