- 1二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 01:37:03
- 2二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 01:39:40
前スレ
ここだけ黒服がシャーレの先生になった世界線 10|あにまん掲示板気付いたら時間を遡っていた上にシャーレの先生になっていた黒服のスレ その9です。私は元々のスレ立て主ではなく、面白そうなのでSSを書いている者です。現在はSRTシャーレ支部編です(カルバノグの兎編の代…bbs.animanch.com初代スレ
ここだけ黒服がシャーレの先生になった世界線|あにまん掲示板「……い。……先生、起きてください。黒服先生!!」と言われ、目を覚ますと連邦生徒会室・ロビーで寝ていた黒服。何故? 何故? 何故? となりながらシャーレを奪還し、先生の隨にアビドスの支援に向かうことに…bbs.animanch.comハーメルンでのまとめ(改稿あり)
黒服がシャーレの先生になった世界線 - ハーメルン目を覚ますと、先生になって過去に戻っていた黒服が先生としてどうにかやっていく話。 某掲示板で投稿している内容の保管であり、少しだけ修正などがあるかと思いますが、…syosetu.org - 3二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 01:42:40
あらすじ
ミヤコとサキの仲を改善するため、FOX小隊とのチームシャッフル交流戦を行うことに
結局模擬戦をやる前に自然と仲直りは出来たのだが、だからと言って交流戦がなくなることはありません。
前半戦は綺麗に負けたミヤコ率いるRUBY小隊だが、後半戦はどうやらうまく進められているようです - 4模擬戦⑥26/02/18(水) 01:44:55
今回一部視点変更があります
「クルミが突然やられたかたらまさかとは思ったけど、あなたたち二人掛かりで相手してたのね」
月雪ミヤコと空井サキが進んだ先、B拠点へ続く細い道で、七度ユキノは待ち構えていた。
「そうでもしないとクルミ先輩には勝てなかったので」
「まあ、あのままだったらリタイアになっていたのが私だった、というのは否定しない」
二人は警戒を強め返事をする。
「そう。戦略として間違っているとは言わない。でも、前半戦で分かったと思うけど、このルール、全部の拠点を攻略するには4人バラバラで行動しても時間はギリギリになる。その作戦だと、運に頼る必要が出てくるわよ」
そう言われた時、月雪ミヤコの表情が変わった。その変化には、後輩相手に余裕を見せていた七度ユキノも少し動揺しているように見えた。
彼女は、不敵に笑っていた。
「私は運に頼るつもりはありません」
そう言って、月雪ミヤコが動く。三度、彼女の自走式ドローンから繰り出された閃光弾が音と光で視界を奪う。
「……! 芸が無いわよ!」
七度ユキノはすぐに冷静さを取り戻し、対処しているようだ。こうしてカメラが異常光を検知し再起動するのも3回目だ。彼女の言う通り、味方の人数が増えたからといって有効な手段となっているかは分からない。 - 5模擬戦⑥26/02/18(水) 01:46:11
それにしても、1対2で戦っているにもかかわらず、戦闘は七度ユキノが優位に進めているように見える。
勿論、キヴォトスでは一人の組織最高戦力がその組織の他の構成員全員を上回るような規格外の生徒が存在することを私はよく知っている、
今戦っている3人も、そういった通常の枠を越えつつある生徒たちであろうことは間違いないだろう。しかしこの1対2に限って言うと、七度ユキノと他二人とで、そこまで身体能力に差があるようには見えない。
ただ着実に、人数の差を七度ユキノが埋めていっているということは、戦闘について素人の私でもよく分かった。
そして予想を外すことも無く、状況が動く。先ほどのクルミとの戦闘で被弾ダメージが蓄積していた空井サキが、月雪ミヤコを庇うように前に出たその直後、
「……あっ」
彼女の情報がリタイア判定へと切り替わった。一つ前の戦いによるダメージが思ったよりも多かったようだ。
