アレックス・カープとわたしには、ほとんど共通点がないように見える。わたしはトランプ政権に厳しい報道を続ける『WIRED』で働いている。一方のカープは、時価総額4,500億ドル(約70兆円)を誇るパランティア(Palantir)のCEOであり、CIA(中央情報局)やICE(移民関税執行局)といった政府機関と契約を結び、ガザで軍事作戦を展開するイスラエル軍にも製品を提供している。
わたしはニューヨークのイーストビレッジに住んでいるが、カープが最も多くの時間を過ごしているのは、ニューハンプシャー州の田舎にある約200ヘクタールの敷地だ(2024年、彼は米国で最も高額な報酬を受け取った経営者のひとりだった)。
わたしは英語を専攻したごく普通の学生だったが、カープは法学の学位に加えて哲学の博士号ももち、伝説的な思想家であるユルゲン・ハーバーマスのもとで学んだ。わたしは自分を進歩的だと考えているが、カープはそうしたものを「異教」とみなしている。
だが、ひとつだけ共通点がある。わたしたちはどちらも、フィラデルフィアのセントラル高校という、特定の分野に特化した教育を行なう高校の卒業生なのだ(ただし同時期ではない。わたしは58歳のCEOよりも数歳上である)。おそらくそれが、カープが今回インタビューに応じてくれた理由だろう。
ユダヤ系の小児科医の父と黒人アーティストの母のあいだに生まれたカープは、識字障害に苦しんだ経験をもつ。だが、セントラル高校で転機を迎え、その困難を乗り越えたことが、のちの成功につながったのではないかと、彼自身は振り返っている。
インタビューは、パランティアの法人顧客が集まる年次イベントで行なわれた。会場は浮かれた雰囲気に満ちており、まるでマルチ商法のサミットのようでもあった。アメリカン航空のような大企業から、比較的小規模な家族経営の会社まで、わたしが話を聞いた顧客たちは口をそろえて、パランティアのAI搭載システムは高価だが、それに見合う価値があると主張した。
だが、パランティアの収益の大半を占める主要顧客たちは、このイベントに姿を見せていなかった。それは米国およびその同盟国の政府関係者たちである(同社はロシアや中国とは取引していない)。
パランティアは、シリコンバレーのイノベーションを国防および政府テクノロジーに応用することを目的に設立された企業だ。
パランティアの社員であるニコラス・ザミスカとの共著で、カープは25年初めに『The Technological Republic(テクノロジー共和国)』[未邦訳]を刊行し、自身の哲学を披露している。驚いたことに、それは非常に読みやすい論説であり、シリコンバレーに対して愛国心が欠けていると痛烈に批判する内容でもある。
カープの見解によれば、アップルのMacintoshのマーケティングが打ち出した反体制的なムードこそが、奔放な個人主義を称揚し、国家の関心を軽視するテック文化の原罪だった。白いTシャツにジーンズ姿のカープは、カンファレンス冒頭のスピーチでこう切り出した。「われわれは20年前の創業以来、シリコンバレーとは断続的に対立してきました」
2020年、カープは本社をパロアルトからデンバーへ移し、パランティアはコロラド州で最も裕福な企業となった。
カープをディストピア的な超悪役とみなす人もいる。彼はそうした批判者に対して、攻撃的に、あけすけに、そして一片の後悔も見せずに反論する。
パランティアは、政府との長年の契約を通じて、自社ツールが戦場や諜報活動において効果的に活用できることを実証してきた。政府側も満足しているようだ。
パランティアはICEと「ターゲットの特定と執行」に関する数百万ドル規模の契約を結んでいる。簡単に言えば、強制送還の対象者を特定する作業をサポートしているということだ。ウクライナにおいても、同社の製品が致命的な攻撃の実行に寄与してきたと、カープは誇らしげに語る。
