異世界のなんちゃってJAPANな国に転生したので鍛治を極める話。   作:シオカラストンビ

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なんか書けてしまったので投稿します。



鍛刀②

 

ーーー心鉄の分も出来ました……。

 

「ふぅ…」

私は流石に疲れたと思いながら鍛治場の椅子に座る。

 

日本刀の刀身には〝皮鉄〟と〝心鉄〟があると言ったけど、ただ硬い玉鋼と粘り強い玉鋼を組み合わせるだけじゃ不十分。

 

どちらも積み沸かして、キチンと折り返し鍛錬をしないといけない。

 

まぁ心鉄の方は柔らかいから沸かしの時に砕ける心配がなくて、火床の火力にあんま気を配らなくてもいいんだけどね。

 

ただし此方もしっかり折り返し鍛錬します。

〝凄く粘り強い場所〟と〝少し粘り強い場所〟が割れチョコの種類みたいにあるので、これを一つのチョコに融合するようにします。

 

完成するのは〝全体が結構粘り強い心鉄〟

勿論さっき出来たのは〝全体が結構硬い皮鉄〟だ。

 

さてそれよりもだよ。

 

 

皮鉄も心鉄、何方も鍛錬したとあれば、これからどうすると思う?

 

 

ふっふっふ。

 

そうだね。

 

 

皮鉄の〝鍛錬〟だね………。

 

ちょい、今誰か呆れた声出したでしょ。

ふざけてないからね。

 

キチンと〝上鍛え〟って工程なんだからね!?

 

まぁ簡単に説明すると鋼の〝仕上げ〟だよ。

さっきまでやってた下鍛えで大雑把に不純物を飛ばして、上鍛えで更に搾り取るんだ。あと魔力がキチンと混ざってるかの確認もする。

 

下鍛えで層になった鋼を更に折り返し鍛錬する。

不純物はとうとう一ミリも無くなって、炭素と魔力は更に均一化する。鋼の品質は完璧。出来上がりが楽しみになってくる。

 

 

じゃあ早速休憩も終わりにして上鍛えを……。

 

 

「アスカ、今日はもうやめにしなさい」

「ん…?」

 

 

そうして立ちあがろうとした私の肩に、手が置かれた。振り返れば毎日見る顔。

 

「お父さん」

「夏休みだからって朝から鍛治場に篭られる身にもなってくれよ。義父さん…お爺ちゃんが亡くなって焦るのは分かるけど、身体にも良くない」

「む…」

 

此方を本気で心配しているお父さんの顔に、確かな申し訳なさを覚える。汗でぐっしょり濡れている筈なのに、お父さんは躊躇いもせず私の頭を撫でた。

 

「アスカは充分頑張ってる。夕飯の準備出来てるから、片付けをしてお風呂に入ってきなさい」

「……はい」

 

用意周到だなぁ。

そんなことを軽く思いながらも、明日やる工程の準備をしてから家へと戻った。

 

 

 

⭐︎

 

 

 

「「ごちそうさまでした」」

最近少し寂しくなってしまった食卓で食事を終えると、アスカとソウヤの二人で茶碗を洗い、明らかに一人分は多く作ってしまったお菜を残り物として保存した。

 

それにアスカが悲しいような嬉しいような顔をして、アスカのその表情に気付いたソウヤは苦笑した。

 

「癖ってのは中々直らないものだからね」

 

しかし、いつかは治ってしまうのだろう。

アスカの母が、ソウヤの妻の時がそうであったように。

 

「うん…」

「…今日はもう遅いけどどうする?

テスト期間でもないからゆっくりしてるかい?」

 

「…蔵の武具、手入れしてよっかな」

「ああ、わかったよ。居間に飾ってるのは俺がしておく。風邪ひかないように気を付けて」

「わかった」

 

つくづく刀剣や武具の好きな子だ。

母さんとは大違いだな、この場合義父さんか自分に似たんだろう。そう思いながらソウヤ笑って送り出す。

 

アスカが床を踏む音はすぐに遠ざかり、部屋は静寂に包まれた。

 

〔さて、俺もやるか〕

 

テーブルを拭いて夕飯の片付けを終わらせ、ソウヤは居間へと歩いていく。前よりもずっと賑やかさを失った鍛冶屋敷は鉄と木の匂いだけが寄る辺となり、夕暮れの中でソウヤを一つの部屋へと招いた。

 

それは無駄が省かれた、そして歴史の重みを感じる居間だった。

 