「これで1対1。まだ勝てる気でいる?」
七度ユキノが挑発するように問いかける。意外と戦闘時に高揚するタイプなのだろうか。
「……もちろん。私たちが勝ちます。ユキノ先輩に勝てるかどうかは分かりませんが」
月雪ミヤコも真顔で言い返す。そして、申し訳なさそうな顔をしている空井サキを置いて、戦闘の続きが始まった。
空井サキと二人で戦っていた頃は彼女たちから仕掛ける場面が少なからず見られたが、1対1になってからは、防戦一方になってしまっていた。
それも当然の話だ。そもそもこの二人は前半戦で戦っており、それ以前に先輩と後輩として何度となく相手をしているはずだ。
表情に余裕があるのは、月雪ミヤコの方に見えた。彼女のそれは自分の計画がうまく行っていないとは思えないものだ。
一方で、七度ユキノの表情は険しい、というよりも困惑に近いものだった。 - 6模擬戦⑥26/02/18(水) 01:47:43
~~
彼女の先生がそう考えていた通り、七度ユキノは困惑していた。自分が優勢に立ち回っているはずなのに、自分が目にかけている後輩は余りにも平然としていた。
それが気になって、集中しきれず、後輩のミヤコを倒すのにいつもより手間取っている、そう思っていた彼女はあることに気付いた。その認識は間違いだ。
この後輩は、明らかに時間稼ぎをしている。時間稼ぎをして得をするのは防御側のはずだ。やはり何かがおかしい。
そして、「うまく行っているはずが全くそうでない」という状態に、覚えがあることを思い出したとき、彼女の手が完全に止まってしまった。
あの時の、調印式で自身が参加した作戦のときのアリウス生達の思いは、そういうものだったのではないだろうか。
「もしかしてミヤコ、あなた何か時間稼ぎをしている?」
ユキノは探るように後輩にそう確認する。
「……バレましたか」
ミヤコはしれっとした表情でそう言った。そして、彼女はそのまま種明かしをするように話をつづけた。
「私はまだまだです。たった一週間と少しでは、先輩の技術に追いつくことも、優柔不断を失くすこともできませんでした。……でも、十分時間稼ぎは出来たみたいです」
そう言って、構えを解く。もう勝ちを確信しているようなその様子にユキノは更に混乱した。 - 7模擬戦⑥26/02/18(水) 01:48:43
「今ほど、先輩が教えてくれたんです。A拠点と、B拠点には宝物が無いことが確定しました。宝物はC拠点です」
A拠点とB拠点に宝物はない。確かにその通りだ。ユキノは混乱しながら考える。
だとしたら彼女は一刻も早く自分を倒すか、自分から逃げるかして、C拠点に向かわなければならないはずだ。
ユキノからすると、B拠点を探索できる人間はいなかった。A拠点も同様にそうだ。
しかし、それを為した人間がだれなのかはすぐに想像ができた。
唯一動向を把握できていなかった相手、同級生であり、普段仲間としてオペレーターを任せているニコだ。彼女がA拠点を家探した後にB拠点をドローンで探索させていた場合、二つの拠点を調べることは可能だ。そして、B拠点周辺にドローンが来ている様子は、少なくともミヤコと対峙するまでは無かった。つまり、ドローンが近づいたのは……
「あの閃光弾は、ドローンのB拠点への侵入を気付かせないため、だったのね?」
「はい、流石ですね。先輩」
ミヤコが素直に認める。何度も同じ手を使っていた理由が分かった。そこは自分の失態だ、ユキノは内心認めた。 - 8模擬戦⑥26/02/18(水) 01:49:43
「だとすると、ニコは今A拠点。今すぐあなたを倒せば、C拠点を守りに行けば勝負はまだ分からなくなる」
そのはずだ。少なくともA拠点からC拠点に行く場合、たどり着くまでで制限時間まであとわずかな時間になるだろう。ユキノはまだ、そう考えていた。
「そうですね、先輩。先輩は本当なら私たちの相手をせずに、C拠点に向かうべきだったんです。でも、先輩は私の『運には頼らない』という言葉を信じて、私たちを正面から受けてくれた」
すべての作戦が終わったかのように、ミヤコはそう言った。まだ終わっていないはず、というユキノとの認識が完全にずれていた。
「どういうこと……!?」
ユキノが再度問いかけようとして、言葉を止める。