パランティアでは、「プライバシーと市民の自由を守る」「弱者を守る」「人間の尊厳を尊重する」「民主主義を維持・促進する」といった行動規範が掲げられており、それらが企業行動を拘束しているとされる。だが24年5月には、13人の元従業員が公開書簡を発表し、パランティアの経営陣が創業時の価値観を放棄し、「オリガルヒが率いる『革命』を装って権威主義を正常化することに加担している」と非難した。
また、同社がイスラエル軍に協力していることを理由に退職した社員がいることを、カープ自身が明かしている。それでもカープは、反対意見がまったく出てこない状況こそ、むしろ何かが間違っている証拠だと反論する。
わたしは、パランティアを熱心に擁護するその姿の奥底に、カープが「理解されたい」と願っている気配を感じた。彼は、誰もがICEやイスラエル、ウクライナの話題ばかりをもち出したがると言った。
わたしも、そうしたテーマに触れるつもりでいたし、実際に触れもした。だが、会話は次第にドナルド・トランプや民主主義、さらにはドイツ文化への愛着へと広がっていった。もちろん、セントラル高校の話題にも。
スティーヴン・レヴィ:フィラデルフィアのセントラル高校での経験が、あなたにとって大きな転機になったと聞いています。
アレックス・カープ:学校で、英才教育のためのIQテストを受けました。オールAをとれというような両親ではなかったのですが、担任のスナイダー先生がわたしのIQテストの結果を見て、「あなたには識字障害があるけれど、このIQで成績がBだなんてありえない。オールAじゃなきゃおかしい」と言って。そのとき、優秀な生徒だったわたしは傑出した生徒に変わったのです。先生がわたしの人生を変えたようなものです。
──多くの人が、パランティアが何をしている会社なのか、よくわからないと言います。ご自身の言葉で説明していただけますか?
諜報機関は、自国のセキュリティとデータを守りながら、テロリストや組織犯罪者を見つけるためにパランティアを利用しています。特殊部隊も同様です。自軍の兵士がどこにいるのかをどう把握するか。地雷や敵を避けながら、できるだけ安全に戦場に入り、撤退するにはどうすればいいのか。さらに、パランティアは民間とも取引しています。簡単に言えば、データ分析であれAIであれ、作戦や業務のために情報を運用する場面があれば、そこにパランティアのプロダクトが使われる、ということです。
──つまり基本的には、AIで情報を統合するということですね。シリコンバレーの多くの企業がやりたがっていることです。ただあなたは、パランティアほどそれをうまくできる企業はほかにないと主張しています。
わたしが言っているのは、わたしたちはそのやり方を知っている、ということです。もしほかにできる会社が見つかって、わたしたちとは仕事をしたくないと言うのなら、そこから買えばいい。それだけの話です。
──あなたがライバルだとみなしている企業はありますか?
パランティアの競争相手は、政治的なグループだと言えます。ウォーク(woke/“意識高い系”)な左派も、ウォークな右派も、毎朝目を覚ますたびに、どうすればパランティアにダメージを与えられるかを考えている。そういった人々が権力を握れば、パランティアに打撃を与えるでしょう。
しかもこれは、グローバルな話です。わたしは民主党を支持していますが、もしマムダニ派が党を支配したら? そのときわたしは関与しません。
あるいはウォークな右派──言い換えれば、すべては陰謀であり、テクノロジーは人類全体を攻撃し破壊するためだけに使われていると考える人たち──が実権を握ったら? パランティアは文字どおり、世界で最も悪用しにくいソフトウェアなのに、ウォークな右派はそれすら望まない。実力主義を否定する者たちは、パランティアを憎む。わたしたちは、そういう相手と競争しているのです。
──少し混乱しています。ここでなぜ、マムダニの話題が出てくるのですか?
