短期的な影響
しかし中国にとって、特にエネルギー分野における短期的な混乱は依然として避けられない。
データ分析企業ケプラーによると、イランの原油輸出のほぼ全てが中国に流れ込み、それは中国の海上原油輸入量の約13%を占めている。
アナリストによれば、両国のエネルギー貿易はイラン産原油を中国沿岸部の小規模な独立系精製所に輸送する船舶ネットワークに依存しており、多くの場合、仲介国を経由している。アナリストたちは、この慣行によって原油精製の工程が、米国の制裁の影響を受ける可能性のある中国国有企業から切り離されると指摘している。
これらのいわゆる「ティーポット」と呼ばれる精製業者は、しばしば「影の船団」の異名を取るタンカー集団との連携で知られている。影の船団は制裁対象物を密輸するために隠蔽(いんぺい)工作を行う。トランプ政権は昨年からイランへの圧力を強化する中で、輸送と精製の両方に関与したとされる関係者を制裁対象に指定した。
イラン産原油の輸入量は大きいものの、中国は長年にわたり原油供給源を多様化させてきたため、アナリストらは短期的な影響は管理可能な範囲内と見ている。
コンサルティング会社エナジー・アスペクツの原油アナリスト、リチャード・ジョーンズ氏はCNNに対し、イランは2月中旬以降輸出を増加させており、民間精製所は依然としてイランの浮体式貯蔵船を利用できると述べた。さらにロシア産原油の輸入量も増加させる可能性があると付け加えた。
それでも中国にとってより大きな頭痛の種は、同地域での大規模な紛争とホルムズ海峡の重大な混乱にあるようだ。同海峡はサウジアラビアやクウェートなどからの原油輸送において極めて重要な航路となる。
ケプラーによると、同地域からの原油は中国の総需要の約3分の1、海上輸入の50%以上を占めており、その多くが同海峡を経由して輸送されていた。
イランは海峡の北側を掌握しており、2日にはイスラム革命防衛隊(IRGC)司令官の顧問が、通過する船舶に「火を付ける」と脅した。
顧問の発言以前から、同海峡の航行は事実上停止していた。 安全面の懸念と、週末に同海域で石油タンカーが攻撃を受けたことが原因だ。
中国外務省の毛寧報道官は、同海峡の貿易における重要性を強調し、即時停戦を要求。3日の記者会見で「この地域の安全と安定を守ることは、国際社会の共通の利益にかなう」と述べた。
とはいえ長年にわたる備蓄によって、中国は直近の供給ショックから守られるかもしれない。ケプラーのデータによると、中国は現在約12億バレルの陸上原油備蓄を保有しており、これは海上原油輸入量の約115日分に相当する。
米国に代わる選択肢
中国は米国がイランに軍事介入する事態を利用して、自国のメッセージを強化する公算が大きい。それは米国が覇権主義的な行動を取るのに対して、中国は不干渉を信条とするとの内容で、とりわけグローバルサウス諸国に向けて発するメッセージだ。
中国の専門家の一部からは、提携国に安全保障を確約しない姿勢は中国側の計算であり、米国との差別化を図る狙いがあると指摘する声も上がる。
北京の非政府系シンクタンク、全球化智庫(CCG)のジチェン・ワン副事務局長は、「これにより中国は柔軟性を高め、戦略上の過剰拡大のリスクを低減し、提携国の安全保障を引き受けるコストを回避できる」と述べた。
「しかし危機が暴力化すれば、確かな安全保障上の結果を形作る中国の能力も制約される」と同氏は付け加え、中国の不作為がトランプ氏の危険な動きをさらに助長する恐れがあると警告した。
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本稿はCNNのジョン・リウ、シモーン・マッカーシー両記者による分析記事です。