1996年9月、上智大4年の小林順子さん=当時(21)=が東京都葛飾区の自宅で殺害、放火された事件で、小林さんの大学のゼミの後輩でこの事件や犯罪被害者の苦悩を伝えている記者がいる。ノンフィクションライター水谷竹秀さん(45)=東久留米市=は昨年、警視庁から捜査協力の依頼を受けたことをきっかけに、関係者を取材して小林さんの人生を描いた。「事件はまだ終わっていない」。ジャーナリストになる夢を果たせなかった先輩の思いを伝えている。(奥村圭吾)
◆DNA型の検査協力を機に取材
「警視庁捜査1課です。上智大生殺害事件の捜査で伺いました」。昨年9月下旬の日曜日の昼前。自宅を訪ねてきた男性捜査員から「DNA型の検査に協力してほしい」と頼まれた。
「任意ですか?もし断ったら」と尋ねると「大丈夫ですが、水谷さんのことを周囲に聞いて回ることになります」と言われた。そのため、検査用スポンジで口の粘膜を取って提出した。
「23年がたつのに、まだ捜査を続けていたのかと正直驚いた」と水谷さん。この出来事を会員制交流サイト(SNS)で発信すると、出版社の目に留まり、事件の特集記事を手掛けることが決まった。
水谷さんは小林さんの2つ下の後輩。3、4年生が所属するゼミは入れ違いで面識はなかった。小林さんはどんな人生を歩んだのか、なぜ事件に巻き込まれてしまったのか、捜査の進展は―。現場を歩き、頭に浮かぶ疑問を遺族や知人、捜査当局に直接ぶつけた。
◆意欲的に現地調査をした姿描く
特集記事は昨年12月、主婦と生活社(東京)の雑誌「週刊女性」に掲載され、同社のニュースサイト「週刊女性プライム」にも転載された。同大英語学科で最もレベルの...
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