C拠点で待ち構えているはずの後輩、風倉モエが突然リタイア判定になったのだ。
そしてそれから間もなく、演習場内にメッセージが流れる。
『ニコが拠点Cにて宝物を発見。RUBY小隊の勝利です』
ユキノは、先日のアリウス生達の驚愕を、今度こそ自分が味わっている気分になった。 - 9二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 01:49:44
盾Z
- 10模擬戦⑥26/02/18(水) 01:51:17
~~
スタート地点傍の本部で不知火カヤと共に見ていた私には「時間稼ぎは出来た」という実質的な勝利宣言をする前から、RUBY小隊の勝利がほぼ間違いないということを把握していた。
あの時点で、ニコはC拠点の目と鼻の先にいたのだ。地図を確認できる私たちには容易にわかることだった。
そこからは月雪ミヤコとオトギの音声会話を残しながら、C拠点周辺の映像を確認していた。
ニコはオトギの推理通りB拠点をドローンで探索した直後、恐らく無線妨害をしながら、自らC拠点に突入を開始していた。
そして、オトギ達FLAME小隊は自分の推理に囚われたままC拠点の危機に気付くことなく、そのまま敗北したのだ。
なお、ミユとオトギはそれぞれのリーダーの指示通り、それぞれを釘付けにすることに注力しており、結局決着がつくことは最後まで無かったようだ。
何にせよ、後半戦のRUBY小隊の勝利は、これで確定した。 - 11二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 01:52:21
本日はここまで
これであってるんか? って思いながら書いてました。
次回、種明かし - 12二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 07:58:47
うーむただの力押しではない複雑な戦闘模様
- 13二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 16:45:51
ひるほー
- 14二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 22:44:38
一応保守
- 15二次元好きの匿名さん26/02/18(水) 22:47:22
乙です
戦いは嘘ついてナンボだ - 16書いてる人26/02/19(木) 00:38:57
いつも保守ありがとうございます
11スレ目始まったばかりで申し訳ありませんが、本日更新はありません。
更新ペースに関してですが、最近は割とそんな感じでしたが平日は週3回程度、休日は可能な限り投稿、という感じになると思います。
週5回くらいは投稿したいですが、場合によっては少なくなったり多くなったりするかと思いますので、よろしくお願いします。
更新できない日もこのように原則連絡はしようと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 - 17二次元好きの匿名さん26/02/19(木) 07:48:24
このレスは削除されています
- 18二次元好きの匿名さん26/02/19(木) 07:50:39
というかほぼほぼ毎日更新してたのが凄すぎただけなのでご自愛くださいませ
- 19二次元好きの匿名さん26/02/19(木) 16:03:54
そろそろほー
- 20二次元好きの匿名さん26/02/19(木) 22:20:27
ラリホー
- 21種明かし26/02/20(金) 01:47:37
後半戦は、月雪ミヤコが率いるRUBY小隊の勝利となった。
C拠点を映し出しているカメラでは、宝物を見つけたニコが、最も近くのカメラに向かって笑顔で手を振っており、その後ろでは死体のふりをしている風倉モエが映っていた。
外からも歓声が聞こえたので、2年生たちも勝利の瞬間を見ていたのだろう。
「それで」
途中から解説を入れることも忘れ、楽しそうに映像を眺めていた不知火カヤに尋ねる。
「はい?」
「ミヤコさんは、貴女をどうやって口説き落としたのですか、カヤさん」
「なんだ、やっぱり気づいていたのですね」
