「#ママ戦争止めてくるわ」が賛同されなかった「残念な理由」とは
衆院選で注目されたSNSハッシュタグ「#ママ戦争止めてくるわ」について、先日一部のメディアが「賛否入り混じった反響だった」ことを報じ、ちょっとした話題となりました。ただ情報リテラシー視点で見ると、あれは「盛り上がらなくて当然」と言わざるを得ないものでした。
現在、米国・イスラエルがイランを攻撃し大騒ぎになっていますが、果たして「ママ戦争~」界隈が、これらに対しても同じような熱量で抗議するのか、正直疑問です。ロシアによるウクライナ侵攻では、ウクライナの人々が必死に反撃、国を守っていたのに対し、あの界隈から「プーチン許すな」ムーブメントは見られませんでしたし、これまで「戦争」や「命」といったクリティカルな事象に対し、自分の好みや党派性で態度を「オン」「オフ」してきたダブルスタンダードな姿を、多くの人が冷めた目で見てきたのは事実でしょう。
情報リテラシーの世界では「ママ戦争~」のような感情的ワードを目にした際、その主張を冷静に分析するプロセスが不可欠です。まず日本が関わる戦争が起きるとしたら、その戦争は「誰が」「誰に」対して仕掛けるのか。日本が他国に向け、自らの意志で侵略、攻撃するというのであれば、どんな理由があって仕掛けるのか、そもそも可能性はあるのか……常識的に考えて、こちらからの先制攻撃は起こりえない話であり、そのような主張を持つ政党も国内には存在しません。
そうじゃない、中国と戦争になりそうじゃないか、という方もいらっしゃるのですが、確かに現在の日本の周辺状況、特にこの数か月の状況を見れば、日本が、中国の起こす台湾有事に伴う偶発的(あるいは意図的)な戦闘に巻き込まれる可能性はあり、これは望まない戦争状態への突入という最悪の事態と言えます。ではそんな事態を避けるためにはどうしたらよいのか?ここは感情ではなくロジカルに考察します。
必要なのは仮想敵国(仮に中国)に「勝てる」戦力を持つこと、ではありません。そんなことをしたら国内経済が破綻します。本当に必要なのは仮想敵国から見て
「この国を攻撃したら経済的に割に合わない、勝ってもヤケドする」
と思わせ、躊躇させる程度の「絶妙な戦力」です。これを自国経済を破綻させずに維持しなければならない。言い換えれば「万一攻め込まれても、ある程度の期間は反撃を続けられる程度の戦力」であり、はたして我々はこれを維持できているのか、という話でもあります。
実はウクライナがまさにこのケースであり、初動でしっかり抵抗し、諸外国の足並みが揃うまで首都を死守したからこそ、各国の支援も何とか間に合いました。もし早い段階でキーウが陥落していたら、どの国からの支援も受けられず敗戦を迎えていたでしょう。
このように私たち一人一人が、感情ではなくロジカルに物事を考察できるようにするのが情報リテラシーの役割であり、だからこそ多くの人が情報リテラシーを学ぶことは重要なのです。選挙期間中に「#ママ戦争止めてくるわ」がさほど賛同を得られなかったのは、そもそも他国と戦争をしたいと考えている政党が日本国内に存在しなかったこと(言うまでもありませんが)、更には「どうしたら戦争に巻き込まれるような事態を避けられるのか」についての考察が欠落していたからだと言えます。
もちろん外交努力は最重要です。でもそれが通じない相手や、それに失敗した時に備え、プランB、プランCまで準備すべきが政治の役割であり、先の選挙ではそのような政党が支持された面があったのも事実でしょう(とは言え、自民党の大勝はそれ以外の「突発的な追い風」要素のほうが大きかったと言われていますが)。
「ママ戦争~」界隈には「もし日本が攻め込まれたら降伏すればいい、防衛費はいらない」的なビックリ発言をされる方もいらっしゃるので、そういった方々には是非、ロシア兵が戦場でウクライナ人を拷問、強姦している事実について、いま一度直視して頂きたいです。ロシアは我が国の隣国です。