置き換えたら滾ったので
SAOのとある話を置き換えたら、とっても滾ったので。っていうかずいぶん前年が明ける前から考えてたのに書き上げきらなかったのです。さりげなくエミヤが女体化してるけど、私にとっては通常運行過ぎてごめんなさい(-_-;)それにしてもエミヤの兄弟は夢が広がりますよね~。エミヤしかりシロウしかりアンリしかり。でもきっと常にイリヤが女の子の法則で一番優先されて強いんだ。チヤホヤ。お姉ちゃんのいうこと聞きなさい!っていって従うエミヤとシロウ、そしてふらふらと反抗するアンリがかわいいです。
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「「ゲイ・ボルク?」」
火妖精族のレイピア使いのリンと
鍛冶妖精族の聖剣錬鉄のシロウが同時にランサーに目を向ける。
それと、まわりで話していた仲間たちも。
「おぅ、ここ数日話題になってるだろ?」
暖かな日差しと、持ち主であるリンとシロウが作り上げた快適空間に
ゆったりとおしゃべりをしていた面々はランサー周辺に集まってきた。
もちろん片手にはシロウの作り出した菓子類を携えて
「確かにあの朱色の魔槍は派手だからな、話題にしては妥当だ」
猫妖精にして弓使いのエミヤが話を加える。
そういえばと同じく猫妖精の獣使いイリヤは小首を傾げながら
「ゲイボルグっていったら、ケルト神話では有名な伝説の槍よ」
ファンタジー世界では、わりと見かける伝説級の装備名だろう。
エクスカリバーほどの知名度はなくても、ゲーマーには馴染みがある。
そして画像は如何にも禍禍しい朱色の槍で
「なぁ、頼む。俺にしたらどうしても手に入れたい武器なんだ」
ランサー。
その名前を背負う覚悟をしたのは、このALOより前のSAO時代。
ランサーは槍を背負うものの名前だ、いまの自分の代名詞と言ってもいい。
それを他の者にとられるのは我慢ならないと
「その気持ち、私には覚えがあります」
静かに同調したのは、セイバー。
風妖精である彼女は登録されたセイバーの名より、ALOではこう呼ばれる。
騎士王。
エクスカリバーを手にした彼女は、
誰よりも気高く美しい。
「焦る気持ちはあるでしょうが、まずは準備が必要でしょう?」
パクリ、とまた手元のフィナンシェを口に運ぶ。
おかしい、確かまだ2カゴあったはずなのにいつのまにか残り数個しかないように見える。
そう、目の前の少女は騎士王と同時に
腹ペコ王とも言われて人々に愛されているのだ。
「セイバーさん、口元についてますよ?」
淡い桜色をした髪をしたサクラが、
穏やかにほほ笑みながらセイバーの口元をぬぐう。
現実世界でも妹のような存在であるサクラの行動に毒気を抜かれながら
リンは目の前のエメラルドの瞳を見つめる。
「槍の代名詞たるゲイボルグを取るのですから、準備は当然でしょう」
最後の一つを食べ終えてお茶をいただくセイバー。
肩をすくめるのはリンで、場を宥めるのはサクラ。
楽しそうに肩に居座る相棒のバーサーカーに笑いかけるのはイリヤ。
イリヤがエミヤに視線を向ければ、こちらはリンと同じく肩をすくめて見せた。
「じゃあ俺とリン、サクラとセイバーに、イリヤとエミヤとランサー」
装備は俺が整えておくといったシロウに、
未熟者に自分の装備は預けられないと突っかかったのはエミヤ。
