治安悪化はウソ!? 専門家が斬る、高市政権「現実無視」の外国人規制が地方を潰す日
治安悪化は「嘘」? データが示す「真実」
日本で働く外国人の数が、’12年から過去最多を更新し続けている。厚生労働省によると、’25年10月末時点の人数は前年比11.7%増の約257万1037人。構造的な人手不足で、外国人労働者に頼らざるを得ない日本経済の実情が垣間見える。
一方で、政府は1月にまとめた外国人に関する総合的対応策で「秩序ある共生」を強調し、法やルールを逸脱する外国人に厳正に対処する方針を打ち出している。外国人政策は2月8日投開票の衆院選でも争点の一つになり、与野党が規制強化策を公約に掲げた。
自民党は「在留資格の審査や管理の強化」を明記。日本維新の会は「外国人比率の上限設定」、参政党も「受け入れ総量の厳格化」を提唱し、日本保守党は「移民はいったんストップ」と訴えた。
各党が掲げた外国人に関する規制強化策に対し、移民研究の第一人者である国立社会保障・人口問題研究所の是川夕さんは「現実を見ていない」と話す。
「人手不足は地方でより深刻化しています。地方の経営者は外国人を安い労働力と見なして雇用しているのではなく、熟考した上で地域の貴重な担い手として受け入れている。その結果として、外国人労働者がこれだけ増えているわけです」
そもそも、「移民政策はとらない」との建前を堅持しながら、労働力確保を目的に外国人の受け入れを進めてきたのは自民党政権だ。1993年に「技能実習生」の受け入れを開始し、’19年には新たな在留資格「特定技能」を創設。’27年度には「技能実習」に代わる在留資格として「育成就労」を新設する。
その外国人労働者を、政府は総合的対応策で規制や管理の対象にするというのか。
「ルールを守らない外国人には厳正に対応すると言っていますが、現行の在留管理システムでそれに該当する外国人は、優先順位の高い問題として対処しなければならないほどいません。
現在、日本に暮らす在留外国人は400万人近くに上り、年間4000万人以上の観光客が訪日します。非正規滞在の人は約7万人で、在留外国人の2%にも満たない。しかも、その人たちの日本での平均滞在日数は、データを見ると40日間です。
一時的にオーバーステイしたとしても、1ヵ月ほどの間に在留資格が正規化されるか帰国している。入管移民政策においては、政府が言う『ルールを守らない外国人』はほとんどいないことになります」
衆院選では、「外国人が増えると治安が悪くなる」「社会保障にタダ乗りされる」など、ネット上で飛び交う排外主義的な言説を意識した規制強化策を掲げる主張も見られた。
「外国人と治安の関係について言うと、個別の事件はあったにせよ、地域全体の治安を悪化させるようなケースはこれまでもありません。外国人の受け入れが進む中、外国人の犯罪率自体は低下の傾向が見られます。
実際、’90年代に約130万人だった外国人人口は’23年には370万人と3倍近く増加したものの、刑法犯の検挙人数は’90年代半ばの1万2000人から’24年は1万464人と減少している。つまり、外国人人口の増加は、治安の悪化にはまったくつながっていない。むしろ改善しているんです」
