異世界のなんちゃってJAPANな国に転生したので鍛治を極める話。   作:シオカラストンビ

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どうも、案外テストが近いことに気付いて焦りまくった作者です。というわけで勉強の合間に執筆したものを投稿します。


鍛刀④

 

 

鋼が完成し反りが生まれた刀を確認すれば、そこには焼けこげた土がこびり付いている。

 

まぁそりゃそうよ。

本当に焼き入れ直後なんだしね。そんでこの土を削ぎ落とす、鈍色の鋼が出てきたので確認すると…。

 

〔よし、刃紋入ってる〕

雲か霞のように薄いけど刃紋が入ってる。

 

これからやるのはこの刃紋を見やすくする研ぎと刀身の形、その微調整だ。焼き入れの際に刀身に反りが生まれるけど、勿論完璧に作り手が狙ったように反りが生まれるとは限らない。

 

〔少し切先らへんが反り過ぎてるねー〕

 

中反り、鳥居反りとも呼ばれる反り方を私は求めてる。刀の反り一つとっても色々と種類がある、腰反りや先反り、反りのない直刀などね。

 

反りは物を斬った際の手応えや、切り易さ、刀の扱いやすさにも繋がる。反りのバランスさえ取れれば刀が羽のように軽く感じられる…なんて事も可能なんだ。

 

というわけでカンカンカンと小槌で〝叩いて直す〟

 

え?、なんか特別な方法あると思った? 

ううん無いよ、シンプルに鎬を叩いて直す。

 

〔逆に反りが無かったら熱鉄から熱を伝導させて曲げるし、結構ゴリ押しなんだよね〕

 

叩いては見たり、手に持った感覚で具合を確認する。

 

〔…〕

そんで大体整った。

 

しかし剣の形ってモノは不思議なモノだね。

剣の幅、厚さ、反り方、長さ、そういったもので使い方や印象が大きく変わるんだから。

 

ウチの蔵には見本の為の武具がたくさん保管してある。前にも言ったけど帝国の鍛治師だって日本刀ばかり打っているわけじゃない。

 

ロングソード、偃月刀、グラディウス、ファルシオン、ヴィーキングソード、スピア、ハルバード、ツヴァイヘンダー、シャムシール、環首刀、シックルソード。

 

ファルカタやロンパイアのようなイロモノまで注文に来ることがある。もちろん殆どを玉鋼製にアレンジして鍛造するね。

 

でもあんまりイロモノだと正直その武器それぞれの専門鍛治師に行けよ、と思うことも無きにしも非ず……蛇腹剣とか企業に頼んでよ。

そもそもウチは主に刀系かロングソードみたいな剣が得意だしねー。元々日本刀の種類に〝つるぎ〟があるわけだし。

 

それに例えば幅の大きいバスタードソードやクレイモアは術式が刻みやすいし、スペースが余りやすいから魔剣鍛治師に好まれるね。

 

そういえば再現出来てない遺物の武器には2種類あるって話だけど。

 

術式が刻まれて様々な特殊能力を持つ〝魔剣〟

ひたすら折れず曲がらずよく切れまくる〝古刀〟に分けられる。

 

古刀

・特殊能力無しが多いただの名刀、名剣が多い。

・素材を活かした武具がセオリー、とても頑丈。

・極稀に能力持ちの妖刀がある。

・究極の一、技術による引き算の極み。

 

魔剣

・大体能力持ちで魔剣、聖剣が多い。

・素材は活かしきれてないので消耗しやすい。

・極稀に意思を保つインテリジェンスソードがある。

・究極の有限、術式による足し算の極み。

 

こんな感じ。

ちなみにお察しの通り鍛治師や武器職人の中でも〝魔剣派〟と〝古刀派〟は犬猿の仲だよ。究極を求める方向性が真逆だからね。

 

目と目があったら鍛治バトル。

それか武器の試し合い〔斬り合い〕よ

 

でもそのせいで武装協会も結構派閥が分かれてたりするらしい、お爺ちゃんは政治は鍛治師のやるもんじゃ無いと言って関わらなかったけどね。

 

今思えばあまりにも堅物な古刀派だったな…。

 

ただ私としては魔剣鍛治の事も知りたいんだけどねー……魔術儀礼済み玉鋼製の刀剣に術式を刻むのは難しいけど、魔術儀礼無し玉鋼のだったらまだ出来るらしいし。

 

それに企業の技術者が改造しやすいのは、どう考えても足し算の権化である魔剣の方だろうからね。

使う素材にもよるけど消耗や破損もしやすいから金回りも良くて色々と発展してるらしいし、武器職人として凄く気になる。

 

