大谷翔平に1位票を投じた4つの理由 米大リーグ新人王選考委員体験記

  • X
  • facebook
  • hatena-bookmark

アンドゥーハルを上回る項目

 ア・リーグは9月30日にレギュラーシーズンの全日程が終了。投票期限は10月3日のポストシーズン最初の試合が始まるまでと厳密に区切られていた。全新人の成績を見返し、候補を改めて絞り込んだが、やはり1位は打者として傑出した成績を残したアンドゥーハルか二刀流の大谷か。二者択一という考えに至った。

 アンドゥーハルは149試合に出場し、本塁打、打点、打率の主要3部門で大谷を上回った。けがによる離脱もなく、規定打席にも到達しており、ヤンキースのプレーオフ進出に貢献したと言える。

 さらに「日本人だから大谷に投票したと思われるのは嫌だな」との心理も働いた。「アンドゥーハルに投票しよう」。一度は心に決めた。

 しかし、資料を見返す中で、大谷が二刀流で記録した同一シーズンでの2桁本塁打、4勝(以上)は1919年のベーブ・ルース以来という項目が改めて目に付いた。エンゼルスによれば「15本塁打以上、50奪三振以上」は長いメジャーの歴史の中でも初めて。冷静に考えれば大谷が成し遂げた二刀流は野球の常識を覆すような活躍だ。しかも、野球の本場アメリカでそれを実現させた。1位票はアンドゥーハルと決めつけず、もう一度しっかり考えようと思い直した。

 2人の成績を改めて見比べると、大谷の方が上回っている項目もあることに気付いた。中でも、強打者の指標とされているOPS(出塁率と長打率を足した値)は9月の活躍もあり、アンドゥーハルを突き放していた。打つだけでなく、10盗塁はライバルを八つも上回っている。

 大谷は規定打席に達していないが、打者としての能力だけを比較したとしても、アンドゥーハルに劣ることはないという結論となった。加えて、大谷は投手で4勝を挙げている。4月8日のアスレチックス戦で見せた七回途中まで走者を一人も許さない圧巻の投球や、10.97という奪三振率の高さは能力の高さを証明している。こうした分析をしているうちに、考えはおのずと変わっていった。

◆スポーツストーリーズ 記事一覧

新着

オリジナル記事

(旬の話題や読み物)
ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