ありがとうございます。
どうにか大黒特尉、もとい司波達也とは敵対せずに済んだ……か?
わからん。現物を見ると分かるけどマジで表情が動かないので何考えてるのかさっぱり分からん。勘弁してほしい。
上からもらった指示の通り、今回は十師族の勝利が求められたので「最初は強く当たって、後は流れで」司波達也に勝ってもらったわけだが、大丈夫だよな?
①実力や実績を褒める、②妹にちょっかいを出さない、③敵対しない(当たり前)、この三原則を厳守さえすれば、司波達也が俺、および俺の仲間を殺しに来るようなことはない……と思う。作中で達也が敵対してきた者たちは、全員がわざわざ達也……というより深雪にちょっかいをかけた結果「消される」事態を招いた。
司波達也は一応義理を通す性格と描写されている。実際、彼が意図的に約束を破ったり、向こうから先制攻撃を仕掛けて来るような展開は……ほとんどなかった、はず。正直、原作も途中から斜め読みになってしまって完璧に覚えている訳ではないけど、今はそう信じるしかない。
司波達也が精霊の眼を複数回使ってきたのは驚いた……というか最悪今回の模擬戦がガチンコになるまで覚悟していたが、少なくとも表面上反応はなかったし、素顔絡みのアレコレについては大丈夫ってことでいいだろう。
顔と身体が異形の俺に対して、精神が異形な司波達也ってことで仲間意識を持ってくれたりとか……してくれないよなぁ……今は特に、流石のお兄様も中二病で無頼気取ってた時期のはずだし……。
しかもだ。向こうから見たら「魔法師の軍事利用」の化身みたいな存在が俺なので、俺を殺す事にはそれなりに意義がある。
司波達也が目指す世界は、俺が文句を付けた途端に「言い訳」になる。「創一朗はちゃんとやってるのに」という形で引き合いに出されるからだ。なまじ結果を出してる奴がいるからこそ、戦いを辞めるという「わがまま」を認めさせるのは簡単じゃない。
司波達也が原作通り「兵器からの脱却」を目指すなら、日本一(新ソ連のベゾさん達を見ると世界一かは微妙なところ)真面目に兵器やってる俺との対決は避けられないだろう。
ただ、いつかは決着を付けなければいけないとしても、それは可能な限り先送りにしたい。
達也本人がどう思ってるかは知らないが、原作の巻数が進むほど彼も大人になる。メイジアン・カンパニー(1巻しか読んでないけど)くらいになると完全に社長の風格になってたはずだから、理想は「なあなあにして決着を付けない」ことで、次善策は「最低5年のらりくらりと延命すること」だ。直接の殺し合いさえ避ければ、あとはどうにかできる自信がある。
……しかし、分かってたとは言え強すぎるだろあいつ。最強系主人公は伊達じゃない。おかげで何かよくわからんこと言っちゃった。なんだよ「代わりに俺が困ってる時は助けてくれよ」って。命乞いか。
俺が戦った時点の司波達也はまだ分解・再成・
上にも所感として報告してあるが、精霊の眼+
模擬戦の俺は「司波達也が居そうな場所を片っ端から鉄槌で爆撃して集中させない」戦法を取ったが、他には雲散霧消のタイミングに合わせて接触型
この手は1回使うと対策されるのでガチの殺し合いにならない限り温存したいが、仮に接触型術式解体を切ったとしても防御として効率が悪すぎるので、ガス欠したりタイミングをスカされたりする可能性を考えたら勝率はいいとこ2割くらいだろう。
第一実働小隊の4人がかりでようやく互角になるかどうかといったところ、その想定すら達也がガチになって妹のストーキングに割いてるリソースを戻しただけでひっくり返る。「勝ち筋」の数が違いすぎるのだ。
という訳で現在、俺は山田さんの指導のもと、「
前々から多分使えるんじゃないかなーとは思ってたが、こないだの演習で案の定「纏衣の逃げ水」は習得済なのが発覚した。そこで俺の古巣、第零研こと白い地獄の研究者たちと協力して「仮装行列」の再発明に乗り出したのだ。
九島家の秘伝なので流石にストップかかるかもなあと思いながら上に申請したところ、司波達也対策だとコメントを付けておいたら一発で通ってしまった。さては偉い人達、政治のアレコレとは言え負けたの相当気にしてるな?
