青の影 【槍弓前提赤騎弓】
とうとう や ら か し た 。槍弓前提のアポクリファの赤騎兵さん×赤弓さんです反省も後悔もしていない(`・ω・´)キリッ
アポクリファの世界に守護者として赤弓さんが呼ばれて(でもまだお仕事じゃなく様子見)以下略というご都合展開ですのでご注意下さい。
赤騎弓について語りたいんだが同士さんが居なくて死にそうです誰かちょっと話し相手になってくれ鍵アカだけどツイッターにいるからさ俺。
赤騎弓に関しては取り敢えず他にもバージョンがあって赤弓さんが赤騎兵さんを召喚する話とか同じくアポクリファ時空でおっかけっこする羽目になる話とか座で槍vs赤騎兵が始まって頭を抱える赤弓とか脳内妄想だけはお花畑です(´∀`*)ウフフ
その内赤騎弓本とか作ってたら指さして笑って下さい。
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「君は彼によく似ている」
“赤”のライダーにそう言う男の顔は、どこか寂しそうで、切なそうで、そして何より、愛おしそうだった。
褐色の肌に鋼色の瞳、白い前髪を上げて額を出した顔は美男子とは言えずとも整っている部類だろう。
記憶を封じられている男は、自身が何者であるか知らずとも少しずつ、だが確実に“赤”の陣営に馴染みつつあった。
「君の髪は変わった色だな」
ある日、緑掛かった金色の俺の髪を見ながら、男は言った。
そして短い、と呟いた男に思わず長いと邪魔だろうと返せば、そうでもないだろうと男は言う。
「だって彼は長かった」
「彼? 誰のことだ」
「……誰だ?」
言った自分でも良く分からなかったらしく、首を傾げる。封じられている記憶が少なからず漏れてしまう、そんな事もあるのだろうとその時は思って、深く気にも留めなかった。
後日、普段忙しく動き回っている男が、珍しく外で空を眺めてぼうっとしていたので、驚かしてやろうかと気配を消して忍び寄ってみた。しかし、もう少しでというところで男が身じろぎし、彼はその動きを止める。息を殺して見守っていると、男は手を中空に伸ばし、指先で何かにそっと触れるような仕草をした。
「君の髪は、美しいな」
男の視線の向こうは、抜けるような濃い青空が広がっていた。
男が“赤”のライダーを見ては誰かと無意識に比べることは、その後も多々あった。
それは体格であったり、肌の色であったり、瞳の色であったり、食事の好みであったり。ふとしたときに、なんの悪気もなく男は彼と“赤”のライダーとの差異を口にする。
おかげで“赤”のライダーは、男の知り合いである彼の特徴を幾つか覚えてしまった。
髪が長くて、おそらくは濃い空の青色。半神の英雄で瞳が赤いということは、恐らく父親が神族だ。得物は槍で自分より細身の体つき、肌は白いというからここより北の人間だろう。
そして、性格や気性は自分に似ている。そう、男が無意識に反応する程度には。
だが、分かっているのはそれだけだ。これだけでは一体何処の誰なのか分かるはずもない。
分かったところで何が変わるわけではない。だが知りたいと“赤”のライダーは思う。正体を知り、自分とどちらが上か、男に示してやりたい。男の意識深くに刻み込まれている彼を消して、自分で上書きしてしまいたい。
ああ、分かっているとも、これは醜い嫉妬なのだと。自分を見ない男が憎らしく、自分を通して男の目に映し出されているのであろう彼を殺してやりたい。
そんな事を考えていると、目の前に湯気の立った皿が置かれた。
見上げれば男が少しだけやわらかい顔をしてスプーンを差し出して、“赤”のライダーは礼を言ってそれを受け取る。
男に教えられた食前の挨拶をして一口、二口と口に運べば、後はその美味さに夢中になるばかりだ。
そんな“赤”のライダーの近くにミントとレモン入り氷水のグラスを置いて、男は彼の正面の椅子に座る。自分の分は手にした果物ナイフはデザートのフルーツを切り分けるための物だろう。器用に果物を八割りにしながら、“赤”のライダーの食べっぷりに少し嬉しそうな顔をした男は言う。
「君は本当にそれが好きだな」
これを食べたのは今日この時が初めてだと、咄嗟に言いかけた言葉を口の中の食べかけと共に飲み込んで、“赤”のライダーはだって美味いしなこれ、とだけ言った。
美味いはずの食事が、急に味がしなくなった気がした。
『現状、この聖杯大戦に口を挟む気はないと言っていたが、絆されれば力の一つや二つ、貸してくれるやもしれぬからな』
“赤”のアサシンがそう言って、記憶を封じたアラヤの守護者を連れてきたのが全ての始まりだった。
一体どういう成り行きでそうなったのか、あの女は一切を語らなかったが、目覚めた男は想像以上に大人しく、黙って自分の立場を受け入れた。捕虜のように足かせを付けられても怒ることもなく、ただ何もしないのは嫌だとあちこちで仕事を見つけては動いている。斜に構えているくせに根が素直で、英霊であるサーヴァント達に食事を作り、美味いと目を輝かせるのを見ては自分も嬉しそうな顔をする。
そんなとても人間くさい英霊に、絆されたのはむしろ“赤”のライダー達の方だった。弓の腕比べから始まり手合わせ、チェスの相手に現代知識の解説、菓子作り。いつの間にか足かせが外れて、時に外出に連れ出されるようになるのに時間は掛からなかった。
そんな中で、自分が男に対し特別な感情を持つに至ったのはどうしてなのか。
前髪を下ろした顔が想像外に童顔だったから? 皮肉さを抜いた笑顔が可愛かったから? 作る飯が旨いから?
そのどれもが正解で、しかしどれもが違う。分からないままに、自覚のないままに伸ばした手は拒否されることもなく、“赤”のライダーは男を手に入れた。
手に入れたと言えば聞こえは良いが、実際は絆すどころか絆され、それどころか心臓を捉われた。
好きだと告げれば、少し困った顔で嫌いではないよと返す男に、彼の影がちらつく。男の胸に残った傷跡の犯人である彼が、男の身体を知っていることを男の反応から知ったとき、“赤”のライダーは殺気を隠すことが出来なかった。
男が記憶を取り戻せば彼の正体が分かって、憎い相手を殺すことも、あるいは男の心の天秤を傾けることも出来るだろう。
だが、記憶が戻れば男はアラヤの守護者として、ここから姿を消すことも疑いない。
つまり、“赤”のライダーは男を手にしている間ずっと、この嫉妬の炎に身を焼かれ続けるのだ。
「それでもいい。……愛してるんだ、エミヤ」
言葉は届かず闇夜に散り。
“赤”のライダーは、眠りに落ちている愛しい男を、そっと腕の中に閉じこめ目覚めぬように口付けた。
小役人さん> 目覚めて頂き嬉しいですありがとうございます! もっと広がれ赤騎弓!