【記者が振り返る懐かしのベストレース】有馬記念史上、いや中央競馬史上最高のレースと言っても過言ではないのが、1977年の第22回有馬記念だと思っている。戦前からテンポイント、トウショウボーイ、グリーングラスによる“3強”のドリームレースと言われ、多くのファンを魅了した。
レースは序盤からテンポイント、トウショウボーイが抜きつ抜かれつの攻防を展開。スピードの絶対値で劣るグリーングラスはやや離れた後方3~4番手の追走となったが、勝負は早くもこの時点で3頭に絞られていた。
迎えた終盤。ここからだ。先頭のトウショウボーイに外からテンポイントが馬体を併せ、その背後にはグリーングラス…。結局、最後は外テンポイントが内トウショウボーイを3/4馬身差し切り、さらに半馬身差の3着にグリーングラスが迫って決着した。4着にはそこからさらに6馬身もの差がついていた。まさに3強が全身全霊をぶつけ合った名勝負だった。
頭数はわずか8頭。枠連配当240円。それでもスターホース見たさに多くのファンが競馬場に詰めかけ、熱狂した。
国内最強を証明したテンポイントは翌年、海外遠征に向けた壮行レースとして66・5キロを背負い日経新春杯に出走。しかし…。無念にも3角で故障が発生して競走中止。懸命な闘病生活の末、この世を去った。一般紙でも報道された“貴公子”の訃報こそ、その後にテンポイントの足跡、さらに史上に残る有馬記念の名勝負の思い出を、より一層深いものにしているのかもしれない。
毎年この時季になると思う。またあの時のような興奮を味わえないものかと。今年は一体どんなレースが見られるのか。大いに期待したい。(2006年12月20日付東京スポーツ掲載)