ただ企業の技術は使用や機構を組む際に酷いデメリットがあったり、あんまり企業の意思に逆らうと〝痛い目〟見るなんてウワサあるんだよね。

 

そもそも術式を刻む行為は魔術と密接に関わるからなー、魔術に関してはチンプンカンプンな私には厳しいかもしれない。

 

〔それでも、やった方がいいのは分かる〕

 

私もこの時代に古刀派一筋で生きていけるとは思ってない、いくらか横道に走る必要もある筈だ。

 

〔スポンサー……企業か〕

 

さて、私はいったいどんな後ろ盾を手に入れれば鍛治を極めることに専念出来るのか。名を継いだばかりの小娘に、誰が手を差し伸ばしてくれるのだろうか。   

 

企業が手を加えられない〝ただの名刀〟しか打てない古刀派の私に、どうしたら価値を見出してくれるのだろう。

 

…でもなんにせよ。今、目の前の仕事も完遂出来ないでいるのはあり得ないか。

 

〔冷静になれー、冷静に。

お爺ちゃんの背をただ追いかけるのはもう終わり、…これからは私自身が働かないとダメなんだ〕

 

小休憩はおしまいだ。

 

 

次は〝鍛治押し〟

そろそろ鍛刀作業も佳境に入ってきた頃だ。

迷いも不安も、研いで削ぎ落としてしまおうじゃないか。

 

鍛治押しとは、鍛治師が〝最低限の研ぎ〟を行うこと。

 

武器製作の為にも様々な職人が要る。

刀剣を打つ鍛治師、刀剣を研ぐ研ぎ師、外装や拵えを作る柄巻き師や鞘師などね。

 

勿論全部を一人でやる鍛治師も居るんだけど、やっぱりそれぞれの専門家達に依頼した方が出来はいい。

 

特に研ぎ師。

この世界では研ぎ師ってのはかなり重要な職。

 

この世界は現代でもダンジョン等で武器の需要があるから、その手入れも超重要。持ち主が普段から手入れするのも大事だけど、それ以上に年一でも良いから専門家に預けた方がずっと効果がある。

 

研ぎ師ならそこらの人でもちょっとした刃毀れなら直してくれる。

〝直す〟という概念が与えられた砥石に刃を置き、鉄の粉末を振りかける。そこからじっくり時間をかけて刃を修復していくのはとんでもない職人技だ。

 

ただ欠けた刃を鉄の粉末成分を元に補うだけじゃなく、研いで擦り減らしていく部分との調和が取れていないといけないそうで。更には素手で研ぐから〝直す〟概念で鉄の粉末が手に同化していき、擦れたり切れたり、気を付けないと破傷風になるらしい。

 

因みに私の知り合いには〝折れ以外の傷なら大抵修復〟出来る傑物が居る。私はこれからその人に研ぎを頼みに行くんだけど、鍛治押しはその為にする準備。

 

〔こうやって最低限刀の姿を削り出しとかないと、研ぎ師がどんな姿を目標に研ぎをすれば良いのか分からないからね〕

 

荒い砥石を使って刀身を研磨する。

一応私はその人やお爺ちゃんから研ぎも最低限習ってる。勿論件の人とは比べることも烏滸がましいけど、身に付けておいて損は無い。

 

暫く研磨して薄らだった刃紋が少しは冴えてくる。でもまだまだ、あの人の研ぎはもっとこう…なんというか、自然だ。

 

「研ぎ師の本領は、誰が研いだんだろうと思わせること……だっけ」

 

自分らしさを出しちゃいけない。

もっと美しく、もっと鋭く、そう思いながら刀剣本来の美しさや機能を全面に押し出していく。

 

その刃を誰が研いだか分からない。

 

しかしただ〝上手い〟と思わせる。

 

ある意味で個性や特徴を重視する鍛治師とは大きくあり方が違う。敢えて脇役に徹し、刀剣を磨いて立てる研ぎ師の姿。

 

そういうのを〝粋〟だとも言うんだろうか。

 

誰が打ったか分からないけど、上手だと思わせる刀があっても面白いかもしれないね。

 

「…」

凡そ研ぎ上げた刀身を吟味する。

 

うん、悪くは無い。

むしろ、完成が楽しみだ。

 

透視眼を通して鋼の状態をチェックする。

やっぱり研いだり反りの調整に叩く関係、少し魔力や概念に偏りが生まれてしまうけど、まだまだ許容範囲。

 

正直妥協はしたくないが、変に手を出して状態を悪化させるのが私の昔からの悪癖。私は良し悪しが〝見える〟だけで〝直せる〟までの技術を持っていない。

 