労働が価値を失うと説明されると、人々はこの上なく馬鹿げた人物を選んでしまう。人工知能(AI)が主導し、汎用人工知能(AGI)が支配する世界では、誰もが仕事を失うと恐れているからです。大学やエリート機関も、有害な役割を果たしてきました。異教的な宗教観を教えている。生け贄を必要とする新しい宗教です。では、誰が生け贄になるのか? わたしです。わたしが生け贄なのです。
──わたしには、あなたが拘束されているようには見えませんが。むしろ、うまくやっているように見えます。
文句は言えません。わたしたちパランティアは被害者ではない。会社は非常にうまくいっています。もっとよくできる可能性はありますが。
テック企業は愛国心が足りない
──あなたは著書のなかで、愛国心が足りないとしてテック企業を厳しく批判していますね。
当初、わたしたちは親米で親西洋、政府の機能を強化させることに賛成する立場でした。そのため、シリコンバレーと対立するようになったのです。そうした態度は、シリコンバレーでは「金にならない負け犬」を意味しますから、大いに問題視されました。
けれども、その争いに勝ったのはわたしたちのほうでした。シリコンバレーも実際、少なくとも表には見えない部分では、より愛国的になったと思います。シリコンバレーは常に実力主義を支持してきたし、わたしたちもその点には強く賛同しています。
一方、大規模言語モデル(LLM)については、実際に使って価値を生み出しつつ、労働者にも多くの恩恵をもたらすかたちで運用すべきだと考えています。この点では、シリコンバレーとの意見が分かれるところかもしれません。
多くの企業が政府から距離を取るなか、わたしたちは政府に歩み寄った。だからこそ、米国政府のAI戦場計画であるMavenプロジェクトを支えることになったのです。
──あなたは当初から、ウクライナでの戦争に関わってきました。そこから、未来の戦場について何を学びましたか?
その話は、オフレコで。
──これは一問一答のインタビューなので、オフレコは困ります。
では、ここで話せる範囲で。と言っても、内容はほとんど同じですが。大まかに言えば、戦争の初期では、ソフトウェアによって小さなオブジェクトを体系的に統合する必要があることが明らかでした。ところがその後、ロシアがあらゆるデバイスを妨害し始めたのです。
そこから得た教訓は、本当に重要なのは、妨害を突破して弾頭や物資を届けられるよう、デバイスに能力をもたせる方法を見つけることだ、という点でした。つまり、デバイスと通信し、進路を計画し、そこから情報を回収する能力です。これは、これまでとはまったく異なる戦争のあり方です。
──その戦争は、かつてよりも恐ろしいものになっていますか?
わたしはこう考えています。より恐ろしいのは米国なのか、それとも敵国なのか? 高性能な衛星が必要で、衛星と連携する能力も必要で、ソフトウェアと大規模言語モデルも不可欠です。これらは、わたしたちの得意分野です。つまり、米国にとって有利だということです。
──パランティアには独特の文化があり、カルト的だと呼ぶ人もいます。アウトサイダーのメンタリティを、意図的に育てているのでしょうか? わたしもあなたもフィラデルフィア出身ですね。ジェイソン・ケルシーは、最初のスーパーボウル優勝のあとで「誰も俺たちを好きじゃない。知ったことか」と言い放ちました。
アウトサイダーであることの大きな利点を、みんな理解していない。不人気であることは楽しくないし、正直、わたしも好きではありません。でも、その分、世界最高レベルの人材が集まってくる。
誰かがパランティアについて馬鹿げたことを言い、それを5人が目にしたとします。そのうちの5人目は、こう言うのです。「そんなに単純なはずがない。これは本当に興味深い会社で、問題の第10次導関数まで考え抜いている。ネット上の誰かが製品の動きも理解せずに吐いた単純なたわごととは違う」と。
そういう人たちこそ、わたしのビジネスに参加してほしいし、いつか製品を買ってほしいし、投資してほしいと思っています。フランスほどパランティアのブランドイメージが悪い国はありませんが、それでも、この会社には最優秀のフランス人が従業員として働いています。CIAのフロント企業だと呼ばれるような会社──もちろん、それは馬鹿げた言い分ですが──に、です。
──CIAのフロント企業ではないとしても、実際にはCIAやICEのために働いていますよね。
ICEは後から加わったのです。最初の契約相手は米国の諜報機関で、国防総省と最大規模の契約を結びました。その後、民主党政権下で国土安全保障省に協力するようになった。そこへトランプが登場したことで、話が非常にややこしくなったのです。
──話がややこしくなったのは、トランプが、とりわけICEをめぐって、これまでとはまったく異なる政策を推し進めるからです。パランティアには、民主主義を支持し、差別に反対するという企業理念があります。製品がその規範に反するかたちで使われていないか、検証はしているのでしょうか? この一線を越えたら、相手が大統領であっても「ノー」と言う、そうした境界はありますか?
