【※性転換】L++!
アイリ……僕はね、オールスター性転換ネタと、剣弓が好きなんだ… そんなネタです。色々となんでもこいな方はどうぞ
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良い日だ、と弓兵は目を細めた。
さわやかな秋晴れが頭上に広がっている。はたはたと洗濯物ははためき、先日整えたばかりの庭の緑は目に優しい。
個人的に挑戦してみた茗荷の浅漬けは朝食の場で好評を博したし、昨日しておいた仕込みのおかげで夕食の準備もスムーズにいきそうだ。ゆるりと見上げた柱時計はそろそろ十時を指そうかとしている。昼食は昨日の残りの牛筋を入れて中華風のスープを作ってクッパにでもしようか。
人口密度もエンゲル係数も高い衛宮邸において、しかして昼食に限って言うと簡単に済まされることが多い。曲がりなりにも大きい食い扶持である学生三名と教師一名は平日は学校へと赴いているし、そうなると邸に残っているのは英霊達だ。それらも何やかんやバイトや用事やと出払っていることもあるので、必然的に量は少なくてすんでいく。今でこそ一日三食の習慣が染み着いているサーヴァント連中ではある物の、基本的に食事は一日一回二回で当然の時代の者共だ。主に昼食を担当するアーチャーこそ現代日本人らしく三食食べたいひとだが、それだって別になかったら無かったで構わない。結果的に昨晩の夕食の残りを一工夫したものだとか、さっくりと調理できる物が主となっている。
それにしたって、一般家庭に比べれば住人が大小皆腹ぺこ要素を持ち合わせているため量は尋常じゃなく多いのだが。
しかし昼食の前に十時のおやつか、と障子の桟を拭いていた手を止めアーチャーは立ち上がる。
今日はライダーもランサーもバイトが休みだと言っていた。今こそ姿は見えないがそろそろ当然のように現れてセイバーとともにおやつコールを始める時間だろう。
傍らに置いてあったバケツで雑巾を洗い、水を庭に捨ててそれらを片づける。汚れた手を洗ってから台所に入り、さて今日のおやつはとみずやをのぞき込んだ。先週藤村組からお裾分けしていただいたおかきはもうだいぶ心許ない。全員分行き渡らせようと思うと苦情が飛ぶだろう。しかたない、十時の間食には少々重たい気もするが昨日作ったりんごと桃缶のシャルロットを出そう。
ならば伴うのは紅茶だろうと手早くお湯を沸かしティポットを用意する。衛宮邸は遠坂邸と違い揃いのティカップなどという洒落た物は完備されていないが、代わりに家に出入りする者達専用のマグカップが用意されている。今日居るはずの者達、セイバー、ランサー、ライダー、ついでにアーチャーのマグカップを取り出し、湯が沸くのを待つ。ふと雑念(これ私お母さんなんじゃじゃないのか。英霊ってなんなんだ。どうしてこうなった)的なものがアーチャーの脳裏をよぎったが、深く追求するとがりっごり磨耗する音が聞こえてくる気がしたので遠い目をしてスルーした。聖杯戦争が何かよくわからない感じでうやむやになってからというもののアーチャーのスキル:スルーは日々ランクを上げている。そろそろAくらいには達しているだろう。A+になる日も近い。
「よっす、今日のおやつは何だ?」
「りんごのシャルロットだ。手を洗って来たまえ」
「うい。ライダー、甘いのだってよー」
だから何か知らん間にランサーが台所をのぞき込んでいてその向こうでライダーが居間でテレビを点けても「ああ来てたのか」でスルー確定である。
どたどたとランサーが手を洗いに洗面所に向かうのと入れ替わりにライダーが台所に顔を出す。
「私のカスタードクリームは多めが良いです」
「了解した。セイバーはまだかね?」
「未だですね。まぁ、いつもの通り道場でしょう? 放っておいてもその内に来ます」
それもそうだ、とシャルロットを型から外していると、背後からどだだだだだ、と重たい音が、迫って、
「あああああああちゃ、あぁぁあああぁぁああああ?!」