〔我慢、我慢…10年後にはもっと良くしてみせる〕

 

大丈夫、大丈夫、私はまだ18歳。

時間は、まだまだあるさ。

 

経験を積んで、周りからの評価を受けて…。

 

それから…。

 

キチンと八代目 唐丸國行として認められないと。

たとえ知る辺はもうなくても、進むべき道は延々と続いているんだから。

 

もっと精進しないとね。

 

 

「……アスカ」  

「…ん?」

 

あれなんか知ってる声が聞こえる。

 

「…一旦の区切りはついたか?」

「…」

「…」

 

なんか声色いつもと若干違うけど…。

そうなんか呆れてるというかキレてるというか何というかね。

 

あー、うん。

 

 

…炎中時計君にアラームあればいいのに。

 

 

「…」

数分後、黙って家へと引き摺られる私の姿がそこにはあった。

 

 

 

⭐︎

 

 

 

もういい年だからあんまり説教とかしないけど身体には気を付けて〔超要約〕を5分ほど聴いた後、夕食の時間まで休憩となった私は自室の布団に寝っ転がっていた。

 

いや研ぎはいけると思ったんすよ。

絶妙な時間だったけど昼食には間に合うって。

 

……全然無理でした。ごめんなさい。

 

ま、まぁいいさ。

この時間を使って勉強をしよう。今は夏休み序盤で全然余裕があるけど、やらないより全然いいだろうし。

 

はいでは久しぶりに机に向かって教科書とワークを開く。

 

 

ーーー大体2時間後。

 

多少前世の記憶あるのにキッツイわ。

いや分かるよ、分かるけど天才でも無いんだからさぁ。

 

〔転生するなら高スペが良かったなぁ…〕

 

ここで私のスペックをおさらいしよう。

 

國 アスカ 女 18歳 身長157

黒髪に赤メッシュが入った短髪、黒目。

顔は結構童顔、お母さん似。体型はスレンダーな方で胸は悲しいことにちっぱい……いいもん鍛治に邪魔だし。

 

身体能力★★★★☆

かしこさ★★☆☆☆

鍛治の腕★★★★☆

 

趣味 鍛治、刀剣鑑賞、パズル。

 

備考 転生者、ただし前世の記憶がほぼ無い。

覚えているのは性別と日本がどんな国というぐらい。特に名前や親類、どうやって生活していたかは何一つ思い出せない。

 

〔どういった経緯で転生したとかも不明…ぶっちゃけ私自身も転生者の自覚ほぼ無い気がするし〕

 

まぁどうせトラックにでも跳ねられたんだろう。

それが多いって事は覚えてる。

そして転生者であることには別段拘ってない、ぶっちゃけ家族と触れ合う上でノイズだと感じた瞬間に捨てた。

 

〔おかげでここまで鍛治一筋、ストイックに来れた〕

 

私の親はこの世で二人、祖父は一人。

祖母は知らん。それでいいでしょ。

 

ただ好きな事一つ貫いてきた脳筋だから女っ気は死んでるし、今更ながら少し迷ってる。

 

「古刀派ねぇ…」

私の鍛治スタイルを称するなら典型的な古刀派だ。玉鋼を鍛え、繊細な組み合わせで名刀や名剣を打つ。それはあまりにも古刀派らしいやり方。

 

幼い頃は古刀派一本でも良いと考えていた。

でもお爺ちゃんの晩年や最近の風聞を聞くとどうしてもただの古刀派だけでは色々と〝不充分〟だと感じてしまう。

 

古刀派が打つ刀剣は侘び寂びを重視するから、言い方悪いが華がない。

逆に魔剣は後付けでも分かりやすい力を持つことが多いし、まぁ華々しく感じる。

 

どうしても大衆は色鮮やかな方に誘導されるものだ。

 

〔この剣は折れず曲がらずよく切れますと言ったところで、証明はしにくい〕

 

逆に炎を吹き出す魔剣なんて実に分かりやすい能力だ。

斬撃を飛ばす刀とか最もじゃないか。

 

それに今の時代、ネームバリューだって必要だ。

どれだけ鍛治の腕が良くても、名が売れていなければ誰もその者には注文をしないだろうしね。

 

腕が良ければ勝手に名は売れる?

