「なぜ南鳥島に」 突然立った白羽の矢、地元困惑 核のごみ文献調査

太平洋に浮かぶ日本最東端の島・南鳥島=航空自衛隊C130輸送機から2012年11月21日午前11時39分、鈴木泰広撮影 拡大
太平洋に浮かぶ日本最東端の島・南鳥島=航空自衛隊C130輸送機から2012年11月21日午前11時39分、鈴木泰広撮影

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、経済産業省が文献調査の実施先の候補として日本の最東端に位置する南鳥島を選んだ。地元の請願や議会の決議などを経ずに国が「トップダウン」で候補地を選ぶのは初めて。3日に経産省の担当者から申し入れ文書を受け取った東京都小笠原村の渋谷正昭村長は「説明会等における村民や村議会の意見などを踏まえながら判断する」としているが、突然立った白羽の矢に地元住民らからは困惑の声が上がる。

 事態が本格的に動き出したのは2月9日だった。渋谷村長が上京した際に、経産省側が調査内容や処分場の必要性を村側に正式に説明したいと打診した。「住民への説明会をしっかりやっていただきたい」と渋谷村長は回答。今回の申し入れへの道筋が固まった。

 村の人口の約8割を占める父島から南鳥島は約1200キロ離れている。それでも村で観光業を営む男性は「寝耳に水で、正直なぜ南鳥島なのかという思いがある。どこかが受け入れないといけないというのは分かるが『日本の一番遠いところで何かあっても本土に影響がない』と勝手に決めたんだろう」と驚いた様子で話した。別の男性は14、15日に開催される住民説明会に参加するつもりだという。「島から離れているとはいえ、漁師は遠くまで漁に出るので魚に影響がないのか気になる。観光業への影響を不安に思う人は多いのではないか。村長には村民の意見も聞いて、慎重に判断してほしい」と求めた。

高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に関する経済産業省の申し入れ書を受け取る東京都小笠原村の渋谷正昭村長(右)=同省提供 拡大
高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に関する経済産業省の申し入れ書を受け取る東京都小笠原村の渋谷正昭村長(右)=同省提供

 村役場は3日、村外から代理のスタッフを置いてマスコミ各社からの問い合わせに対応した。村民向けには専用電話を4日に開設する。

 文献調査の後、第2段階となる概要調査に進む場合は村長に加えて都知事の同意も必要となるが、都庁では担当部署が急きょ決まるなど対応に追われた。小池百合子知事は3日、報道陣の取材に「渋谷村長がどのような対応をされるのか、都として注視をしていきたい」と述べるにとどめた。

 都の幹部は、村長が経産省側に「速やかに村民向けの説明会を開催し、地層処分や文献調査の内容などについて丁寧な説明を行っていただくことをお願いした」とコメントしたことに着目する。

 文献調査に同意すれば最大20億円が交付される。小笠原村の2025年度の一般会計当初予算額は60億円規模で、少なくない影響があるとみられる。「もし、文献調査に全く興味がなければ、こんな表現にはならないのではないか」とささやく。【椋田佳代、木原真希、柳澤一男】

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