そう、俺は原作の司波達也を知っているので、「アレ」が十師族の尖兵として働くなんてあり得ないと分かっているが、世間的にはそうではない。
俺の直上にいる人たちで言うと、真砂少将はどうだか知らないが鎌倉のお爺ちゃんは確実に、司波達也が四葉家現当主の甥だということは知っている。
するとどうだ。十師族のドンである九島烈は四葉家の前当主と親しく、その娘である四葉真夜・深夜姉妹の師を務めたことさえある。この真夜が今の当主で、深夜が達也の母親だ。
当の九島家は四葉が強くなりすぎて十師族の枠組みが壊れることを危惧しているし、四葉は四葉で他家に興味なしの孤立主義が基本なのだが……外から見ると「軍の戦略級魔法師という脅威により存続の危機に陥った十師族を救うため、伝説の一族が今ベールを脱ぐ……!」という感じにしか見えないのだ。
恐らく、四葉と軍は「今十師族体制にトドメを刺してしまうと代案や受け入れ態勢が間に合っていないので収拾が付かなくなる」という部分で一致している。ここに十師族体制を守りたい九島烈が働きかけた結果、生まれたのがあの模擬戦ということだろう。九島烈出席の軍事演習という場で、機密指定の「分解」をポンポン撃ってたのがいい証拠だ。
十師族体制も、最終的には解体されることになるのだろうが……少なくとも、今はまだ拙速すぎるというのが上の判断らしい。まあ、ここから原作が動くまで2年ちょっとある訳なので、腰を据えてじっくり準備する時間はあるだろう。
閑話休題。仮装行列の習得については順調に進んでいる。この数か月で魔法式自体はほぼ完成に近いところまで来ていて、後は俺が訓練と勉強によって習得するだけの状態になっている。
正規の伝授ではないため山田さんから一応の警告は受けたが、比叡山から処刑命令を出されるよりも対達也戦で手札が1枚少なくなる方がよっぽどヤバい。そもそも、そこ気にするなら九島家も似たようなもんだろという話である。最悪アンジー・シリウスに流出してる件を持ち出したら止まるだろ。多分。
山田さんに直接師事するついでに色々教えてもらった……というか何となく分かってきたのだが、この人もまた相当な天才であり、魔法を一目見ただけでだいたい再現できる「眼」を持っているらしい。
それがどういう理屈に基づいているのかは本人にも分からないそうだが、その力を使って「秘術」とされるようなハイレベル古式魔法を片っ端からコピーしまくった結果が今の比叡山の殺意だという。
つまり、比叡山からの手配度さえ考えなければあらゆる秘伝の古式魔法をこの人から教えてもらうことができるわけだ。本人曰く「野心」によるものらしいが、そりゃ消しにかかりもするだろう。実質彼らがご大層にやってる修行とか下積みとか全部無意味だと言ってるようなもんなんだから。逆になんでまだ生きてるんだよこの人。
数々の修羅場をくぐったからなのか、緩いように見えてちょっとでも手を緩めたり間違えたりすると容赦なく指摘が飛んで来るスパルタ指導の甲斐あって、とりあえず見た目を誤魔化すところまではできるようになった。あとは原作開始までの2年でどこまで練り上げられるかだ。
そう。追憶編に相当する一連の動きに一応の決着がついた今、ここから司波達也が第一高校に入学するまでの約2年間(既に沖縄戦から半年以上が経過している)は原作の空白期間だ。
仕事の関係上「対司波達也」を想定しておかなければいけない身として、この2年間でどれだけ強くなれるかが今後に控えた激動の時代を乗り切る鍵になるだろう。
俺は調整によって高い魔法力を得ているが、代わりに調整体の中でも特に制約の多い身の上だ。1日1万キロカロリーと専用の合成栄養サプリを摂取しなければ生命を維持できず、週に1度はメディカルチェック、3か月に1度は研究所で定期検査と調整を行わなければ段々と身体が壊れていく。顔だって異形のソレだし、熱感知を誤魔化すために外骨格が体温を遮断しているから触っても冷たいし硬い。