それもごもっともだけど、やっぱり名を売るチャンスは欲しいものさ。

 

〔武装協会の位列付けはそういう意味では有難い…なんてね〕

そう…ありがたい、ありがたいが、それはキチンと機能している前提に限る。

 

少し前に言ったように、武装協会は一枚岩じゃない。

 

それは魔剣派や古刀派だけに分けられる訳じゃない、例えば最上大業物の傘下や流派はかなり巨大だし、互いに鎬を削ってる。それに大業物や良業物にも潜在的な組織が潜んでいると言われてるし。

 

〔ここに今じゃあ企業や反社組織が絡んでくるんでしょ?、お爺ちゃんが関わりたくないのも納得だよ…〕

 

多分、位列はほぼ機能していない。

あんなもの低俗な鍛治師の見栄とプライドの為にしか残ってないはずだ。ここ数十年位列の入れ替わりがほぼ起こってないことが証明。

 

〔チッ…私は好きに鍛治をしたいだけなのに〕

 

魔剣という存在を知った時、私はとてもワクワクした。エクスカ◯バーやバル◯ンクみたいなのも造れるのかーと心が躍った。

 

でもこの世界の仕組みを知るほど、私の気分は沈んでいったんだ。

 

〔良い剣を打つための素材は、一部の権力者が値を釣り上げて独占してる。市場も操作されてるし、企業とかの小競り合いでそこそこの人数が〝吹っ飛ぶ〟〕

 

〔鍛治師それぞれの持つ秘伝の技法は盗み合いが多発してるし、暗殺まがいな事も起きてる。

挙句に正義マンは知識の独占を止めろと声高々に叫ぶ訳だ、ハハ、一ミリも笑えないよ〕

 

ネットで知り得た情報?

いいえ散々お爺ちゃんやその知り合い、研ぎの師匠に口酸っぱく言われた真実だ。

 

どうしてウチには高レベルの結界が貼られてるか、そんなの侵入者を防ぐためだ。

 

驚いたことにこの世界じゃ〝銃刀所持許可証〟が存在する、機能は勿論大手を振って武器を腰に差しながら歩けること。

 

表向きダンジョン探索員の為とか言ってるけど、どう考えても暗殺とか襲撃しやすい為にでしょう。因みに18歳の私でも取れる、その…バイクの免許じゃないんだからさぁ?

 

〔帝国くぅん…日本っぽくするなら治安までそうしてよ〕

 

しかし残念ながら帝国は〝世界最悪の犯罪都市〟を保有する国である。修羅の国かな。

 

 

けれどもその世界最悪の犯罪都市は、同時に世界屈指の〝技術開発の都市〟でもあるんだ。

 

それは勿論武器開発を含めた全て、医療、情報、科学、生命、環境・エネルギー。あらゆる技術が他の国や地域とは最低10年の開きがあるとされる超最先端都市。

 

現在はヨルカゼコーポレーション本社が位置する島。

 

それはかつて、企業戦争が起こった舞台。

お父さんがついぞ帰らないと決めた故郷。

世界一、魔剣や名剣が生まれ〝使われる街〟

 

今や島そのものがダンジョンの複合体となり、時空や次元が曖昧で、人の生き死にすらもいい加減だと言われる此岸の狭間。

 

 

ーーー人魔都市 巫

 

そして私の〝進学先〟がある場所だ。

 

 

目を閉じれば昨日のように思い出せる。

巫総合大学の創学部を目指したいと言った時、お爺ちゃんは呆れて笑い、お父さんは聞き迫る表情で私に問い掛けた。

 

『正気か!?』

残念ながら正気だった。

 

『嘘だと言ってくれよ…』

嘘じゃないし、マジだった。

 

『…』

お父さんが企業戦争で酷い目にあった事はお母さんから聞いたし、察してる。

 

でも悪いけどそれで夢を諦めるほど私は舐めた性格してないし、そんな性根の娘はお父さんも嫌だと信じてる。

 

『正直、鍛治…自分の夢にひたすらストイックなお前ならそんな事言うんじゃないかと思ってた……』

お、ラッキーだね。じゃあ覚悟は出来た?

 

『でもあそこは学力はともかく金が…』

いや推薦来てるから。

 

『……ぇ?』

鍛治の腕を見込まれて推薦来てる。

 

『……義父さん?』

『儂は知り合いに孫が凄いと言っただけじゃし…』

『義父さん!?』

こんな世界なんだし、郷に入っては郷に従えだよね!幸いお爺ちゃんは大業物の名工なんだし!