几帳面だったキジトシが日々手入れしていたその部屋、これからはアスカかソウヤが代わりにしていかなければならないだろう。

 

そんな居間の床の間に、二振りの刀が飾られていた。打刀と短刀、上品に拵えられた筈のそれをソウヤは見つめた。

 

が、やっぱり暗くてよく見えなかったので照明を付けた。

それから膝立ちになり、手を合わせ一礼してから打刀を持ち上げる。正座の状態となり刀身を鞘から抜くと、そこにはサビ一つ、傷一つない美しい鋼が現れた。

 

霞がかる山々を描いたような涛乱刃に匂出来。

中反りで中切先、豪壮な身幅は國家が打つ刀の特徴だった。

 

〔義父さん…〕

これはいつかキジトシが打った最高傑作の〝影打〟、依頼人へ渡すに値する真打の予備である。ではその真打はというと。

 

とうの昔にソウヤが使い潰していた。

 

〔…良い刀だった〕

 

ソウヤは元ダンジョン探索者。

ダンジョンへ潜っていた頃の得物は、全てキジトシが打った物を使っていた。

 

己自身が気に入られていたお陰で金銭的な得をしていたのも理由の一つだが、キジトシが打つ刀は妙にソウヤの手に馴染み、確かな性能を発揮した。

 

だが真打が折れた時、ソウヤの戦闘職生命が折れたのも確かだった。

 

〔…〕

今や血も通わない、膝から下が無機物の義足となってしまった右足を正座のまま撫でる。

 

この世界では、エリクサーや培養技術など失くした四肢を再生する薬や技術も発展している。だが同時に〝癒えない傷を残す技術〟も発展しているのだ。

 

〔自分が色々な意味でも死ぬ場所は…きっとダンジョンの奥底だろうと思ってたんだけどな〕

 

だが結局、ソウヤが足を失ったのは〝戦争〟の最中だった。

 

目を閉じれば簡単に思い出せる。

ダンジョンなんかよりよっぽど地獄の有様をしていた、あの忌々しい〝企業戦争〟を。

 

現代には過ぎたる力を行使する企業とその兵士。

そして無辜の人間達にも戦火が振りかかり、数多の大義名分が混沌と混ざり合う。

 

企業の手よりダンジョンの門が閉じられた時、路頭に迷った探索者は企業の尖兵として戦争に出るしかなかった。

 

かつてダンジョンのモンスター達だけを斬った刃が人を斬る。

とある戦場では、かつてダンジョン内で肩を並べた事もあった戦友と斬り合う羽目にもなった。

 

自分達には戦うことしか能がないのは分かっている。

だがそれでも、あんまりじゃないかと思わずにはいられなかったのだ。

 

ソウヤが自身の足を失った戦場。

そこはエンシンカンパニーが発明した〝概念ごと物を焼滅させる焔〟が飛びまう場所。

 

目の前で火だるまになった〝それ〟を、ソウヤは敵か味方か分からなかった。顔も名前も、覚えていた記憶が焼け落ちていって、〝それ〟の情報が世界から消滅していく。

 

焼けていく〝それ〟を、どう呼ぶべきなのだろうか。

 

知っていた顔らしいモノが現実と脳内、同時に燃やされていく。

剣を握ってた筈の指は焼け落ち、いや…そもそもそれに指などなかった気もしてくる。ならば溶け崩れる剣の銘は?

目の前の〝それ〟がよく自慢していた覚えがあるのに、その剣の名を思い出せない。その剣は何だ?、どんな代物だった?

 

……ならこれは剣などではなかったのか?…思い…出せない。

ならば蠢く〝それ〟は、そもそも人間ではなく。

 

そうなれば喚き縋り付く〝それ〟を、態々殺して黙らせたソウヤは。

 

いったい、何なのだろうか。

 

 

しかしその戦場で真打が溶け折れたのは、間違い無くソウヤがやってはいけない事をやり過ぎたことへの罰であったからだろう。

 

 

野戦病院のベッドの上。

血と油、硝煙と何かが焦げる匂いの中で目が覚めて。

 

違和感を覚え、右脚を見ても何もなかった。

 

大部分が焼け落ちていた、だが骨と少しの肉はまだ焼けておらず〝概念が残っていた〟ので、そこで切り落としたという。

そして燃え残った足という概念に沿わせてなんとか義足を作り、ソウヤは戦いから身を引くことになった。

 

