今月で91歳を迎える映画監督の朴寿南(パクスナム)さん=神奈川県=は、かつて「原爆スラム」と呼ばれたバラックに住み込んで被爆者を取材するなど、広島と深く関わってきた。その人生の集大成となるドキュメンタリー映画が6日から広島県内で上映される。
タイトルは「よみがえる声」(148分)。基になったのは、在日朝鮮人2世の朴さんが40年以上前から16ミリカメラで撮りためた10時間分のフィルムだ。
登場するのは、広島、長崎で被爆した人や「軍艦島」(長崎県・端島)で働かされた元徴用工、旧日本軍の慰安婦にされた女性ら。いずれも終戦まで日本が植民地とした朝鮮半島出身の人たちで、多くは故人だ。
「胸が苦しくて、そのときのことは話せません」「こんな悲惨な世の中がどこにありますか」。取材者である朴さんの質問に答えて絞り出される言葉はどれも重く、表情を含めて見る人の心に深く残る。
制作のきっかけは、10年ほど前に朴さんが脳梗塞(こうそく)で倒れたことを機に、自宅に置かれて劣化が進んだ未整理のフィルムを長女麻衣(マイ)さん(57)が一つひとつ確認し、デジタル化したことだった。
ただ、「いくら貴重な映像と言っても、そのまま見てもらうだけでは、若い世代には伝わらない」と麻衣さんは考えた。
ペンの記録から映像撮影に切りかえた理由
そこで、一軒家に同居し、け…