私の質問に、彼女は一瞬だけ表情をひきつらせたが、呆れたように笑って返事をした。
「ですが、やはり、そのあたりの種明かしは作戦を組み立てた本人にしてもらった方が良いのでは?」
確かに、その通りだ。間もなく戦っていた生徒達は戻ってくるはずだ。その際に話を聞けばいいだろう。 - 22種明かし26/02/20(金) 01:48:56
それに前半・後半で1対1となったのだ。ルール通り、代表同士の1対1で勝敗がきまることになる。
生徒達が戻ってくる。
最も早かったのはクルミで、待っていた私の顔を見ると
「もしかして、また先生がおかしなことしたの!?」
と問い詰めてきた。しかし今回のことに関しては、私は殆ど無関係だ。
首を振った私を疑うような目で見ていたが、そのまま黙って椅子に座った。
次に現れたのはオトギと、何故か彼女に背負われているミユだった。
「ちょっと、あんたミユに怪我でもさせたの?」
「いや、何か試合終わった瞬間ぶっ倒れたんだよね。まあ、ずっと鬼ごっこしてたから私のせいといえばせいだけどさ」
森の中で狙ってくる先輩から重装備で逃げ回り続けていたのだ、心身ともに限界だったのだろう。
「……あぅぅ……ご、ごめんなさい……」
いつもよりもさらにか細い声が辛うじて聞こえる。意識はあるらしいが、体調次第では対応する必要があるだろうか。
オトギは霞沢ミユを何とか座らせると、クルミの隣に腰掛けた。
そして残りの5人は集団で帰ってきた。談笑しているようだったが、七度ユキノはその輪に加わっている様子は無い。 - 23種明かし26/02/20(金) 01:50:24
「皆さん、お疲れさまでした。RUBY小隊の勝利によって、1対1となったわけですが、すぐに延長戦へ入りますか?」
これで全員が集まったので、私が労いの言葉とともに生徒達にそう尋ねる。
「それよりも」
七度ユキノがこちらを一瞥した後、月雪ミヤコの方を見る。
「そろそろ、どういう事だったのか聞かせてほしいのだけど」
そう言われたRUBY小隊のリーダーは、
「もちろんです、ユキノ先輩」
と即答し、種明かしを始めた。
「まず、私たちが後半戦で立てた作戦は、単純な物なんです。一つは、前半戦で大活躍していたミユの動きを潰すこと。それと、ニコ先輩に自由に動いてもらう事、です」
彼女がニコの方を見る。それに応じてニコは笑顔でピースサインをした。
「飛行ドローンの操作に長けているニコ先輩以外では、2拠点の探索は不可能に近いので。現に前半戦、あれだけこちらが人数不利に追い込まれて尚、ミユが2拠点を探索できたのは、本当に時間ギリギリのことでした。そうですよね?」
今度は逆に七度ユキノへと尋ねる。
「ええ。だからこそ、あなたたちに確認したのよ。運だよりにするのか、と。でも……」
「はい、私は運には頼らないと宣言して、ユキノ先輩はそれを信じてくれた。多分、私たちはユキノ先輩を正面突破するつもりだ、という宣言だと思ってくれたんだと思います」
「……嘘だったの? 」
「いいえ、嘘ではありません。ただ、あの時私は既に、A拠点に宝物が無いことを知っていたんです」 - 24種明かし26/02/20(金) 01:51:40
推理を説明する探偵のように、月雪ミヤコは回りくどい言い方をする。自分の作戦がうまく行ったことがそれだけ嬉しいのだろう。しかし、彼女が敬愛する先輩のストレスになっていることには、あまり気づいていないかもしれない。
「……それこそ、どういうこと?」
「A拠点のことも、B拠点の事も、先輩に教えてもらったんです。B拠点については、もちろんニコ先輩のドローンですね。 でも、A拠点はニコ先輩ではない、別の先輩からの情報なんです」
別の先輩、そう言われて、七度ユキノは周囲を見る。普段の本来のチームメイトが首や手を振って違うことをアピールしていたが、やがて彼女は一人の人物に視線を止めた。
そして答えに行きついたように目を見開いた。
「……え? ……カヤ?」
余程動揺しているのだろう。普段なら呼ぶことの無い、呼び捨てで呼び、不知火カヤの顔をまじまじと見た。
「私がどうかしましたか? ユキノさん」
見られていることに気付いた不知火カヤが。わざとらしく微笑んでそう言う。 - 25種明かし26/02/20(金) 01:52:45