わたしは「イスラム教徒のデータベースはつくらない」と言いました。CEOとしてそう発言したのは、わたしが最初です[編集部注:厳密には最初ではないが、パランティアの事業内容を考えると、この発言は重要な意味をもつ]。
わたしはこれまでイスラエルを擁護してきたので、多くの人は、わたしがイスラムに関連してそんな発言をするとは想像もしなかったでしょう。詳しくは話せませんが、米国内のある場所でイスラム教徒のデータベース構築が行なわれていると考えられる事例があり、そこから手を引いたこともあります。
おそらく、あなたとわたしはICEに対する見解が異なる。わたしは成人してからの大半をヨーロッパ、特にドイツで過ごしました。わたしは移民に対して懐疑的な見方をしています。個人的には、移民政策は国民が投票によって決めるべきだと考えています。
家庭環境は先進的でしたが、わたしの世代、あるいはそれ以上の世代の多くは、移民に対して懐疑的でした。国境の開放は先進的な政策ではありませんし、これまで一度もそうだったことはない。ある意味で国境を開放したドイツに何が起きたか、ぜひさまざまな角度から検証してみてください。
──もう一度お聞きします。米国政府、そしてこの国の民主主義でいま何が起きているかを、あなたは注視していますか? 自社のプロダクトがどのように使われているかを検証する必要性を感じていますか?
こう言い換えてみましょう。会社の理念に反するという理由で、会社の利益に反する決断を下したことがあるか? あります。それを政府相手にしたことがあるか? あります。ロシアや中国で仕事をしなかったために、倒産しかけたこともあります。会社の評価にはつながりませんでしたけどね。
あなたが示唆しているのは、移民をめぐって、この国では前例のない事態が起こりつつあるという見方に、わたしが同意するかどうかでしょう。わたしは同意しません。日本でビザの期限を1分でも超過したらどうなるか、知っていますか? 飛行機に乗せられるのです[編集部注:日本政府は、何千人もの移民を無期限に収容する政策について、国内外から批判を受けている]。
あなたの質問は非常に重要だと思います。もし、わたしたちのプロダクトが市民権の侵害に使われるとしたら、わたしは介入するか? します。でも同時に、パランティアのプロダクトが、世界で最も違反しにくいソフトウェアであるのも事実です。
あなたが先ほど述べた主張のいくつかに同意するか? しません。ただ、あなたが投げかけている問いそのものは、極めて正しい。そして、わたしはこれまでしてきたことを、これからも続けていくでしょう。
イスラエル、ガザ、そしてトランプ
──パランティアがイスラエルを支援していることに、あなたのユダヤ人としてのバックグラウンドは影響していますか?
わたしたちは、イスラエルに無償で何かを与えているわけではありません。製品を購入することを認めているだけです。あなたが知りたいのは、わたしたちが「立場」によって定義されるのか、それとも「アイデア」によって定義されるのか、ということですよね。
わたしは、その両方だと思っています。わたしは自分をアウトサイダーだと考えています。間違いなく、明らかに特殊な部分がある。でも、西洋の価値観を支持し、それを力強く守ることに価値を見出しているのは、わたし個人のアイデンティティだけで説明できるものではないと信じています。
──わたしを含め、多くのユダヤ人はイスラエルに親近感を抱いていますが、同時にガザで起きていることは耐えられないとも感じています。
ユダヤ人が5人いれば、意見は50通りあります。パランティアにとっての問題は、イスラエルを支援するかどうかです。イスラエルが下すすべての小さな決断を支持するかどうか、という話ではありません。
──でも、ガザの問題は小さな決断ではありません。
イスラエルはGDPがスイスよりも小さな国で、大規模な攻撃を受けています。正当な批判もあれば、単なるイスラエル叩きに終始しているものもあります。わたしの反応はこうです。よし、それなら、わたしはイスラエルを擁護する、と。人々がイスラエルに公正に向き合い、ほかの国と同じ基準で扱うようになれば、わたしはイスラエル人相手に個人的に話している内容を、公の場でも話すでしょう。いまは、まだそうなっていません。
──13人の元従業員が、パランティアの経営陣は権威主義に立ち向かうことに失敗したと批判する書簡を発表しました。その書簡を受け取ったとき、この批判を真剣に受け止めましたか?
