大谷翔平が2シーズンぶりマウンドで闘った葛藤とは 「二刀流」完全復活への途上

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けがをしないように動くのではない

 大谷はメジャーでの3シーズン、いずれも故障に泣かされ、投手でフルシーズンを過ごすことができなかった。けがに関する自身の考えを、こう説明した。

 「(けがには)事故的なものもあるし、僕の肘みたいに、ちっちゃい頃から投げていて慢性的に疲労がたまっていったというのもあるし、(昨年手術を受けた)膝みたいに先天的に成長の過程で支障が出てしまう場合もある。けがはしないのが一番だが、そのためにパフォーマンスを落とすということは考えられない。けがをしないように動いているわけではない。結果を出すために毎日練習して、試合で頑張っている。その中でけがをすることは、もしかしたらあるかもしれない。もちろん、コンディショニングやケアで手を抜くなどするのは良くない。全力を尽くした中でどれだけ頑張れるかが大事」

鳴りを潜めた打撃

 シーズン途中からは打者に専念したが、昨年や一昨年の打撃は鳴りを潜めた。7月の夏季キャンプは投手のメニューが中心となっており、打者としての調整が難しかったことは想像に難くない。本人は「コロナで間延びしたのが難しかったところ。練習できていなかった部分もあるし、シーズンがあるかどうかも分からなかった。みんなそうだったと思うが、気持ち的に難しい部分はあった。そこは初めてだったし、経験が足りなかった」と原因を分析する。

 エンゼルスはシーズンが開幕した7月末から8月にかけては低迷していたが、9月に入って巻き返しを見せ、シーズン終盤にポストシーズン出場権を争った。しかし、その時期に不調だった打者大谷は先発メンバーを外れることが増えた。「特にポストシーズンを争っているチームは、最後の3週間くらいは調子のいい選手をどんどん使っていかなければいけないのは分かっている。監督からも『これが普通のシーズンだったら、使っている』とは言われていた。(チームが)切羽詰まった状況では、調子のいい選手を使うのは短期決戦の鉄則。それは十分理解している」と首脳陣の決断に理解を示す。

不振は自身の状態に起因

 今季の開幕に至る状況を考えれば、二刀流での調整が難しかったことは明らか。それでも大谷は「そこまで調子を上げていけなかった自分の責任。常にいい状態をキープできるのがプロだし、そういう意味では今年は不十分だったと思っている」と語る。

 大谷は今季の成績について、投打とも「感覚通りの数字」と自己分析した。低調な結果は相手打者や相手投手の力によるものではなく、自身の状態に原因があったとみている。「相手がどうのというよりは、打席にしろ、マウンドにしろ、どういう状態で準備して入れていたかというところ。反省点も必然的に自分で消化しなければいけないところの方が多い」

リハビリのオフから練習のオフへ

 1年目の18年は右肘、昨年は左膝の手術を受け、リハビリ中心のオフを過ごした。今オフはしっかりと練習に時間を割けており、「今のところ問題なく、充実した練習ができている」と明かす。投手としては10月上旬にキャッチボールを再開。11月上旬の時点では、球速はまだ80マイル(約129キロ)ほどに抑えている段階だったが、改めて夏の2試合の登板を振り返りながら、こう話した。

 「(登板の時は)リハビリの段階を経て、徐々に良くなってきて、術後で一番いい状態だった。もちろん、その時はいいんじゃないかと思っている部分の方が強かったが、今投げている感じだと今の方がいいし、やっぱりあの段階だと、まだまだ早かったのかなと思う」 。来年1月には打者相手の投球を再開し、2月のキャンプに臨む予定だという。

気負わず、ぶれず

 エンゼルスに移籍後、投手としては3シーズンでわずか12試合の登板にとどまっている。来季は二刀流を続ける上で大きな意味を持つ1年になりそうだが、本人に気負う様子はなく、言葉はこれまでと変わらない。

 「来年が大事というよりは、一年一年が大事。来年も何があるか分からない。野球ができるかも分からない。再来年、野球ができているかも分からない。いつでも悔いの残らないように、一年一年勝負する。試合に出るからには100%出し切って、一試合一試合頑張った延長で、どのくらいの数字が残るか。しっかりと目先の試合を見て頑張りたい」

 新たにエンゼルスのGMに就任したペリー・ミナシアン氏は、まだ大谷の起用法を明言していないものの、本人はもちろん投打の双方でチームに貢献するつもりでいる。軸がぶれることはない。(2020年11月24日掲載)

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