「でも、それはルール違反では」
「いいえ、先輩。ルール違反ではないんです、カヤ先輩の協力は。……先生、ルールの説明書はお持ちですか?」
月雪ミヤコに問われる。その質問は想定内であったので、私はすぐにルール説明時に配った資料を彼女へと渡した。
「ここ、禁止事項のところ、
・SRT所属の生徒のうち、RABBIT小隊やFOX小隊以外の生徒、そしてシャーレの先生への協力依頼は禁止
・SRTシャーレ支部に無関係の生徒の参加も不可
となっています」
「うん、やっぱりルール違反じゃない」
状況が分からず黙っていたクルミが口を挟むが、月雪ミヤコは首を振った。
「カヤ支部長は学籍は連邦生徒会に置かれているのでSRT所属ではありませんし、一方でシャーレ支部長ではありますので、当然関係者です。要するに、それが私の作戦だったんです」
月雪ミヤコはそう言って、初めて不知火カヤの方を見た。不知火カヤもそれに反応し、二人は悪戯がうまく行った子供のように笑いあった。
「……そういうことだったのね」
しばらく言葉が出てこなかった様子の七度ユキノが、大きなため息をついて、そう言った。
月雪ミヤコがその反応にやや焦りの表情になる。 - 26種明かし26/02/20(金) 01:53:56
「は、はい。……話を戻しますね。それで、カヤ先輩は解説のようなことをする手はずだったので、それを利用して私に様々な情報を教えてくれていたんです。ルール上、本部に何かを仕掛けるのは禁止でしたが、本部から連絡するのは自由でしたから」
後半戦の始まりの時の狙撃回避や、霞沢ミユの移動先にオトギがその裏をとるルートで行動したことなどから始まり、この戦いは、RUBY小隊にとって都合の良いことが連続で起こっていた。
その最たるものが、A拠点の探索を捨てるような行動を、早々に取り始めていたことだ。この行為が結果としてクルミへの奇襲や七度ユキノの混乱を誘う切っ掛けとなったのだろう。
そして不知火カヤは、確かに宝物の隠し場所についても後半戦の間に言及していた。
「種明かしは以上です。何か質問はありますか」
月雪ミヤコが問いかける。
「は~い」
黙って聞いていた風倉モエが挙手する。
「何でしょう」
「何でカヤ支部長はミヤコに協力してくれたの? 買収?」
一切歯に衣着せぬ言い方で、月雪ミヤコではなく、不知火カヤへ問いかける。私も気になっていた部分だ。
「……別にそういった直接的な報酬は受け取っていませんよ。後から面倒なことになるのは困りますからね。ただ単純に……ユキノさんに一泡吹かせてやりたい、という思いに共感したのですよ。作戦内容自体はどこかの「嫌な大人」の影響をしっかり受けているようであまり気に入りませんでしたが」
不知火カヤはそう答えた。嫌な大人、の部分で私に視線が集まったが、そういうことを臆面もなくいえるのであれば、甘んじて受け入れよう。 - 27種明かし26/02/20(金) 01:54:57
そして、風倉モエに続く人物はいなかったが、真相を悟って以降頭を抱えるような仕草をしていた七度ユキノが再度溜息をつき、この場にいる全員が彼女に注目した。
「……完敗ね。ルールの読み込みが甘かったのは反省すべきところ。利用するつもりは無くても、何が出来るか位はきっちりと把握しておくべきだった。誰かの影響を受けているようなのは少し気になるけど。言い訳をするつもりはないわ」
そして彼女ははっきりと負けを認める発言をした。
「先輩……」
「さて、じゃあ、1対1になったので、延長戦ね。行くわよ、ミヤコ」
「え?」
七度ユキノが、月雪ミヤコの肩を掴んだ。
「後輩が成長して嬉しいわ。1対1でも成長した姿、見せてくれるわよね」
「先輩? ユキノせんぱい!? もしかして、怒ってますか!? 1対1はもう今日2回もやりましたよねっ!?」
先輩が後輩をひきずるようにして、二人は演習場へと向かっていく。しかし元々ルールで決まっていたことなので、こちらはどうすることもできない。
その場の生徒たちは、呆れていたり嬉しそうにしていたりと、様々な表情で延長戦の様子を眺めていた。 - 28種明かし26/02/20(金) 01:56:08
「先生」
種明かしの間、黙って様子を見ていた空井サキが私に声を掛けてくる。