自分に向けられる批判は、すべて真剣に受け止めるべきです。『The New York Times』が、パランティアは人権を蹂躙しているなどと言っていますが、あれは完全なたわごとです。たわごとだと、みんな気づいている。書いている本人も気づいているでしょう。
でも、元パランティア社員や現役社員[からの批判]は、間違いなく真剣に受け止めます。一日中決断を下し続ける立場にいれば、時には間違えることもあります。ただし、無責任な攻撃を受けた場合、わたしは態度を硬化させます。
──トランプ氏との関係は?
「関係」をどう定義するかによりますよね。わたしは米国大統領である彼をとても尊敬しています。いくつかの点では同意しますし、同意できない点もあります。
──トランプ氏のことは好きですか?
あなたが思っているより、ずっといい仕事をしていると思います。
──わたしを基準にしないでください。
質問の仕方からして、あなたは中立ではありません。あなたと話していると、自分の家族と話しているような気分になります。わたしには、家族と意見が合わないテーマがある。国境問題、イスラエル問題、ウクライナ問題です。この3点においては、一日中怒鳴られています。
──ぜひ、ご両親にお会いしてみたいものです!
もしあなたとわたしが家族だったら、きっと意見は合わないでしょうね。そしてわたしは、トランプ氏のAIや中東に関する決定は、民主党政権が下したであろう決定とは大きく異なり、しかも優れている、と指摘すると思います。
ニューハンプシャーの片隅で
──少し時間を遡りましょう。あなたは珍しいタイプのCEOです。テクノロジー出身ではありません。スタンフォードでロースクールに通いましたが弁護士にはならず、ドイツで哲学の博士号を取得しています。ピーター・ティールは、あなたのどこを見込んで、防衛関連のスタートアップを率いる人物として選んだのだと思いますか?
神のみぞ知る、ですね。わたしに言えるのは、ピーターを世界最高のバリュー投資家にしたのと同じ才能を、わたしがもっていたからだろう、ということです。つまり、ビジネスの文脈において、問題の第6次、第7次、第8次導関数まで理解できる人材を見抜く力です。
わたしたちは友人でもありましたし、ある決断がもたらす影響を、はるか先まで見通そうとする点でも共通していました。そうした意味で、ドイツ的な感性を共有していたのだと思います。パランティアには、ドイツ文化が色濃く流れ込んでいます。わたしたちが「5つのなぜ」と呼んでいる、問題を徹底的に掘り下げていくプロセスも非常にドイツ的です。
何かが正しいかどうか、少なくとも明らかに誤っていないかどうかを、わたしはかなり厳密に見極めます。この能力は、間違いなく教育の賜物です。パランティアの高い品質基準は、わたしがドイツで読んだ思想家たち、そして実際に関わった人々から受け継いだものだと言えるでしょう。
──ドイツは、あなた個人にとって特別な響きをもつ国のようですね。
ドイツでの生活はとても気に入っていました。例えばドイツで女性と知り合っても、1回デートをしただけで、周囲に「彼女を愛している」などと言う必要はありません。何年も付き合った後でも、「きみのことを大切に思っている」と正直に伝えるだけでいい。お世辞とか方便は、ほとんど必要ないのです。
──米国でも、あなたはあまりお世辞や方便を使わないのでは?
使わないことで失うものが多いですね。確かにわたしは、ドイツ文化の一部を米国にもち込んでいますが、それでも米国の文化のほうが優れているとも思っています。
──あなたは、自分の望むように人生を送っているように見えます。ニューハンプシャーの片隅で暮らすCEOは、そう多くいません。
識字障害をもつわたしのような人間にとって、周囲が期待する生き方をするのは、そうでない人よりもずっと難しい。やろうとしても、うまくできないのです。わたしは万人受けするタイプではないでしょうが、自分らしくいられる時間が多いいまの生活を気に入っています。
──クロスカントリースキーがご趣味ですよね。何時間も滑りながら、どんなことを考えているのでしょうか?
自分は、なんて幸せなんだろう、と。
(Originally published on wired.com, translated by Kei Hasegawa/LIBER, edited by Nobuko Igari)
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