実は近鉄の交渉権確定後の午後1時すぎ、PL学園・竹中徳行野球部長(43)が、日本生命に「基本線通りお願いします」と電話を入れている。もちろん福留の意向を受けてのものだ。「社会人の3年は長いとは思いません。自分を鍛えることのできる3年間だと思っています」。福留はここでもきっぱりと言った。近鉄の交渉権獲得決定後に、福留から電話連絡を受けた父景文さん(45)も「あいつの気持ちを尊重する」と本人の決断に任せる考えだ。

佐々木監督のあいさつから7時間前の午前11時、PL学園・中村順司監督(49)、竹中部長とともに記者会見場に姿を見せた福留の顔は心なしかこわばっていた。ドラフト史上、高校生選手では最多の7球団による1位競合。結果は、思い焦がれていた巨人、中日ではなく意中外の近鉄だった。この日は、ドラフト指名の時間帯がワープロの授業と重なっていた。だが、運命の瞬間を自らの目で確認したかった福留は、校長室のテレビで近鉄の交渉権獲得を見届けた。それから10分後、思い破れた直後という悲しい状況で初めて「希望球団は巨人と中日でした」と本心も明かしてみせた。

「強いプロ志望を持っているのなら、どの球団であれプロに行くべき」という声は福留の周囲にもある。しかし、福留はこれまで自分の信念を曲げたことがない。その強さが、10年に一人といわれる逸材に鍛え上げた原動力でもある。「両親や監督、竹中先生と相談してから決めたいが、自分の意志は変えないでいくつもりです」と福留。鹿児島から来阪した父ときょう23日に話し合い、手順を踏んで近鉄にその意思=プロ入り拒否-日本生命入社=を伝えていく。

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