「お疲れ様です。サキさん、どうされました?」
「あの虐められてる、ウチのリーダーなんだけどさ」
彼女は戦っている2人の様子を呆れた顔で一度見た後、こちらを見る。
「もう少しあいつがリーダーでも良いかなって思ったよ。 今日のあいつは、何というか……面白かったから」
そして、照れくさそうに笑いながらそう続けた。
こうして、初の試みとなるチームシャッフルによる模擬戦は
前半戦 FLAME小隊の勝利
後半戦 RUBY小隊の勝利
延長戦 FLAME小隊の代表、七度ユキノの勝利
となり、FLAME小隊の優勝で幕を閉じた。 - 29二次元好きの匿名さん26/02/20(金) 02:04:31
本日はここまで
カヤが内通者でしたという話
次回はこの話のエピローグ的な内容と、章の後半部分への導入みたいな話ができればなと思いますが
1話で終わるのか分かりません。 - 30二次元好きの匿名さん26/02/20(金) 02:16:12
このレスは削除されています
- 31二次元好きの匿名さん26/02/20(金) 08:26:34
やり口が、原作黒服とか、悪い大人の、ソレ…
- 32二次元好きの匿名さん26/02/20(金) 08:36:23
お手本が近くにいるから仕方ないね
- 33二次元好きの匿名さん26/02/20(金) 15:41:09
それはまぁ…そうか
- 34二次元好きの匿名さん26/02/20(金) 23:33:32
よるほー
- 35祭りが終わり、26/02/21(土) 02:03:24
戦いを終えた七度ユキノが、本部へと戻ってきた。
先ほどまで彼女たちが戦っていた場所では、月雪ミヤコが壮絶な最期を遂げた戦士のような体勢でうずくまっており、霞沢ミユが心配からか縋りついていた。
それを見て、残り二人の1年生たちも彼女たちの方に笑いながら駆け出した。
結局、彼女たちはこのイベントで何かを得られたのだろうか。実感も特にないままだったが、彼女たちの姿を見ると不満はなかったのだろう、というのは分かった。
一方、3年生、特に可愛がっていた後輩に正面から騙された七度ユキノはどう思っているのか。
それを聞くことが出来たのは、演習場の撤収を終え、シャーレへと戻ってきた後、そろそろ夕方から夜になりそうな頃合いだった。
七度ユキノが、事務所へと訪れてきたのだった。月雪ミヤコや、空井サキと会話した日のことを思い出す。 - 36祭りが終わり、26/02/21(土) 02:04:25
「おや、ユキノさん。こんばんは」
律儀にノックをして入ってきた彼女に声を掛ける。
「……こんばんは、夜分にすみません」
複雑な心情を抱えていそうな声色で、七度ユキノは頭を下げた。
「いえ、大丈夫です。色々聞きたいこともあるでしょう。今回については私は殆ど傍観者でしたが、後程カヤさんも来るはずになっていますので、丁度良いのでは?」
「それは……助かりますね、正直。後でカヤ支部長にも話を聞こうと思っていたので」
そう言って、彼女は小さくため息をついた。
「さて、カヤさんが来るまでの間にはなると思いますが、用件を伺いますよ」
先日月雪ミヤコにも提供したハーブティーを淹れ、質問を促す。不知火カヤが来ると大体コーヒーが飲めるのだが、偶にはこちらから出しても良いだろう。
「ありがとうございます。まず、私が知りたいのは。……いえ、結局のところ、先生はあの子に何を入れ知恵したんですか?」
七度ユキノは半ば私が何か関係していると確信している表情で、私に尋ねた。
「何故、私が関係していると?」
「朝、模擬戦をやる前にミヤコと何かやりとりしていましたよね? あれが、そういうことだと思ったのですが」
「ああ……そんなこともありましたね。ただ、それは正直大したことの無い話なのです」
疑念の目を向ける彼女に、正直に説明する。 - 37祭りが終わり、26/02/21(土) 02:06:24
疑念の目を向ける彼女に、正直に説明する。
「私が彼女に行った助言は一つだけです。ルールをよく読むように、という事だけです。結果として、彼女はその通りにルールをよく読み、その穴を自分で見つけたようですが」
「……それだけですか?」
