甘えたい
女マスターのカルデアでメイヴちゃんのおかげでいろいろ起きてしまった話。
※soukuはFGOでメイヴ・オルタを召喚していないので間違っているところがあるかもしれないです。ご了承下さい。
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私のカルデアでは現在、少々困ったことが起きていた。
きっかけはクー・フーリン・オルタがこのカルデアに来たことだった。
このカルデアには比較的早くメイブちゃんが来てくれていて、古参と言える存在であった。
レベルも聖杯をあげていたので今では最高レベルまであがっている。
北米であった彼女とは異なり、このカルデアも彼女の愛すべき対象として存在しているらしく、「前みたいなことはしないから安心しなさい」としきりに言われた。
…といっても彼女にとってクー・フーリン・オルタが特別な存在であることは変わりなく、「クーちゃんを早く、早く」と急かされる日々であった。
それがちょうど一週間前までの話である。
彼女の堪忍袋がそろそろ限界だと感じた先日、遂にその日が訪れた。
「クー・フーリン。召喚に応じ参上した。
……俺の色がお前に関係あるのか?」
ここで話しは変わる。
このカルデアでは一つ、他のカルデアとは異なる部分があった。
最大レベルまであげたサーヴァント限定でちょっとした願いを叶える聖杯を渡すようにしているのだ。
大体は「たらふく美味いものが食べたい」だとか「かわいいお人形さんが欲しい」などという小さな願いを叶える程度の聖杯で世界をどうにかすることや、ましてや英雄の在り方を捻じ曲げるような力は有していない。この聖杯は亜種特異点の玉手箱と同様のものでダヴィンチちゃんの力作だったりする。
本来、それほど力を有していないはずの聖杯なのだが、今回の使用者はメイヴちゃんだ。
毎日欠かさずとある願いを祈り続けたらしく、強力な力を有するサーヴァントが祈り続けた為に聖杯は彼女の願いを叶えうる力を有してしまったようだ。
その願いというのが「クーちゃんに甘えることができる場所を作って欲しい」というものだ。
それを聞いたとき、本当にメイヴちゃんは北米のメイヴちゃんとは異なる存在なのだと思った。
北米のメイヴちゃんであればその甘えられる場所は彼女の隣以外にありえないだろう。
それがクーちゃんが甘えられる場所ができれば自分の隣でなくてもよいと言うのだから。
これだけで終わればなんと素晴らしい話だと感動できるのだかそうはいかなかったのである。
クー・フーリン・オルタの在り方は北米のメイヴによって捻じ曲げられている。
そんな彼に聖杯は甘えられる、言い換えるならば彼が安心できる場所を作るよう強制した。
その結果、彼が安心できる場所がないと暴走するようになってしまったのだ。
叶った願いをなかったことにする方法が見つからず、カルデア内の至るところにヒビや亀裂が入ることになるのにはそう時間はかからなかった。
オルタを抑えるために力を貸してくれているランサーのクー・フーリン二人とメイヴちゃん、キャスターのクー・フーリンであるが、それもいつまで持つかわからないのが現状であった。
「俺らが食い止めてる内になんとか打開策を探ってくれや」
「俺も知恵を貸してやりてえところだが俺が抜けるとこいつを抑えてられねえだろうし、譲ちゃんたちに任せる」
「マスター、私が聖杯に願ったから…ごめんなさい」
クー・フーリンたちのおかげでなんとか一週間、耐えてこられたがなにも打開策が見つけられず、ほとほと困ったときに誰かが言った言葉に縋らざるを得なくなってしまった。
「クー・フーリン・オルタと縁のあるサーヴァントを呼べばいいのではないか」
クー・フーリン・オルタと関係があるのはメイヴちゃんと北米にいたサーヴァントたち、あとはケルトのサーヴァントくらいのものだと言えるだろう。
ただ、北米にいたサーヴァントたちはオルタとは敵対関係にあったため、望みは薄いだろうと判断されることになった。
ケルトのサーヴァントの中でもっとも縁が深いであろうスカサハは残念ながらカルデアに居なかったが、ケルトのサーヴァントは何人かいるので協力してもらうことにした。
…結果は惨敗。
誰の隣だと良いのかわからなくなってしまった。
気を紛らわすためにひいた召喚に応じた英雄が解決に導くなんて誰が思っただろう。
「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した」
エミヤはなかなか召喚できなかったサーヴァントでこのタイミングで召喚に応じてくれたことになんらかの意味があるのかと縋りたくなってしまった。
エミヤとクー・フーリンは縁のあるサーヴァントなのではないかというのは感じていた。それはランサーのクー・フーリンが運命を感じてしまうというくらいにいろいろな聖杯戦争で顔を合わすサーヴァントだと言っていたからである。
「ごめん、エミヤ。
ここに来てくれてすぐで悪いのだけれど、一つお願いしたいことがあるの。」
「…私にできることであればなんなりといってくれたまえ。」
私の言葉に少し不思議そうな顔をしたあと、フッと気を抜いた顔で応じてくれた。
エミヤとクー・フーリン・オルタを会わせるのはこのあとだ。
善は急げというわけではないが、エミヤから了承を得れたため、すぐに会わせる準備を整えた。
「本当に私でいいのかね。
私とランサーの相性は良くないが、まあやれることはやってみるがね」
エミヤとクー・フーリン・オルタを引き合せる場所はオルタの部屋にすることとなった。
今、オルタは眠っているらしく、暴れていない彼にエミヤを近づけるタイミングはここしかなかったからである。
エミヤもなにかのきっかけになればといいつつ手土産に自ら作ったお弁当を持ってオルタの部屋に向かった。
エミヤがオルタの部屋に入って数分、私とクー・フーリンたちが部屋の外で何か起きた時のため待機していると中から大きな音が聞こえた。
急いで部屋に入った私達が見たのは満足気にエミヤのお弁当を食べるオルタとオルタの尻尾に捕まりどうしたらいいのかわからないと言いたげな表情のエミヤがいた。
「目が覚めた途端、私をぐるぐるまきにしてお弁当を食べ始めたのだが、これは成功なのだろうか」
戸惑いながらも現状を報告してくれるエミヤにガッツポーズを送った。
オルタがこのカルデアにきて、自ら他人を近くに置くことはなかったので、とりあえず安心できる場所ができたようだ。
これからのことはまた考えていけばいいかと思い、オルタの部屋を私達はあとにした。
「待て、マスター。
私はどうすればいいのだ。」
「もう少しだけオルタのそばにいてあげて。
あと、おしゃべりとかしてくれると助かる。」
「…了解した。」
不満げなエミヤの声を背中で受け、私は部屋をあとにするのであった。
「さあ、オルタが落ち着いたみたいだし、オルタとエミヤの歓迎会でもしますか。」
久しぶりの楽しいイベントを思い浮かべながら、ひとりごとをつぶやいた。
ーー歓迎会で料理を作ろうとするエミヤを止めるのにオルタが力を貸してくれた話はまた別の話
南米→北米