不動産投資商品「みんなで大家さん」の主力商品「シリーズ成田」の分配金支払いが遅延している問題で、資産運用のため計300万円を出資した長崎県在住で会社代表の70代男性が取材に応じた。出資分の1割強しかリターンがなく「甘い話に乗ってしまった」と後悔を口にした。
この問題を巡っては昨年9月以降、長崎県在住者を含む出資者計約2500人が運営会社「都市綜研インベストファンド」(大阪市)に総額約230億円の返還を求め大阪地裁に集団提訴している。男性は原告団には加わっていない。「泣き寝入りするつもりだった」が、原告数が増え続けているとの報道を受けて声を上げる決意をした。
男性が「大家さん」を知ったのは2023年春ごろ。パソコンでネットサーフィンをしていて、あるバナー広告に目を奪われた。「預金感覚で始められる」「想定年利7%」「元本評価割れナシ」-。
思わず詳細をクリックした。出資額に応じて奇数月に年6回、高配当の分配金が得られるという好条件に心が揺さぶられた。5年後には掛け金が全額キャッシュバックされる「ローリスク」。男性は20年以上、証券会社を通じた株式投資を行い計1千万円超の利益を得ていた。投資話の判断には自信があった。
「年金をもらえるのは偶数月。奇数月に金が入るのはありがたい」。半信半疑ながらも試しに1口(100万円)を投資したのが23年5月。妻には「また、そがんわけの分からんものに手を出して」と心配されたが、翌月には200万円を追加出資した。
同年7月、預金通帳で2万7932円の振り込みを確認。広告にうたっていた通り、以降2年間にわたり奇数月に必ず同額かそれ以上の入金があった。
「配当金が滞っている」。運営会社から唐突にメールが届いたのは昨年9月。長文で理由が記されていたが「だまされたかも」との思いから読む気にならなかった。その2カ月後、集団訴訟が大々的に報じられ、不安が絶望に変わった。出資金300万円。得られた配当は合計で40万円に満たない。妻からは白い目を向けられている。
脱サラして建設資材の会社を立ち上げ、何とか軌道に乗せてから20年。大事に運用し増やしてきた資産だ。「誰もが手軽に投資する時代。よく分からない会社には投資してはいけないという教訓になった。だがもし返ってくるのならば、原告団に加わりたい」。男性は近く、消費生活センターや弁護士に相談するつもりだという。