HPVワクチン集団訴訟を傍聴する産婦人科医「たぬきち」先生インタビュー
noteでHPVワクチン集団訴訟の裁判記録を公開している産婦人科医「たぬきち」さんに取材しました。
裁判記録の正確性、その他、事実関係の確認はわたしの方では行っていません。ご了承の上、ご覧ください。
村中(以下、M): 傍聴をはじめたきっかけを教えてください。
日々の診療で子宮頸がんとワクチンをめぐる現状への強い憤りを感じていました。その怒りの度合いについては、こちらのツイートを見ていただければわかると思います。
傍聴はマスコミが報じないので、また自分の知的好奇心を満たすために始めたことでしたが、noteで書き起こしたものを公開したところ反響が大きく、最初は大阪地裁だけだったところ名古屋や福岡の地裁にも行かれる範囲で足を運んで傍聴を続けています。
M: 傍聴はいつからですか?
2019年大阪地裁、HANSの女の子たちが証言をした回からです。
M: 女の子たちの証言を聞いた時の感想は?
この子たち、本当にかわいそうだなって。まちがった大人たちに囲まれている。議員とか弁護士とか、間違った大人に囲まれて「ワクチンのせいだ」と洗脳されている。だから治らない。中でも問題なのは医者ですね。
勧奨再開で本当のことが言えるようになった医師たち
M: 先生の公開している裁判記録を見る限り、わたしが取材していた頃とは違って、最近の裁判では医師たちが名前を出して「誤診」「異常は認められない」「HPVワクチンとの因果関係には全くなっていない」などと断定的な表現でワクチンによる薬害を否定しています。こういう雰囲気になったのはいつ頃からですか?
2023年3月ころです。やっぱり勧奨が再開したのが大きいですね。それまでは「国が勧めていないワクチンを勧められない」「名前を出して発言すると変な患者が押しかけてきて病院や大学に迷惑をかけるかもしれない」などの理由でなかなかはっきりしたことは言えなかったのだと思います。
M: ただ、裁判では、相変わらず現役の第一線で活躍している医師の証人が少ない。それに、最初からもっと医学界が一丸になって薬害を否定していればこんな事態にならなかったのに、というのがわたしの印象です。この辺りについてはどうですか?
同じ意見です。証言台に立った医師の1人は「本当は現役の教授たちが出た方がいいと思う。しかし、どこかに迷惑をかけるかもしれないと思うと出たい人、出られる人は少ない。大学病院での仕事に加えて法廷にもとなると負担も大きい。社会奉仕の意味で半分引退している自分が来た」とおっしゃっていました。
挑発的・威圧的な態度が目立つ原告弁護団
M: 私が信州大医学池田修一元教授から名誉棄損で訴えられた時もそうでしたが、原告側の弁護士はかなり煽ってきますよね?わたし自身はこんなに煽られるとも知らず、自分の弁護士からの指導もなかったのもあって冷静に対応できなかったという悔しい思いが残っています。原告弁護団のこうした態度は裁判官の心象を害さないのでしょうか?
かなり害していると思いますよ。それでも、被告側の医師たちに「ワクチン薬害説は間違っている」と最後まで言わせない方がいいという考えなのでしょう。一方、被告側に立って証言している医師たちも冷静に毅然と対応するよう、被告側の弁護団から指導されている印象です。
M: 特に印象に残っている期日はありますか?
1つは、近畿大学微生物学講座の角田郁生先生の期日ですね。原告弁護団は撤回論文や未査読論文を出してきて滔々と薬害を主張。でも、角田先生の筋のとおった反論を受ければそれにきちんと答えることはできず、挑発したり恫喝したり遮ったりと、原告弁護団の質の悪さが露呈した期日だったと思います。
もう1つは大阪大学核物理研究センター特任教授の畑澤順先生の期日です。
もっとも衝撃的だったのは、鹿児島大神経内科は、放射線科で「異常なし」と診断された脳SPECTの画像を「異常あり」と勝手に覆して論文にしようとしていたことです。これらの画像は畑澤先生が読影しても全例異常なしでした。
ぼく自身は、鹿児島大学ではSPECTで何らかの異常がたまたま見つかって、それを勝手にHPVワクチンのせいにしているのだと思っていました。でも、実際にはそんなレベルの話ではなかった。
SPECTは被爆を伴う検査なので、明らかな診断上のメリットがなければ受けさせてはならないはずです。畑澤先生も「SPECTは新しい病気を見つけるために使う検査ではない」「すでに診断がついているものについて補助的な情報を得るために使うもの」だとおっしゃっています。
そして、そのSPECTの画像データをもとに書いた「論文」が薬害の証明だというのですが、そのほとんどが未査読(科学的な論文として受理されていない)か査読の甘い雑誌に掲載されたものです。
おそらく、そういう論文とは言えないような論文を患者さんに見せて、「“ワクチン後遺症“は脳SPECTを撮ると異常が見つかる。データが集まれば今から薬害が証明される」などと言ってSPECTをどんどん撮っているのでしょう。
これは倫理的にも問題です。
「他の科の言うことは信じるな、心の目で見ろ」
M: 鹿児島大ではどうしてそんなことが起きているんでしょうか?
鹿児島大学神経内科(高嶋博教授)の元医局員だという医師からも連絡をもらいました。その医師によれば、高嶋先生の講座では
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購入者のコメント
2報道は恐らく判決待ち。池田医師召喚の裁判を傍聴したが、製薬会社弁護士から貴方の理論の実験は再現性がないがと問われ、実験は腕が問われるとの趣旨を述べていた。唖然とした。
それはすごいですね。では、ご本人に何度でも再現していただき、Nを揃えてほしいですね。