 

『娘が企業の手口を使っている!?』

『強かじゃ…当代は安泰じゃな』

『いやコネ入学は流石に…』

ちゃんと実力は示して納得して貰ったから大丈夫大丈夫。

『初めて娘に純粋な恐怖を抱いたぞ…!』

 

何事も勢いは大事なもので、とんとん拍子で進学の予定は決まった。

 

『アスカ…正直もう俺はあの地に関わりたくない』

うん、入学式には無理に来なくていいよ。

『いやそれは行く』

すんごい食いつきじゃん。

 

 

『……でも多くは求めないから約束してくれ』

うん。

 

『変な男には気をつけろ』

了解。

 

『企業にはあまり関わるな』

…はい。

 

『…金のやり取りには特に気を付けなさい』

勿論。

 

『身体には気をつけて』

わかりました。

 

『…』

大丈夫、まだ一年以上は時間があるから、それまで素行に気を付けてゆっくりしてるよ。

 

そう言って笑う私を見て、お父さんは複雑そうな顔をしていた。 

私があの大学に行きたい理由は魔剣鍛治の事を知りたいからなのは勿論、他の古刀派の鍛治師との新たな交流を期待してだ。技の盗人になる気はないけど、いい刺激にはなりそうだからね。

 

それに創学部は武具から魔道具、あらゆる技術が詰め込まれてるらしい。

地雷原の匂いもするけど、行ってみなきゃ分からない。それに巫はダンジョン業が何処より盛んだから世界中の名品や珍品も集まる見本市でもあるんだ、気になるっちゃ気になる。

 

ただ本当は後ろ盾探しも兼ねてるんだけどね……。

國家も〝雷派〟という最上大業物の流れを汲むけど、お爺ちゃんがその辺関わりを捨てたからあってないようなものだ。周囲の目を考えると頼るのは最終手段になる。

 

お父さんが企業嫌いなのは知ってるけど、ぶっちゃけ今の時代企業の技術や資本が無いと世の中回らない。世の中ヨルカゼ一強ではあるけど、独裁政治極まってるわけじゃない。

 

…ただ正直、上流階級に取り入る方法よくわからんのだけどねー。

有能さを見せるってのも結構難しい…。

 

……まぁこの話はお父さんには出来ないさ。

危険すぎると言われて止められたくない。

 

それに大学の話してから明らかにお父さんが過保護になった気もするし、自分でも巫やヨルカゼの事調べ始めたらしい。それに関してはトラウマな部分あるだろうから、なんか申し訳ない。

 

でも少しは心配よりも期待をして欲しいものだね。お爺ちゃんにはもう私の晴れ舞台は見せられないし、ならせめてお父さんに誇れる人間でありたい。

 

コネ入学は誇れるのかって?

……大学に実力は認められてるから、うん。

向こうも先行投資って言ってたし。

 

それに今その実力確認の為に一振りの刀を打ってるんだから。

依頼人に今出来る最高傑作を打ってみて欲しい、そう頼まれた時はここがターニングポイントなんだと感じた。

 

唐丸國行の名に相応しい実力を持っているとは信じていない。でも及第点、〝期待出来る〟と思わせてやりたい。

 

だからといって変に高望みして最高級の魔術儀礼済み玉鋼を使っても扱いきれないだろうし、無理に欠点を直そうとしても上手くいく未来が見えないのも確かだ。

 

でもそのことを妥協とは呼ばせたくない。

この透視眼に誓おう。私は今回、素材や状態を〝見極める〟ことにも尽力した。

 

お父さんもその集中だけは乱さないように作業が終わってから家に引き摺ってくれるし、そういうのは本当に有り難い。

 

〔やっぱ過保護過ぎる気もするけどねー…〕

ちょっと苦笑しながら、スマホで電話をかける。

 

「もしもし犬上さん。…うん、何時もの晩酌中に悪いけど、件の刀が出来た。いつ持っていけばいい?………了解、明日ね」

 

頃合いを見て尊敬する研ぎの師匠に確認を取る。

話は既につけてある。これから私に出来る事は鍛治押しした刀の包装をすることぐらいだ。

 

「アスカ、夕飯出来たぞー」

 

あ、その前にご飯食べよ。

 





オマケ
※あくまで大雑把なイメージです。

普通の玉鋼→和紙
オリハルコン等→厚紙

魔術儀礼済み玉鋼→良質な和紙
特殊合金→水彩紙や画用紙等

現代古刀派武具→和歌、俳句
現代魔剣派武具→絵画〔技法様々〕

遺物古刀→名句〔素材、技術的再現不可〕
遺物魔剣→名画〔素材、技術的再現不可〕

書道の作品〔玉鋼〕に絵の具〔術式〕の上書きは掟破りで和紙は破れ易いことが多い。ただそれを関係無しにやるのが企業や一部の鍛治師で、完成するのが現代アートって感じ。
しかし企業の技術やら魔剣やらの設定考えるだけで時間が溶ける。お察しの通り私は設定厨ですし、まるでストーリーが進まねぇ…。


妖刀→?
インテリジェンスソード→?


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