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ホルムズ海峡封鎖によって、日本は石油輸入の75%を失います。一方、米国のホルムズ依存度は消費のわずか2%に過ぎません。 IEAは1974年、アラブ石油禁輸を契機に米国のキッシンジャー国務長官(当時)主導で設立されました。その根拠法であるIEP協定では、加盟国の石油供給が7%以上減少した場合、備蓄放出と加盟国間の石油配分を発動する義務が定められています。仕組みは明快で、供給喪失の少ない国が多い国に融通するものです。ホルムズ封鎖の場合、米国が最大の供出義務国となります。米国のIEA協調放出における拠出義務は43.9%です。 合理的なシナリオとしては、封鎖初期にIEA全体で日量300万バレルを協調放出し、米国が150万b/d、欧州加盟国が残りを分担する形が考えられます。2022年のウクライナ危機時にも計1億2,000万バレル(日量100万バレル超×6ヶ月)の協調放出が実現しており、米国だけでなく欧州にも応分の負担を求めることには前例があります。優先供給先は、最も打撃を受ける日本と韓国とすべきです。なお台湾はIEA非加盟のため、この枠組みの対象外ですが、台湾への供給確保は、米国の二国間責任として別途要求すべき問題でしょう。 そして重要な点は、この危機が米国の軍事行動に起因するという事実です。国連国際法委員会の「国家責任条文」(2001年)は、国家の行為によって生じた損害に対する賠償義務を国際法の一般原則として定めています。自らが設計した危機対応制度を、自らが起こした危機において発動しないのであれば、制度の正当性は根底から崩壊します。 今後危機が長期化する事を考え、日本が検討すべきは、自国の備蓄開放だけではなく、IEP協定の緊急配分発動を交渉カードとしつつ、ホルムズ被害国への傾斜配分付きの協調放出を実現させることです。最低交渉ラインは「日本向け日量100万バレル×90日間」の確約。 米国が作った制度で、米国が起こした危機を、米国が救済する。それはむしろ当然の義務ではないでしょうか。 それでもLNGについてはどうしようもありません。