どすーん、とアーチャーの背中に激突した。
「ぃぐふっ?!」
背骨折れる。
背中側に突貫してきた質量と調理台とに挟まれたアーチャーは、衝撃を逃がすことも出来ずにごふっと絶息する。全力で料理を守ったのは調理人としての意地だった。背後で「おや」とライダーが優雅な声を上げるのが聞こえた。
がっしりと腰に回る手が一瞬にして離れ、なにやらどたんばたんと床を打つ音も聞こえるものの、上手に鳩尾に入ったその衝撃をやり過ごすのにアーチャーは調理台に手を突き振り替える余裕が無い。無いが、飛んできた声から相手を推測するくらいは出来る。セイバーだ。基本的には食欲以外は無害きわまりない騎士王であるが、暴走するとやや周りが見えなくなる傾向にある。今回は何だと軋む体をぎしぎしと振り返らせると、道場から裸足で飛び出してきたのか足を汚しへたり込んだセイバーがこちら(アーチャー)とあちら(ライダー)をきょときょとと見やっては鬼気迫った表情ではくはくと口を開け閉めしている。窒息した金魚ににているな、とアーチャーの脳内の誰かがつぶやいた。
「おーい、どした? なんかすっげぇ音聞こえてきたんだが」
手を洗い終わったのかランサーがのれんをめくって現れると、セイバーはまたびくうっと肩を跳ね上げた。
何だか知らないが、汚れた足のままで家に上がるのは感心しない。一つしかってやらねばとアーチャーは口を開くが、盛大にふるえたセイバーの声にそれは遮られた。
「ああああああアーチャー、おおお、女ですっ! いや男でっ、女で、これは一体どういう事ですかっ?!」
「……は?」
日本語でしゃべれ、と眉をしかめたランサーがつぶやく。果たしてアーチャー以外の全員が日本語で喋ってはいないであろうこの空間で、しかしセイバーの言葉はなんかもう聖杯の通訳機能を以てしても意味を成したものになっていなかった。あああううとセイバーが頭を抱える。
「らっランサーが女です! ライダーが男です! アーチャーが女です! 私がっ、私が男です! 何なのですかこれは、またあの金ぴかのせいですか?!」
碧眼が混乱でぐるぐると渦巻いている。
金ぴかとはギルガメッシュの事だろう。またあいつになにかされたのか、と最早若干の慣れが来ているアーチャーはため息を吐いた。認識を狂わされる薬でも盛られたか。己が楽しむためのみにそういったトラブルを引き起こす金ぴかにしては意図の読めない行為だったが、ひとまず目の前のセイバーを落ち着かせるところから始めなくては。
似たり寄ったりの反応をしているランサーとライダーに目で促され、しゃがみ込んで恐慌でおののくセイバーの肩を叩く。
「セイバー、落ち着け」
「あ、あーちゃー」
「私が女なのも君が男なのも、元からだ」
ひくっと目の前の青年の整った口の端が痙攣する。
セイバーは自らのマスターの口癖をなぞるようにシャウトした。
「で、何だ、お前のいた世界では俺もアーチャーも男で? ライダーもお前も女だったってか?」
「どころか今聞いたまで全ての人物の性別が逆でした」
「そりゃあ、まぁ……」
一頻りの大騒ぎの末、アーチャーの機転(口にシャルロットをぶち込む手法)によって落ち着きを取り戻したセイバーによると、今彼の中にいる"騎士王"はどうやら自分たちの知るところのアーサーではないらしいことが発覚した。
少女であることを隠して少年王としてブリテンに君臨した騎士王。アーサー改めアルトリア。俄に信じがたい話だが、語るセイバーの瞳は真剣そのものであった。
何か催眠の類ではないか、と金ぴか女王に連絡を入れるも、そんな意味の分からん催眠をするくらいなら惚れ薬でも飲ませると切って捨てられた。確かにそれもそうだ。
「一番考えられるのは、平行世界のアーサーの意識が一時的にダウンロードされている、というのでしょうね」
何事に於いても一線を引いた態度のライダーが紅茶を一口飲んでから言う。彼にとっては彼とそのマスター以外のことは割とどうでも良い事象なのである。魔眼殺しの眼鏡をくいと押し上げる仕草も、肩より下まで伸びる長髪をさらりと払いのける仕草も冷静そのものだ。