〔もう、20年は昔のことだ。〕

 

20年経っても、たまに思い出してしまうともいえる。

それに……未だにアスカへ詳しく話せていない事でもある。その実あの戦争は誰が悪いとかは無かったのだ、〝偶然の連続〟で起きてしまった悲劇でもあったのだから、どうしても話すと私見が混ざってしまう。

 

〔でも一つだけ確実に言えることはある。

あの戦争で勝ったのはヨルカゼコーポレーションだ〕

 

『ヨルカゼコーポレーション』

それは〝ダンジョンを創る技術〟を持った企業だった。

 

埒外の遺物を解体し、再構築したモノとされるその技術は世界全土に広がり、今やヨルカゼは知らぬものなどいない世界的大企業。

 

〔そしてヨルカゼが創るダンジョンは〝記憶を元にする〟…〕

英雄の鎧、竜王の爪、覇王のマント、大将の軍刀、聖女のロザリオ、歴戦スライムの核、波瀾万丈の人生を送った人物の肉体。そういった物や遺物が〝見てきた世界〟を具現化する。

 

その中を探索し手に入れた物は不思議な事に現実に持って帰る事が可能で、それら資材や遺物を持ち帰ることによって、今のダンジョン探索者は利益を出す。

 

〔ただし天然のダンジョンじゃなくて記憶を元に創ったから、そこから回収できるものは〝うろ覚え〟、つまり品質はピンキリなんだけどね〕

 

しかしそれはダンジョン探索業が盛り下がる事足り得ない。

 

実際、現在ダンジョン探索業は最盛期を迎えているのだ。

元々天然のダンジョンから取れる物と言えばアダマンタイトやミスリル、遺跡へ600年前に保管された遺物達だった。

 

ただしそれらの魔力や〝神秘〟を多量に含む物達付近は肉体の大部分を魔力などで構成するモンスター、その発生率が高い事を意味し、だからこそダンジョン探索業は高い危険性を持っていた。

 

何よりダンジョンは一度探索し尽くすと二度と神秘が宿らずダンジョンでなくなる。

 

いつか必ず尽きる金鉱脈のようなものだったのだ。

 

しかしーーー

 

ーーーヨルカゼの『幻想開闢鍵』は容易くダンジョンを生成する。

 

既存の遺物や鉱石から発するなけなしの神秘がダンジョンの形となったわけではない。

ヨルカゼが送る世紀の発明たる『幻想開闢鍵』は物に刻まれた記憶を元に任意でダンジョンを生成する事が出来る、故にそれは魅力的な技術であり、稼げる探索業を生んだ。

 

ヨルカゼの技術がダンジョンを増やし、ダンジョンはその探索員。

今風に言えば『冒険者』を数多く増やした。

 

 

そして無論、そうなれば冒険者が使う武具の需要も増大してくる。

 

 

次第に優れた機能を持つ武具は優遇され、そうでないものは淘汰される。

他の鍛治師の技術を取り込み、遺物の劣化コピー品や大金を注ぎ込んでは更なる優れた機能を持つ武具や技術を開発、発明する。

 

 

その力で、人類は600年以上前の神秘全盛期へと挑みかかるのだ。

 

 

「アスカ、お前は大変な時代に生まれたよ」

 

かつてソウヤがダンジョン探索をしていたヨルカゼ黎明期とは訳が違う。

時の経過により何処か手探りだった人工ダンジョンの探索法は洗練され、増え続ける冒険者の教育も完備されている。

 

同時にそれでもダンジョン内で死ぬ人間は多く、冒険者の多産多死は極まっている。事情により引退せざるを得なくなった冒険者も数多く、結果冒険者崩れによる治安の悪化なども引き起こされる。  

 

反社組織がのさばり、彼等もまた武器を求める。

国家は優れた技術を持つ企業を扱いきれず、手放しになる。

 

そして利益を求める彼等は簡単に悲劇を生み出すのだ。

 

そんな状態が世界中ーーー

 

ーーーまた〝ただ一つ〟へ特に集中している。

 

だが何にせよ武具と技術の性能競争は激化し、他者を蹴落とし合うのある種の弱肉強食の極みへと変貌しようとしていた。

 

 

「そう思うと焦る気持ちも間違ってはいないかもな…

 

……でも、身体は大事にしてほしいよなぁ…」

 

たった一人残った家族である娘を思い、声を漏らす。

 

ソウヤに残っているものはアスカだけだ。

 

