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追った理想に裏切られ、
並んだ友には見限られ、
信じた世界に利用され、
意味もない人生だった。
それでも、後悔などなかった。
あるとすれば1つ、あの時、自分を信じ、ともに戦ってくれた少女を救うことが出来なかったこと。
けれど、それも果たされた。
自分ではない、自分によって。
自分もまた、救いを得た。
師として仰いだ少女によって。
今の自分には、もう何もない。
いつか摩耗しきって消失するまで、世界のため、人類の存続のために、人を殺し続けるだけだ。
きっといつか、擦りきれてカタチすら無くなって、そこで終わる。
「――――とか、甘いこと考えてたんだろ?」
彼の見上げる空は、刷毛で掃いたように朱色が広がって、落陽を思い起こせた。
「終わりなんて、あるはずないのにな」
「――――キミは」
気付いていた。わかっていた。
あれだけ酷使され擦りきれていた自分が、なんの代償もなしにここまで復元されることはあり得ない。
アラヤは兵器としての自分を必要とした。アラヤに記憶された他のどの英霊よりも使い勝手のいい、『エミヤ』と言う兵器を。
「キミは、どうなる?」
声が震えた。
彼は笑う。
「俺は、救われるんだ。アンタに全部放り投げて、アラヤから解放されて、俺だけ、楽になるんだ」
清々しい、けれどどこか寂しそうな笑顔が、癇に障った。
その肩を掴む。驚いたような顔に、少し溜飲が下る。
「許さない」
「キミだけ楽になるなんて、許さない」
「オレは、キミを許さない」