高市早苗首相の名を冠した暗号資産(仮想通貨)「SANAE TOKEN(サナエトークン)」を巡って、金融庁が調査に乗り出す騒動となっている。

 同トークンは1分間格闘技「BreakingDown」や経済エンタメ系YouTubeチャンネル「REAL VALUE」などのCEOを務める溝口勇児氏が主宰する「NoBorder DAO」のプロジェクトで、先月25日に発行された。

 ホームページでは、高市首相を模したイラストが使用され、「民主的に選ばれたリーダーを象徴する言葉として〝サナエ〟を冠する流れになり、SANAETOKENを発行」と説明しながらも別ページでは「高市氏による直接の承認、提携、または承認を意味するものではない」との注意書きもあった。

 一方で、溝口氏はREAL VALUE内で「実は高市さんサイドとはコミュニケーションをとらせていただいて」と発言し、堀江貴文氏や三崎優太氏、有名経営者らが取り上げたこともあり、価格は30倍以上に急騰した。その後、違法性を指摘する声が上がり、2日に高市首相は「私は全く存じ上げませんし、私の事務所側も、当該トークンがどのようなものなのかについて知らされておりません。本件について我々が何らかの承認を与えさせて頂いたこともございません」と関与を否定したことで、価格は暴落していた。

 金融庁は関連業者に暗号資産交換業者としての登録が確認できないとして、事実関係の調査に乗り出した。トークンを実質的に設計から発行、運営していたとする別会社のCEOが騒動を謝罪すれば、高市首相と関係性が深いXのアカウント「【公認】チームサナエが日本を変える」はトークンに賛同したポストを「誤解を避ける意味でも」と削除するなど対応に追われている。

 金融関係者は「暗号資産は法人格なしで資金調達できるのが強みです。同時に責任の所在があいまいなまま資金が集まる構造で、『責任は私にある』とCEOが名乗り出て、収束させようとするのは典型的なスケープゴート型の幕引きパターン」と指摘する。今後、金融庁がどこまでメスを入れるかが焦点となる。