「ほら、先日の面妖な変身ステッキでの一件。あの時セイバーは発動中のあのステッキで頭をぶつけています。その辺りで何か混線が起きたのではないでしょうか」
「「ああ……」」
カレイドでルビーだったりカレイドでサファイアだったりしたあれの大惨事が心中に蘇り、ある意味一番の加害者であり一番の被害者であるアーチャーとランサーの顔が苦虫を噛み潰したようにゆがむ。思い出したくない。早急に忘れたい。忘れたいが、そういえばそんなこともなんかあった気がする。というかそのせいで第一にセイバーが脱落して、被害が拡大したのだったか。
きょとんとしているセイバーが詳細を聞いてくる前にとアーチャーは「可能性としてはあり得るな」と最もらしく頷いた。ランサーは詳細を思い出してしまったのかがっつり机に伏してしまった。
何せ平行世界の宝石翁作すこぶる付きの魔術礼装である。ちょっとぶつかっただけでもどんな影響が出るか分からない。あの愉快な自立思考型棒状礼装ときたらデウスエクスマキナの如き汎用性を誇るのだからして。
「まぁとは言え一時的なものでしょうし、暫くすれば世界の修正力が働いて元に戻るのではないですか?」
「……だと良いのですが……」
ぐったりとしてしまっているセイバーがどことなく哀れだったので、みんなのお母さん基アーチャーは自分の前にあったシャルロットをそっと彼の前に押しやってやった。セイバーには取り敢えず物食わしときゃいいという乱暴な認識の元であるが、まぁ間違ってはいないので単純なセイバーは目を潤ませて「アーチャー……」と感激したようだった。どうやら平行世界でも自身のなんかこのよくわからんお母さん的な感じは一緒らしいとため息を吐く。寧ろ男でこの感じってしょっぱくなかろうか。平行世界の英霊エミヤに合掌を贈るエミヤである。男の自分とかあまり想像したくないが。
「まぁ、推測っちゃ推測だ。取り敢えずは少年に相談した方が良いんじゃないか? 一応はあれの持ち主だろ?」
「ああ、それもそうだな」
どうにか復帰したらしいランサーが首を傾げ言うのを首肯する。
セイバー、――の中にいるセイバー――の世界では、この普段着がやたら薄着の女戦士も見事に朱槍を操る美丈夫だったのだというのだから想像が追いつかない。もしやあのレオタードちっくな概念武装は男になっても持ち上がりなのだろうか。ぎりぎりじゃなかろうか。いろいろ目も当てられない予感がする。ライダーは、……ライダーはまぁ割と中性的な美形なので、どことなく想像は難くない。バーサーカーとかどうなってるんだ。気になる。
アーチャーがそんなくだらないことに意識をとばしているうちに話は進んでいたらしく、ひとまずは学生連中が帰ってくるまではすることがないという結論に達したようだ。簡潔である。聖杯戦争がぐだぐだで終結を迎えてからというもの、なんやかやと騒ぎ――主に元凶は金ぴか女王時々うっかり時々その他――を繰り返してきている面々だ。なんだかんだで訳の分からない状況には慣れていた。
特に今回はセイバー一人がなんか騒いでいるだけで、すごく他人行事に言ってしまえば表面的には何も変わっていない。いつぞやの猫耳が生えたとか語尾とな行が強制的ににゃ行に変換されるとか、そういう騒動の方がよっぽど大変だった。そういう騒動を指折り数え出すとほんと何やってんだろうと磨耗の音が鳴り出すのでそこはアーチャーのスキル:スルーの輝きどころだ。
「……まぁ、その、なんだ。そう気を落とすな」
しかし渦中であるセイバーは眉を寄せ真剣な表情で口を噤み、頭を垂れてしまった。言う言葉を信じるならば彼――否、彼女は急に男の体を与えられ異世界に放り出された状態なのだ。不安にもなるだろう。慰めになるならば、と言わんばかりにランサーが自らの分のシャルロットを差し出している。もうほんと騎士王にはなんか食べ物与えときゃいいという認識が衛宮邸には蔓延っているのだ。
