イラン戦争、勝者は間違いなくプーチン氏
米国が2つの空母打撃群から成る高強度の空爆を維持するには、航空偵察からリアルタイムの衛星分析に至るまで膨大な情報収集が必要となる。これらもまたウクライナ防衛に不可欠だが、限られている米国のリソースだ。イラン攻撃が続くなら、ウクライナではない方向に振り向けられてしまう可能性が高い。 これら全てにおいて、トランプ氏の対イラン戦争はロシアにとってこの上ない絶好のタイミングだった。逆に言えば、ウクライナにとっては最悪の時期だったと言える。 一見すると、そうは見えないかもしれない。イランの最高指導者で死亡したハメネイ師と革命防衛隊は、2022年2月24日のウクライナ侵攻当初からロシアのプーチン大統領を支えてきた。ロシアに必要な弾薬を供給し、数万、あるいは数十万機の無人攻撃機(ドローン)を提供し、ロシア国内での生産許可も付与した。 ロシアに有用な支援国はほとんどいないが、イランはそのうちの一つであり続けた。規模や軍需産業のほか、ロシアとコーカサス山脈やカスピ海を隔てて隣り合う地理的な条件もある。中東全域に影響力を持ち、アフガニスタンと国境を接し、ロシアとインドが両国の市場をつなげようと構築を進める国際南北輸送回廊の重要な経路にも当たる。 イランが米国の影響下に入れば、ロシアにとって単なる屈辱では済まされず、長期的な戦略的損失だろう。プーチン氏がウクライナ制圧に必要な支援をイランは施したが、いまや存亡を賭けて戦っているイランに対して、ロシアは支援する能力も意思もほとんどないように見える。 しかし、これらの懸念は、プーチン氏がウクライナで成功するか否か、短期的な財政問題を解決できるのかどうかという問題に比べれば、取るに足らない。イランのハメネイ氏だけでなく、シリアのアサド前大統領もベネズエラのマドゥロ大統領もプーチン氏は守れず、同氏がウクライナ侵攻で回復しようとしている大国としての力がないことを露呈している。