香港/北京(CNN) 米国のトランプ大統領が、中国の最も緊密な盟友2人を立て続けに排除してしまった。ベネズエラのマドゥロ大統領と、イランの最高指導者ハメネイ師だ。
前者は今、米ニューヨークの収容施設で拘束されている。ベネズエラの首都カラカスにいたところを、米特殊部隊による常軌を逸した夜間の急襲に遭い、拉致されたのだ。後者は白昼堂々の爆撃で殺害された。イラン首都テヘランの中心部へ、米国とイスラエルが共同作戦を遂行した結果だ。
こうした動きに中国は怒りで反応。主権国家のリーダーたちを拘束もしくは殺害する行為を非難し、体制転覆を狙っているとみられる米国の姿勢を糾弾した。一方でイランに対しては友好的なメッセージを送った。しかし中国政府は現時点で、地政学上のライバルが交戦規定を揺さぶるのを傍観する以上の行動を取っていない。
中国の習近平(シーチンピン)国家主席としては、感情に流されない現実主義を発揮した格好だ。
結局のところ、イランは習氏の最優先事項には上らない。そこに位置するのは対米関係の安定化であって、今月下旬に北京でトランプ氏との会談を控えているのであればなおさらだ。中国にとっては米国の注意や軍事資源がインド太平洋地域から離れているのも歓迎すべき状況かもしれない。専門家らはそう指摘する。
「中国は都合の良いときだけの友人。口ではあれこれ言うが、リスクは負ってくれない」。ワシントンに拠点を置くシンクタンク、民主主義防衛財団の中国担当シニアディレクター、クレイグ・シングルトン氏はそう述べた。「中国は国連で声高に批判するだろうが、実質的な支援をイラン政府に提供する行動は避けるはずだ」
中国はイラン産原油の最大の輸入国だが、中国に対するイランの戦略的重要性は多くの人々の想定よりも格段に限定的だ。両国の軍事協力は抑制されたままであり、貿易や投資の流れも複数の湾岸諸国と比較すれば見劣りがする。中東全域で各国とのバランスを維持することが、中国の狙いだからだ。
中国は「イランの問題で米国との緊張が高まるのを利益と捉えない」。ベルギーに拠点を置くシンクタンク、国際危機グループ(ICG)の上級アナリスト、ウィリアム・ヤン氏はそう分析する。
「同国にとって依然重要度が高いのは、米国との二国関係における貿易戦争の停止と、全般的な安定を維持することだ。従って今後、前向きな流れを台無しにするのは望まないだろう。そうした流れはトランプ政権と、昨年1年間をかけて築いてきたものだ」