「死にたい」は「助けてほしい」、「SNS上の涙」につけ込む悪意 悩み抱える若者多く、足りない受け皿
インターネット上で相談に乗り自殺予防に取り組むNPO法人OVA(東京)の伊藤次郎代表理事は、若者がSNSを通じて犯罪に巻き込まれる背景について、そう指摘する。 一方、「死にたい」という言葉は助けてほしいという生にしがみつくための「SNS上の涙」だとし「適切な窓口とつながれば、支援を届けられた可能性もある」と悔やんだ。 2017年に神奈川県座間市のアパートの一室で9人が殺害され、当時20代だった男が逮捕された事件では、SNSに自殺願望を書き込むなどした若者が犠牲になった。 厚生労働省は事件を機に、民間の支援団体とSNSを使った相談事業を2018年3月から開始。2023年度の相談数は27万5270件に上り、年齢が分かるうち約7割を20代以下が占めた。OVAでも2024年度に2千人近く支援したが、伊藤代表理事は「自殺願望を書き込む人があまりに多く、受け皿は圧倒的に足りない」と話す。
▽居場所づくりが必要 SNS事業者も自殺に関する書き込みを投稿したり、検索したりすると、相談窓口や支援情報を表示するなどの対策を進めているが、隠語でやりとりするケースも多くいたちごっこが続いている。 ITジャーナリストの三上洋氏は「自殺願望を投稿した人に直接会おうとしたり、個別の通信アプリに移行して隠れてやりとりしようとしたりするアカウントに対しては警告の発出や、利用停止にするなどの一歩踏み込んだ対策も必要だ」と指摘した。 SNS事業者や心理カウンセラーで構成する「全国SNSカウンセリング協議会」の浮世満理子常務理事は、SNSでの相談に加え、現実社会での居場所づくりが必要だと訴える。 浮世氏は2022年、通信制サポート校「アイディア高等学院」を設立した。不登校支援に力を入れ、生徒は週に1回専属のカウンセラーとSNS上か対面で面談する。少人数制の中で、少しずつ友達ができ、コミュニティーをつくっていくようになる。
「カウンセラーと普段から嫌いな教科や推しなどたわいもない話をする」ことで、信頼関係ができ、生徒は本当につらくなった時も連絡するようになるという。「いざとなったら話せる人を普段からキープし、悩みを吐き出すときは、SNS上の知らないアカウントではなく、身元のはっきりしている人にすることが重要だ」