「デイリーヤマザキ」は復活できるのか 一時期は「ファミマ」より多かったのに、近年はあまり見かけなくなったワケ
店舗網の縮小は、ミニストップと重なる面も
デイリーヤマザキの店舗数は減少の一途をたどっており、現状は上述した通りである。大手3社が成長する中で事業規模を縮小した経緯は、ミニストップと重なる。 ミニストップはコンビニとファストフードを組み合わせた「コンボストア」で差別化を図り、2018年2月期には2200店舗以上を展開していたが、この1月時点では約1800店舗まで減少している。人件費などコストが上昇する局面で、加盟店の閉店が相次いだことが影響した。 ミニストップの日販は40万円台で、約70万円のセブン、50万円台のファミマやローソンに大きく差をつけられている。「日販が低いから好立地に出店できない」→「立地が悪いから売り上げが伸びない」と負の連鎖が続いた。デイリーヤマザキもミニストップと同様、都内の主要駅周辺など好立地の店舗数が少ない。
スリム化で収益性は改善しているが……
事業規模を縮小したが、近年は回復の兆しが見えている。 デイリーヤマザキを主とする山崎製パンの流通事業の売上高は継続的に成長しており、2025年度には800億円に迫った。この間に店舗数は増えておらず、スリム化しながら収益を改善している。 増収の要因について、同社は直営店舗数の増加を挙げている。2025年度における既存店売上高は前年比2.4%増であるのに対し、流通事業では約5%も伸びていることから、近年の増収は本部による出店や加盟店の吸収が影響していると考えられる。 店舗当たりの業績も改善し、赤字を縮小させた。近年はデイリーホットを強化し、店舗内での面積を拡大している。入り口側に典型的なコンビニの棚を置かずにテーブルのような台を設置し、調理品のパンやおにぎりなどを並べている店舗もある。 コンビニ利用者の間では、米価の高騰により菓子パンで代用する層も増えており、こうした施策が功を奏したと考えられる。デイリーヤマザキの主力商品であるパン類の参考小売価格も継続して引き上がっており、こうした値上げも店舗の収益改善に貢献した。 2025年度の全社営業利益は600億円を超え、山崎製パンにとって流通事業の必要性は低下している。ただ、同社がデイリーヤマザキを他社に売却する可能性は低いとされる。大手3社とも山崎製パンの卸売先であり、PBの製造も受託しているためだ。1200店舗を特定の1社に譲り渡すのは、他2社の利益に反する。スリム化しながら黒字化を目指すのが当面の方針になりそうだ。 ※下記の関連記事にある【完全版】では、配信していない写真や図版とともに記事を閲覧できます。
著者プロフィール:山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。
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