その他はもう、手から溢れ落ちているか焼け失せている。

夢の中、目前で燃えている〝それ〟がなんなのか、最近は考えることが多くなった。前までは他にも見たいものが沢山あったというのに。

 

昔はダンジョンの中にある物が気になって仕方がなかった。

辛い時に寄り添ってくれた愛する妻を想うことで精一杯だった。

尊敬する義父がいつまでも元気でいてくれるよう頑張っていた。

 

しかしもう、それらはとうに叶わない夢や、必要のない事で。

 

 

他の自身を構成するモノが溢れ、焼け落ちて。

 

残ったものは、健気に娘の将来を思う父親一人だけだった話なのだ。

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

〔鍛錬したい鍛錬したい鍛錬したい鍛錬したい。

早く剣を打ちたい。早く明日にならないかなー。今打ってるのはお爺ちゃんが長く付き合いのあった大事な顧客の依頼だし、無碍には絶対出来ないし。それに最近は協会の審査が厳しくなってるって噂だから腕を磨かないと。あれでも確かもうすぐ剣術大会…あーもうめんどくせぇっ!、棄権したくないしもー!、いいもん剣術と鍛治どっちもやってやるもんね。

なにお爺ちゃんならこれくらいできたっしょ〕

 

ソウヤの親心虚しく、既にワーカホリック気質が出来上がってきているアスカであった。

 

なおこの状態でも武具の手入れは完璧である。

 

 

 

⭐︎

 

 

 

翌朝7時になりました。

と言うわけで〝上鍛え〟のお時間です。

でも昼飯を抜いたり、夕暮れまで鍛治場から出なかったりしたらお父さん流石にブチギレる。ので時計を見るのには気をつけます。

 

耐熱性抜群!、エンシンカンパニー製『炎中時計』くん!

頑張ってね!

 

……そういやサンタのクリスマスプレゼントにこれ頼んだ時、お父さんめっちゃ嫌な顔してたの何でだろ…。

廃番でそこそこのレア物だったからかな…。

 

 

まぁそれはおいといて。

じゃあまず折り返し鍛錬をするために昨日鍛錬した皮鉄と心鉄を用意します。それでさっそく取り掛かりたいところだけど、この時私にはやるべきことがある。

 

〝透視眼〟での内部構造の把握だね。

普通の鍛治師では今私が持ってる皮鉄、テコ棒の先にレンガみたいに固められているこれの内部まで確認することは出来ない。

 

だけど私は10年かけて鋼を見極める目を透視眼と合わせてひたすらに鍛え続けた。この鋼を見抜く目だけは私が自信を持ってお爺ちゃんを越えてるという自負まであるんだ。

 

ズルいとかチートとか言われても仕方ないけどさ。

 

〔でも折角この透視眼を持って生まれて来れたんだ、使わなきゃ損でしょ〕……あった」

 

それにやっぱり、見つけられた。

しかも昨日何度も確認したはずの場所に濃さの偏りがある。

お父さんに感謝だ、昨日あのままやってたらミスる可能性があった。

 

時間を置いてみる、これ大事ね。

 

それじゃあ炉に炭を適量入れて炉に火を入れる。ふいごで火力調整して、ちょうど良くなったら皮鉄を炉に突っ込む。

 

キチンと中まで火が通るまで待って、取り出してスプリングハンマーで叩き伸ばす。タガネで切れ込みを入れて折り返す、叩き伸ばす。

しかもそれは昨日よりずっと丁寧に確認しながら行う。

 

叩く、見る、折り返す、叩く、見る、折り返す。

 

折り返し鍛錬の最中、叩いて飛び散る火花は主に不純物が含まれてる。

だから回数を重ねていくごとに飛び散る火花の量が減る、下鍛えの最初の頃は凄かったけど、上鍛えの佳境に入れば全然飛ばなくなっていく。

それは鋼から不純物がなくなっていっている証でもあるんだ。

 

透視眼を使って内部をくまなく見る。

うん、魔力も完全に混ざり合ってる。

 

そして鍛錬の面白い所はこの混ざり合って完成した魔力は〝唯一無二〟だということ。

 

玉鋼に与えられた概念と共にある魔力達。

魔力を込めた人達はきっと種族も年齢も性別も違う、そうなれば魔力も千差万別。

 

その千の魔力を鍛治師は〝究極の一〟に纏め上げる。

 

〝皮鉄と心鉄、それぞれでね……〟

 

