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Conversation

榊英雄被告の判決を受けて―被害当事者のひとりとして思うこと 少し落ち着いてきたので、忘れないうちに書き残します。 今朝、元映画監督で俳優の榊英雄被告の判決を傍聴するため、東京地裁に向かいました。しかし到着時にはすでに満席で、傍聴は叶いませんでした。一般席は26名分で、その半分ほどが報道関係者の枠だったようです。そのため、現時点では判決文のすべてを把握できていません。すでに控訴しているとのことで、到底受け入れられるものではありませんが、まずは今回の裁判で身を削りながら闘い続けてくれた被害当事者のお二人に、心から敬意を申し上げます。 榊被告は、私にとっても加害者です。私は自身の体験を2022年に公表しました。それ以降、個人としてだけでなく、映画業界の有志とともに立ち上げた「映像業界における性加害・性暴力をなくす会」の一員としても、微力ながら映画業界に蔓延する性暴力をなくすため、可能な範囲で活動してきました。 今回の裁判は、お二人の被害者の方のケースに関するものであり、直接は私自身のケースではありません。私は2024年の秋に被害届を提出しましたが、約1年後に不起訴となりました。弁護士とともに検事を訪ね、その理由も伺いました。主な理由は「榊被告が撮影した動画に私が映っていなかった」というものです。検事からは繰り返し「不起訴ということは、あなたが性暴力を受けていないという意味ではない」と説明を受けましたが、裁判で有罪を立証するには証拠が不十分だと判断されたのだと理解しています。 私のケースと他の被害者のケースには多くの共通点がありました。そのため、自分の事件として立件できなくても、他の方の事件に協力する形で供述調書を取ったり、犯行現場に行って当時の状況を証言したりしてきました。加害者が行為そのものを認めていたとしても、被害当時の2015年の法律では刑事事件として闘うことが難しく、性犯罪の立件のハードルがいかに高いかを身をもって知りました。これだけ被害者がいてもたった8年の実刑判決……。私は、この判決は終わりではなく、映画業界の性暴力の問題を問い続けるための通過点だと思っています。 今朝は傍聴ができなかったため、裁判が行われている法廷の外で待機していました。俳優の石川優実さん、カメラマンの早坂伸さん、脚本家の港岳彦さんと一緒でした。いずれもこの問題に向き合い、闘ってきた仲間です。 今日になるまで、あの場所に行けるかどうかも分かりませんでしたし、榊被告の顔を見て平常心を保てる自信もありませんでした。それでも、榊被告がどのような態度でいるのかを知りたいと思いましたし、その場で自分がどのように感じるのか確かめたい気持ちもありました。正直、いまも自分の感情を完全には整理できていません。それでも、今日一緒にいてくれた仲間がいたからこそ、あの場所に立っていられたのだと思います。 4年前、私は連載していたコラムの中で次のように書きました。 
『(映画)業界が今回のようなことを「よくあること」で済ませてしまうのならば、一度壊れてしまえばいいとも思う。自身の居場所がなくなったとしても、それでもやはりいい方向へと変えていきたい。』 4年が経ち、今その気持ちに変化があるかと問われれば、正直とても複雑です。ただ、もう何かを壊さなくてもいいように、土壌そのものが変わっていくことを願っています。それは映画業界だけでなく、この社会全体に対してです。
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