最終的にはリンの雷がエミヤに落ちたのは、実に日常の事だった。
「お願い、助けて…ここから出してください…」
肌は降り積もった粉雪のように白く、長く流れる髪は深いブラウンゴールド。
体を申し訳ばかりに覆う布から覗く胸のボリュームは、
サクラが思わず焦り、ほかの女性陣はそっと目を逸らすかガン見するほどにある。
そのなよやかな両手足には、無骨な氷の枷が嵌る。
ふらりと氷の檻に近づきそうになったランサーの、
後ろに尻尾のように垂れた髪を?まえる。
「罠だ」
「罠よ」
「罠ですね」
上からエミヤ、リン、セイバーの順番だ。
遠慮なく引っ張られた髪の毛にエミヤを睨みつけながらも
ランサーは微妙な顔をしてメンバーを見渡す。
「罠、だよな…罠、かな?」
シロウがなにやら目を閉じている。
どうやらこのALOの世界に接続して目の前の美女(NPC)を検索しているらしい。
仮想空間におけるシロウのもう一つの意識体『アヴェンジャー・アンリ』につなぐ。
「HPゲージが有効化されてるなぁ」
こういったNPCのHPゲージが有効化されているということは
護衛対象のクエストか、あるいは---
「罠だな」
「罠ね」
「罠ですね」
ガックリと項垂れるランサーに、さっさと先に進もうと促す。
何せこのクエストはこの槍兵が始めたのでリーダーは一応この男なのだ。
盛大に後ろ髪惹かれる形でその場から離れようとしたが
「お願い…誰か…」
切なく縋るような声。
これが時間のあるクエストであれば、
ストーリーの大詰めで裏切られちゃったりするのもまた一興かもしれないけれど
「先を急がなくちゃいけないんだろ?」
冷たい女性陣に変わって、シロウが肩を落とすランサーを慰めるが
普段からリンを筆頭にセイバー・サクラ・イリヤなど、
ハーレムかと突っ込みを入れたくなる陣営を築いているシロウに言われたくないわけで…
「罠だよな…罠…罠だってわかってるけどよ、ドチクショ---!!!」
勢いよく振り向いて、氷の檻に近づいたランサーは
一閃、檻を壊して美女フレイヤを助け出した。
その時、実に憐れんだ視線を向けたエミヤと
とても楽しそうな顔をしていたイリヤがいたことだけは誰も気づかなかったが。
BOSS戦に挑んだよ!!
戦ってる最中に、自分の本来の武器がほしいっていったので
宝物庫に最速のランサーが取ってきたよ!
「…なぎる…みなぎるぞ…」
うら若き美女の言葉じゃない気がする。
言語エンジンもたまにはミスるのかなぁとかランサーは思ったのだが
なんだか声も今までの艶やかなハスキーボイスから、低くしゃがれているような?
「え…」
「北欧神話には『巨人の王スリュムに盗まれたハンマーをトールが取り戻しに行く』話があってな」
弓での戦闘ゆえに前線より後方
僅かなりともランサーに近い位置にいるエミヤが淡々と話す。
「その際トールは女神フレイアに変装して、嫁になると偽って城に紛れ込んだとある」
ごつごつと逞しい頬と顎から、
ばさりと長い、長ーい---オヒゲが。
「「オッサンじゃん!!!」」
部屋の前方と後方、聖剣鍛冶師と最速の槍兵、男二人の叫びが木霊した。
戦闘が終わったら城が崩れだしたよ!
そしたらランサーが目当てにしてきたゲイボルクの姿が見えたよ!
無事に手に入れたと思ってたのに、脱出の時になって問題が起きたよ。
乗り物に乗るのに5Mは飛ばなくちゃいけないのに、
槍を持ってたら到底飛べないよ!
