Re:Ron特集「私の一歩」太田啓子さん
性暴力や性差別に苦しむひとを、法律の知識で守りたい――。
家庭内暴力や離婚案件、職場でのセクハラ事件などに、弁護士として関わってきた太田啓子さん(49)。その一歩目となったのは、「苦痛」とともに思い出す子ども時代の記憶にあったといいます。ジェンダー(社会的な性差)は一人ひとりが抱える問題だけでなく、法律や制度自体にもある――。国際女性デーに合わせた全国的なアクションに込めた願いとは。
ジェンダーギャップ指数1位のアイスランドで、女性の90%が仕事や家事を一斉に休み、女性がいないと社会が回らないことを示したムーブメント「女性の休日」。半世紀を経て公開されたドキュメンタリー映画に背中を押され、日本のジェンダー平等に向けて動き出す人たちに、「一歩」への思いを聞きました。
【参加募集3/8】Re:Ronカフェ「永遠の生徒」~あなたの言葉が、社会を動かす
作家の山内マリコさんとFIFTYS PROJECT代表の能條桃子さんの対談イベントを3/8に開きます。「社会を変えるための一歩」について一緒に考えてみませんか?
「私の一歩」と聞いて思い出すのは、小学校での場面です。体育は下着と同じ形のブルマをはかされて、着替えも男子も女子も同じ教室で、健康診断の身体測定も下着姿で待たされて、本当にいやだった。今振り返ると性的な尊厳、プライバシーを侵害するような暴力だったと思います。
当時の大人の言葉による苦痛も記憶にあります。
中学生の頃、理科の気象を学ぶ授業で「洗濯物が乾きやすいのはどんな条件か」と教師が聞きました。男子も女子もいたクラスなのに、続けた言葉は「女の子もわからない?」。まるで、「女子は男子と比べて家事をしているから詳しい」とでも言いたげで、性別役割の押しつけを感じていやだと感じたのを覚えています。
そんな子ども時代の記憶に加えて、高校生・大学生のときには自身も男性による性暴力にさらされた経験があります。大学3年生の頃に司法試験を受けたのは、身につけた法律の知識を、性暴力・性差別によって尊厳を削られた人を守るための力にしたかったからでした。
20代半ばで弁護士として独立し、結婚と息子2人の育児、パートナーとの離婚を経て、離婚事案を担当しているとこう思います。
社会全体のジェンダー格差が、家庭にも入り込んで女性が尊厳や本来の自分らしさ、生活を削られてしまっている――。
離婚事案は弁護士にとっても…