まだ少年の青さの抜けない、しかししっかりとした青年の肩をたたき、アーチャーは俯くその顔をのぞき込む。
「すぐに解決するだろ、」
セイバーは、にっこー、と笑っていた。
「う?」
え、何この顔、とアーチャーの頬がひきつる。
その表情はたとえるならば新しいゲームを買って家に帰る子供の顔、もしくは前々から楽しみにしていた通販の商品が届いた奥様の顔、または待ちに待ったアニメのBDボックスを開封する大きいお友達の顔、とかそのへんである。すごくわくわくどきどきうきうきしている。男性にしては大きめの瞳が光をこぼさんばかりにきらっきらと光っている。光の御子もかくやである。ちなみに当のリアル光の御子はセイバーに差し出したシャルロットが名残惜しいのか「食べないのかなー。やっぱり返して貰っちゃ駄目かなー」という顔をしていた。見かねたライダーが自分の分のシャルロットを差し出している。後でおかわりを用意してやろう、と考えるおかあs弓兵だった。
そんな心優しい子供達(暫定)の交流はひとまず、セイバーである。なんかもうそろそろ魔力が放出されて光に変換されているのではないかというくらいに輝く貌(物理)状態になっている。
がしっ、と肩においた手を掴まれた。そのままぎゅっと握られる。ちなみにセイバーの筋力はBでアーチャーはDだ。ふりほどけない。とても痛い。
「せ、セイバー……?」
「アーチャー、私、ずっと男になりたかったんです……っ!」
あーそれわかるー、と後ろでランサーがつぶやいた。ケルトの偉大なる戦乙女、クランの猛犬。女であることに恥も遅れも保たない彼女であるが、思うところがないというわけでは無かったらしい。しかし今はそういうのはどうでもいい。アーチャーは握られた手を離させようと必死だった。
剣を握るのが常の彼の手はしかししなやかで、ほんのりと湿ったような暖かさがある。アーチャーのほっそりした手をすっぽりと握り込んでしまったそれはなんかすっごい勢いでぎゅうぎゅうと力が込められている。英霊の体だから耐えているがアナザーならばぐしゃりと潰れて非常にグロテスクな事になっているだろう。そしてアーチャーの手であっても悲しい筋力ステータスと耐久ステータスの差かそのこんにちわミンチ・ザ・ハンドは目前まで来ている。あとなんか目の前の輝く貌(物理)からの物量がもうものすごい。
曲がりなりにも英霊のこの身。手がミンチになろうとも魔力さえ注げば治るだろうと分かっていても、こんなしょうもない理由でマスターに魔力を使わせるのは情けなくていやだった。絶対意味分からんという顔をされる。アーチャー自身だって意味分からん。
しかし筋力Bは容赦ない。みしっと褐色の手がミルク色の手の下で軋みを上げる。
「セイバー、いい加減にしなさい。アーチャーの手が潰れます」
助け船を出したのはライダーだった。眼鏡をすらりと外し、視線を向けた物を変異させる石化の魔眼を走らせる。結果、視線の先にあったセイバーの肩ごとぴしりと石化した。ぞわ、と駆け上る不快感。引こうと力を込めてもアーチャーの手首までは石化の巻き添えを食らっている。
そんな状況になってやっと落ち着いたのか、セイバーがはっと息を飲んでライダーを見上げた。素早く魔眼殺しを着け直した長髪の美丈夫は冷ややかな瞳でセイバーを見下ろしている。
「す、すみません、少しはしゃぎすぎました。何せ長年の夢だったもので」
「あ、ああいや、構わない」
セイバーが息をついたのを見て、ライダーが瞬きとともに魔眼を解除する。ようやっと感覚の戻ってきた指先にほっと息を吐くと、それがまた柔らかい感触で包まれた。
セイバーが、今度は優しい手つきでアーチャーの手を撫でくり回している。
真剣な表情で、爪をくすぐるようにしては甲に浮かんだ骨をなぞり、何かをもみ込むようにやわやわと握る。やたらとふんわりしたその触り方に、謎の感覚がアーチャーの背筋を駆けめぐった。思わず手を振り払い、感触をかき消そうと胸にぎゅっと抱き寄せる。