よし、皮鉄と心鉄、〝上鍛え〟完了…。

…そしてこれから話すのは、何故現代では遺物の武具を再現できないかの話だ。

 

 

まず遺物の武器にも2種類あるんだけど、まぁ今回関わるのはその片方、〝古刀〟のお話。

前にも言った様にこの世界の武器は大体玉鋼か特殊合金で出来ている。

 

でもその素材の質は600年前とまるで違う。

特殊合金の元になる鉱石は〝神秘〟が薄れてグレードダウン、そして玉鋼への魔術儀礼は〝それを行う個人が持つ魔力量が激減した事で一人で完遂することは不可能になった〟

 

じゃあそもそも一人の魔術師により完成された玉鋼がどんなものかと言えば、〝濃さのムラはあれど魔力の種類は一つ〟の物のこと。

 

これから、私は〝造り込み〟という工程を経て刀を完成させる。

 

心鉄を皮鉄でサンドするようにくっ付けるんだ。

〝混ぜ練り固めるんじゃない〟あくまで〝くっ付けるんだ〟

 

皮鉄をU字型に折り曲げて、その中にI字型のように細くした心鉄を入れる。これを〝甲伏せ〟とも言う。

 

挟み込む皮鉄は硬く鋭く、心鉄は粘り強く折れない。でも致命的に〝魔力の質が違う〟んだ。

皮鉄と心鉄の魔力はそれぞれで唯一無二だからね。

 

じゃあ鍛錬した時みたいに混ぜ合わせてやればいいって?

そんなことした皮鉄の〝硬い〟という概念と心鉄の〝粘り強い〟っていう概念が対消滅するよ。そもそも皮鉄と心鉄混ぜたら鋼自体の炭素量が乱れるしね。

 

そう、ここまでやっといてこの刀は究極の〝一〟にならない

 

皮鉄の一と心鉄の一が合わさった、言わば究極の〝二〟になるんだ。

 

数字で言えば一より多いかもしれないけど、余分を捨て去る鍛治師にとっては致命的なこと。鋼がキチンと組み合わさっても、魔力が噛み合わないんじゃ出来栄えはほぼ半減するといっていい。

 

さてここに魔力の質が既に統一された玉鋼があるとする。皮鉄と心鉄、何方も同じ人が魔術儀礼しました、魔力のムラはあっても種類は一つです。

 

はい、鍛錬しても魔力の質は大して変わりありません。

 

ということは皮鉄と心鉄の魔力の質の違いも大してありませんね。 

鋼と何より魔力が素晴らしく噛み合います。

 

完成するのは究極の〝一〟です。

 

…。

 

……いやね、別に玉鋼を作ってくれてる魔術師達に文句を言ってるわけじゃないよ。私も魔術儀礼を体験したことあるから大変さも身に染みてる。

 

素材ばっかり悪いわけじゃない、私達鍛治師にも失伝してる工程があると言われてるし。600年前とは違い、神秘の薄れた今の人間達じゃ身体能力や五感なども低下してるらしいし。

 

もしかしたら私の透視眼のみたいなこと、昔は多くの人が出来ていたかもしれないしね。

 

でもそれらは私が鍛治の道で妥協する理由にはならないし、ましてや鍛治を極めない理由にはならない。  

 

むしろ俄然絶対に遺物を越えてみたくなる。

 

次は〝素述べ〟

造り込みによって出来た鋼を遂に〝刀の形〟にする為、打ち伸ばしていく大事な工程だ。

 




作者「今出せる情報の見極め難しいねんな……あんまり鍛冶の工程進まなかったし…」
なので次は全部鍛治パートだと思います。
ちなみに人工ダンジョンの話がややこしかったと思うので軽く解説しますが。

〝並行世界を投影してそこから物を取ってくる〟

そう考えてくれたら嬉しいです。
神秘とか記憶とかはまだ関わらないと思うのでゆる〜くでいいです。

追記 猪切先→中切先に変更致しました。申し訳ありません。

オマケ
『炎中時計』 作 エンシンカンパニー
耐火、耐熱性に優れる懐中時計。
しかしその実思う様には売れず、結果これはエンシンカンパニーの私兵団、悪名高き焼却騎士団に支給されることになる。

いつしか灼熱の中、それでも変わらず秒針を刻み続けるその厳格さは騎士団の象徴とも呼ばれ、彼等の結束を高める事となった。

地獄の中で生まれた絆に、如何なる意味があったのだろうか。
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