中国政府の計算
中国は長年、イランにとって最も重要な外交及び経済支援の供給源だった。輸出用のイラン産原油の大量購入に加え、米国がイランに科す「一方的な」制裁を非難。自国の核開発は平和目的だとするイラン政府の主張も支持した。
近年、中国は自ら後押しする新興国グループ「BRICS」や上海協力機構(SCO)などにイランを引き込み、同国の国際的な地位を高めてきた。西側諸国から孤立する時期に、イランはその外交範囲を広げていた。
中国企業もイランのミサイル計画で使用する化学物質を供給し、イラン国内の監視インフラの構築を助けてきたことはCNNが報じた。中国はイランとの貿易が国際法に適合していると主張している。
しかし中国は一貫して、提携国の紛争に直接巻き込まれる事態を避けてきた。自国の資産を保護する目的以上に、中東の安全保障問題へ踏み込む意欲はほとんど示していない。
この制約が明らかになったのは、イランがイスラエルと衝突した昨年のことだ。続けて米国も空爆を実施したが、中国はやはり言葉での支援を提供しただけだった。
「中国は長年、グローバルサウス(新興・途上国)各国の安全保障を請け負う役回りも避けてきた。米国によるアフガニスタンとイラクへの関与を反面教師とし、そのような野心の追求から距離を取った」(ヤン氏)
イランとの関係は、中東における中国のエネルギー安全保障と影響力の強化に寄与しているが、地域でのバランスを模索する中で、中国はイランのライバルであるサウジアラビアといった他の地域勢力にも接近している。2023年には中国が仲介役となって、両国間の関係改善が実現した。
しかし米国では、中国、イラン、ロシア、北朝鮮の関係強化に対する懸念が高まっている。昨年9月、4カ国の首脳は北京に集結し、大規模な軍事パレードで驚くべき結束を示した。また中国、ロシア、イランは近年、定期的に合同軍事演習を実施している。
「イランは長年にわたり中国のパートナーだが、中国にとってイランは地理的に遠く、自国の存亡を左右するどころか、おそらくは極めて重要な存在というわけでもない」。シンガポール国立大学の政治学者ジャ・イアン・チョン氏はそう述べた。
とはいえ、過去1年間の2度の大規模な軍事攻撃において、中国がイランに提供した支援が限定的であったことから、逆境におけるパートナーとしての中国の信頼性には疑問が生じている。
「安全保障問題で中国と協力関係にある、あるいは協力関係を望む他の国々は、当然ながら中国がいずれ自分たちを見捨てるのではないかと疑問に思うだろう。とりわけイランやベネズエラのように、中国から遠く離れている国々はそうだ」(チョン氏)
しかしアナリストたちは、ハメネイ師の後継者が誰になろうと、イランは中国との結びつきを維持する公算が大きいと見ている。中国の持つ経済的な影響力がその理由だ。
北京大学HSBCビジネススクール中東研究所のジュ・ジャオイ所長は、イラン情勢が中国にいくつかの構造的な機会をもたらすと指摘した。
ジュ氏はオンライン記事で「米国が中東の軍事紛争に深く関与すれば、戦略的資源と注意力はそちらに振り向けざるを得ない。客観的に見て、インド太平洋地域では中国への圧力を維持する能力に制約が生じる」と記した。
イランに対する持続的な軍事作戦は、米国の武器供給を枯渇させる可能性もある。中国は軍事用途のレアアース輸出を禁止しており、これにより米国が軍事資源を補充するのがより困難になる恐れがある。これらの素材はミサイルから戦闘機まで、幅広い兵器に不可欠だからだ。