振り払われたセイバーは、一瞬きょとと意外そうな顔をしてからふんわりとほほえんだ。女性的な柔らかさを伴ったそれは、確かにいつものセイバーには出来ない表情だ。
「……アーチャーは、女性になっても変わりませんね」
「……」
ライダーとランサーの視線がドッスンドッスンと背中に突き刺さっている。二人分のそれはおいお前等それ以降は部屋でやれよと全力で訴えかけていた。部屋でもやらんわと唇をかみしめながらもふんわりと笑むセイバーにきちんと向き直ってやる弓兵基お母さんである。
いつもの全開笑顔とはまた違った雰囲気を発する彼は、日溜まりのように微笑み胸の前で握り込められたアーチャーの両手を取りつなぎあうようにする。
平行世界でもこんな感じか騎士王。女性になっても尚紳士力の変わらないただ一つの騎士王なのか。
「男性でもやたら愛らしいと思っていましたが女性だと全くもう洒落になりませんねあなたどうぞ嫁に来て下さいいえ寧ろこちらの私はもしやまだ貴女を娶っていないだなんてそんなことはありませんよね? 騎士王たるもの鞘を腕に抱かずに何を護ると言うのですかところでアーチャー寝所はどちらでしょう?」
あ、紳士力落ちてた。
「「落ち着け」」
「これが落ち着いていられますか!! アーチャーですよ?! アーチャーが私より小さいんですよ?! どういうことですかこれは私をどうしたいのですか世界は!」
「俺らからしたらそのテンションのお前の方がどうしたいんですかだよ」
「ああもちろんランサーもずいぶん愛らしくなって非常に良いと思いますすばらしいですね! しかしそんなことよりアーチャーです!」
「何なのセイバーが弓兵大好き症候群なのは世界の決定事項なの?」
「というか男だからと自重している分が無くなってより酷いのですがこれ」
セイバーの大きな手がぺたぺたとアーチャーの顔やら肩やらを触りたくる。セクハラである。出るところに出れば良いところまで持って行けそうだが、中身は少女なのだと言い聞かせアーチャーはその手を優しい目に払いのけた。何だか聞き捨て成らないようなとんでもないセクハラ発言もかまされたような気がする。スルーか。スルーだな、と、ここにアーチャーのスキル:スルーのランクが一足飛びでA++までランクアップしたことをお知らせします。
というか何だ弓兵大好き症候群って。そんな愉快な症例があってたまるか。セイバーは自身に餌付けされているだけであり、自分はそれに甘んじているのだと思いこんで後ろめたさの捨てられないアーチャーは流石にそればかりはスルーしきれずじっとりとランサーを睨みつけた。青い髪をくるくると指に巻き付けてどこの女子高生だといわんばかりに目を逸らしもっもっとシャルロットを食う光の御子。そして騎士王に餌付けという発想に疑問を持たない錬鉄の守護者。
セイバーはまだはしゃぎたりないのか、そういえばこれ男性の体なんですよねうわぁ視点が高い! ちょ、ちょっとどなたか手合わせしていただけませんか! などと切り替えも早く立ち上がり颯爽と概念武装に切り替えている。いつも見慣れた青年騎士がやたらはしゃいでいる姿は微妙に異様だった。
「おっ、じゃあいっちょやるか?」
「ランサー! お願いします!」
戦闘だいすっきな槍兵が髪を掻き上げ立ち上がる。力を持て余し気味な英霊達が集う衛宮邸では、まぁこの辺は日常でもよくある光景だ。概念武装も纏わぬ普段着のままのランサーに連れられるようにしてわくわくを押さえきれない表情のセイバーはどうやら道場へ向かうらしい。いつの間にやらランサーが与えたシャルロットは消えていた。目にも留まらぬ早業であった。
どたどたと嵐のように去っていく戦闘だいすきっこ達の背中を見送ったライダーが言う。
「……あれは、二人きりになったら食われますよ、アーチャー」
寝所の下り、目が本気でした。とかなんとか。
とおさか、はやくかえってきて、と色々磨耗の進む音を聞きながら弓兵は空を仰ぐ。良い日だなんていう幻想は幸運Eには許されないのだった。