悔しい思いをしながらも、ランサーは仕方なく無理やり諦めて放り出したよ。
「……また、いつか取りに行けるわよ」
「その時は俺が、ばっちり座標固定してやるから」
ランサーの肩を叩きつつ慰めるリンに、
同じく慰めるようにシロウが言う。
肩を落としていたランサーも
「あぁ、そうだな…また待っててくれるさ」
一時は手にした最強の槍に、別れを告げ---ようとした。
それを妨げたのは、銀髪のケットシー。
強大なロングボウに矢をつがえ
「200メールか」
呟き、続けて素早くスペルを詠唱。
唖然として見守る仲間たちの前で、無造作に弓を引き絞った。
弓使い専用のスペル、『リトリーブアロー』。
矢に強い伸縮性・粘着性を持つ糸を付与して発射する。
通常は使い捨ての矢を回収したり、手の届かないモノを引き寄せたりするのだが
糸が屋の軌道をゆがめる上にホーミング性ゼロなので
普通は近距離でしか当たらない。
エミヤの意図に気づいたものの、内心「いくらなんでも」とつぶやく。
無理だろう、いくらなんでも。
200メートルというのはエミヤの持つ弓の有効射程の2倍ある。
いや、たとえ射程圏内であっても
足場は揺れるし、氷は落ちてくるし、目標物も落下中なのだ。
しかし---しかし、しかし
落下していく真紅の光と、さらに飛翔する銀色の矢は
まるでお互いに引かれあうかのように近づき、近づいて……
たぁん!と軽やかな音を発して衝突した。
「っむ、」
エミヤが右手から伸びる魔法の糸を思い切り引っ張った。
真紅の光が減速し、停止。
ついで上昇を開始した。
ただの光点だったものが、みるみる細長くなり、槍の姿へと変わる。
「っ、重いな…」
僅か眉間に皺を寄せながら、両手で保持して振り向いた銀色のケットシー様。
「「「エ…エ…エ……」」」
完全に同調した声が投げかけられた。
「「「エミヤさん、マジかっけぇーーー!」」」
全員の賞賛に、三角の耳をぴこぴこ動かして---両手は槍でふさがってる---答えたエミヤは
最後にランサーを見ると、軽く両肩を上下させた。
「心配しなくとも、君に渡す」
それは見事に、お預けをくらった犬のように目をきらきらさせたランサー。
きまり悪そうに視線を泳がすランサーに、エミヤが槍を差し出す。
受け取ろうとしたランサーは、わずかに動きを止める。
そう、それは。
まだ古くない記憶にある、本大会の準決勝バトルでエミヤとランサーが戦った時だ。
じりじりとHPを減らしていく中で、順当にいけばランサーが勝つだろうと
見ているみんながそう思っていた試合の中で
最後の最後でエミヤは、実によい笑顔でランサーにとあるものを贈った。
二人のHPを丸ごと吹き飛ばす、爆弾を。
直後、ランサーとエミヤは密着状態で爆死という、少々穏やかならざる決着を迎えた。
「あ…ありがとう」
礼をしながら受け取ろうとしたランサーの両手の上で
ひょいと槍が引き戻された。
「その前に、一つ約束をしてくれるかね?」
そして銀色のケットシーは、たぶん今までランサーが見た中で最大級の
輝くような笑顔でにっこり笑うと---
10倍の破壊力を秘めた特大の爆弾を落とした。
「---この槍で戦うたび、心の中で、私の事を思い出してほしい」
びっきーん。
凍りついた空気の中で、真紅の魔槍『ゲイボルグ』はエミヤの手からランサーに移った。
しかしその途轍もない重さを感じる余裕すらなく、背中に仮想の冷や汗をだらだら流す。
「お、おう…思い出して、礼を言うよ。ありがとう、見事な射撃だった」
「どういたしまして」
エミヤはとどめにウインクを一撃決めると、後方に下がる。
矢筒からハッカ草を取り出して咥え、すっぱーと一服。
凄腕スナイパーに似合いのクールな仕草だが、尻尾が小刻みに震えているのを見逃さなかった。
あれは笑いをこらえている仕草だ。
女性陣、いやシロウからもジト目を向けられてももうどうしようもない。
「ねぇ、ランサー?いつのまに私のアーチャーと仲良くなったの?」
「言い訳を聞きましょう、ランサー」
ずずい、と出てきたのは当然のように赤い悪魔と青い騎士王。
エミヤの主として君臨するリンも過保護だが、胃袋をつかまれているセイバーも過保護で
いや、後ろに控えた白と黒の聖杯も怖ければ、地味に無言の聖剣の鍛冶師も不穏な空気だ。
新たなる試練に、ランサーはようやく手に入れた真紅の魔槍を
素直に喜べないのだった。
終わり。
最後の話が一番に浮かんで、だったらって考えたら増えた。
このランサーとエミヤはどこまでも仲良く喧嘩してるイメージで
でもどうかしたら槍弓フラグが立つと面白いなぁ。
エミヤはみんなのエミヤなので、道のりは果てしなく遠いだろうけどね!(。+・`ω・´)キリッ
原作のこのシーンを読んでいる時に、何故エミヤとクー・フーリンを連想しなかったのかと思う程に解釈一致です!