現在の調整体は遺伝子改造のみで生産後は普通に生活することが主流なので、俺のような極端に改造率の高い例は貴重なサンプルであるらしい。おかげで軍の人体改造技術は飛躍的に進歩してるとかなんとか。
そうして得られたデータを俺にフィードバックして、俺から取った運用データを次世代に……とぐるぐる回して改造技術をブラッシュアップしていく予定だという。そのため、成長期の間は年に1回程度最新世代へのキャッチアップ改造が実施されるそうだ。
皮肉なことに、俺が重用される理由の半分は「性能が高いこと」だが、もう半分はこの「使い勝手の悪さ」にこそある。アフリカの武装組織がF-22を運用できないように、先進国の政府や正規軍クラスの巨大組織がバックアップしなければ俺という兵器を維持することはできない。
要するに、誰が見ても俺はここでしか生きていけず、だから信頼されているのである。原作を知る俺としては四葉家クラスの技術力とノウハウがあれば民間で俺を「飼う」ことは可能と見ているが、逆に言えばそのレベルでないと話にならない。
俺は兵器だ。それはいい。唯一最大の懸念事項は、原作主人公と敵対するかもしれないという所だ。兵器は使用者に逆らわないが、無駄死にしたくはない。敵対しないのが最善にしても、いつか来るかもしれない抹殺命令に備えて出来る限りの対策はすべきだ。
そういう意味では、この時間を使って異能「フィジカルブースト」の再現にも本腰を入れたい。いつだったか、沖縄戦の前に捕まえていた殺し屋の女の子「榛有希」が使っていた超能力だ。
超能力はこの時代にあっても属人的な力だ。多くは血筋によって受け継がれ、現代魔法のように魔法式をCADに読ませれば誰でも使えるというものじゃない。
だが、鍛えているとはいえ中学生相当の女の子が俺の突進にカウンターをかまし、首筋にナイフを突き立てるほどの強化率は魅力である。強化人間たる俺が習得できれば呂剛虎なんかワンパンだ。汎用性も高いし、「仮装行列」に並ぶ頼もしい武器になるだろう。
という訳で、彼女の身柄は俺の古巣、悪名高い「白い地獄」に送致されて徹底的な調査が行われている。最近は「超能力絡みは陸軍の方が得意だから」と、近々魔人兵士研究所(魔兵研)から応援を頼むそうだ。俺も定期的にテスト要員として出張している。
今はまだ上手く行ってないが、米国に先立ってFAE理論の実証を果たした「白い地獄」の連中だ。手段さえ選ばなければきっと素晴らしい成果を出すだろう。正直、ジャスミン・ウィリアムズなんかよりあっちの方がよっぽど気の毒だと思う。今は姿を見ることはできないが、かなり初期の段階で人の形じゃなくなってるらしいし……。
あ、白い地獄ついでだが、ジャスミン・ウィリアムズは身体そのものに細工がしてあって、捕まった後もこちらの情報が抜けるように加工された「生けるスパイ道具」だった。捕まえた時に山田さんが気づいてありったけの嫌がらせをしたそうで、後から調べたところではキャンベラ、ラングレー、ロンドンの某所で同時多発的な精神干渉魔法の暴発と原因不明の魔法乱射騒ぎがあったとかなんとか。あの人マジで何者なんだろうな。
……しかし、これだけ介入してしまった手前、本当に時間通りに原作が始まるのかちょっと不安になってきた。
沖縄戦が原作通りに起こり、そこで活躍しなかった達也が結局は独立魔装大隊に所属しているのを見ると、大枠での変動――司波達也が第一高校に入学しないとか――は起こらないと考えている。
ただ、これはあくまで推測でしかないし、現に俺が戦略級魔法をぶっぱしたことに始まる一連の影響は確かに存在している。最悪どこかで「脱線」を起こすのも視野に入れて、原作知識が通用しなくなる時に備えなければいけない。
これだけ暴れたんだ、いつそうなってもおかしくないだろう。まあ、覚悟があろうとなかろうと、俺のやることは変わらないんだが……。