「ディーラーに勧められたので…」残クレ利用者の7割がハマる「全額利息」という沼――なぜ月々の支払いは軽く見えるのか?
残価設定ローンの実態
新車を買う場面で当たり前になった残価設定型ローン(残クレ)。その実態について、153万人の登録者を持つYouTubeチャンネルを運営する税理士の菅原由一氏が、全国の利用者180人を対象に調べた。2026年2月に行われたこの調査からは、利用者の思い込みと現実の間に、小さくないズレがあることが浮かび上がってきた。 【画像】4年で108人死亡! 岡山県「人食い用水路」を見る(計10枚) この支払い方を選んだ理由として、半数の50.0%が「月々の支払い額を抑えたかった」と答えている。手元の現金を残しながら新車に乗る。一見すると賢いやりくりに見える。だが、お金の動きを細かく見れば、今の生活を守るために、実はかなり高い手数料を支払っていることになる。月々の負担が軽く見える陰で、将来の稼ぎを今の消費のために、不利な条件で前借りしているわけだ。 また、40.6%が「ディーラーに勧められた」とし、24.4%が「本来は手が届かない価格帯の車に乗りたかった」と答えた。ディーラー側の勧めに乗る形で、自分の稼ぎに見合わない大きな借金を抱えている利用者が少なくないことがわかる。表向きの支払額の低さに目がくらみ、家計のバランスが崩れていることに気づかないまま、判を押しているのが現実のようだ。
論点の分かれ目
残クレをめぐる議論を整理すると、いくつかの視点が浮かび上がる。月々の支払額の低さをどう評価するか、売り場の勧め方に非はないか。そして、中身をよく知らないまま判を押す側のあり方。置かれた立場や考え方によって、この仕組みへの見え方はがらりと変わってくる。 調べによれば、「車両価格全体」に利息がかかることを知っていた利用者は、わずか32.8%だった。あとの 「67.2%」 は、仕組みをよく飲み込まないまま契約を結んだ恐れがある(「なんとなく聞いたことはあった」「知らなかった」)。ふつうのローンであれば、返済が進んで元手が減るにつれて、金利の負担も軽くなっていくものだ。だが、この仕組みは数年後に返す分として据え置いた金額に対しても、全期間を通して利息がつきまとう。つまり、減ることのない大きな元手に対してお金を払い続けるわけで、仕組みそのものが金利を膨らませる形になっている。 手元の現金を残したいという、今のやりくりを優先するなら、月々の負担が軽いこの仕組みは助け舟になるだろう。けれど、払う合計をできるだけ抑えたいという長い目で見れば、かなり損な借り方といわざるを得ない。議論の足並みがそろわないのは、利用者が ・今の支払い ・最後までの合計 のどちらを重く見ているか。その前提が根っこから違うからだ。