「ええ、そもそも助言をするつもりもあまりなかったのですが、ミヤコさんが強い意志を持って『勝ちたい』と言っていたので、思わず一言だけ言ってしまいましたね」
「それは……そうですね、それはきっと、助言を与えたくなる気がします」
私の返事を聞いて、七度ユキノは一応納得したようにうなずいたが、
「私はてっきり、先生が作戦を授けたのかと思っていました。……その、先生が立てるような摩訶不思議、というか想定外のことをされた感覚が、あの調印式での作戦の物と似ていたので」
と続けた。
彼女の言葉に、私はつい反論をしかけた。というのも、あの作戦はあくまで、アリウス生とベアトリーチェを丸ごと騙す必要があったという私にとっても特殊な事例だ。私にとってもあの大立ち回りは通常の作戦とは程遠い物だ。
しかし、そんなことを彼女に言っても仕方ないことに気付き、それはやめておいた。彼女にとっては、あの作戦こそが私と行った初めての作戦なのだから。着眼点を変える程度にしておこう
「もしそうだとしたら、それは私に影響されたのではなく、ユキノさん、貴女に憧れたから、なのかもしれませんよ」
「どういう意味ですか?」
七度ユキノはその言葉があまり腑に落ちないようだ。
「私があの作戦についてSRTの他の生徒たちに話したことは無いので、恐らくはユキノさんや、FOX小隊の他の皆さんからの伝聞で得た情報しか持っていないでしょう。元々、ミヤコさんはユキノさんに憧れているところがありましたから、調印式の時の作戦もきっと、『先生が組み立てた作戦』ではなく『ユキノ先輩が指揮した作戦』という認識だと思いますよ」
「それは……まさか、と言いたいところですが……」
七度ユキノは目を瞬かせた。そう言う節が無い、とは言い切れないのだろう。
実際のところ、連邦生徒会長に対する感情も1年生と2、3年生の間では乖離があるように感じられた。話しに聞くだけ、見ただけであることと、直接関わって事を進めるのとでは大きく違う、ということだろう。 - 38祭りが終わり、26/02/21(土) 02:08:29
「それでその相手の裏をかくような立ち回りが、作戦に組み込まれていたのかもしれませんね。もっとも、結局のところ想像でしかありませんが」
「……そう、ですね」
そう言って頷いたものの、彼女はまた一つため息をついた。
「納得がいきませんか?」
「いえ、腑に落ちた故の溜息です。先生が仰ることが事実だとすれば、結局私たちはルールの読み込み不足という根本的な所で敗北したのですから」
七度ユキノはそう言って苦笑した。単純に悔しく思っているだけのようだ。
「そう悲観することは無いと思いますよ。ミヤコさん達が後半にあの策を使ったのは、結局のところ正面から太刀打ちできないと考えてのことでしょうし」
「……そうですね、ありがとうございます」
彼女は私に礼を言うと、ハーブティーを一口飲んだ。
「今回の模擬戦は、私にとっても色々な学びを得ることができました。それは間違いありません。ミヤコの作戦を除いても。久しぶりのチーム変更だったので、普段とは様子の異なる作戦を立てることができましたし」
ハーブティーの効果が出たのかは分からないが、七度ユキノから、ようやく前向きな言葉が出てきた。そしてその発言で一つ、彼女に伝えていないことがあったのを思い出す。 - 39祭りが終わり、26/02/21(土) 02:09:31
「チーム変更で思い出しましたが、ユキノさん。一つお願いがありまして」
「はい、なんですか?」
真面目な話であることを悟ったのか、七度ユキノの表情が真剣なものになる。
「トリニティ……もとい、アリウスですね。その追加調査に行っていただきたいのです。目的は主に、現状確認と、残された生徒がいれば、その生徒たちの保護です。参加者はトリニティの有力者数名と、ゲヘナから1名、そしてシャーレ経由で1名ということです。他校の生徒たちはどうやら戦力的にも立場的にも有力者が出られるようです」
「分かりました」
こちらが詳細を伝える前に、七度ユキノは返事をした。
「良いのですか?」
「はい、やはりアリウスのことは気になっていましたし、場所が場所だけに、チームだけでの調査は難しいというのは、理解もできますし。そうだ、それでいうと一つ提案が……」
七度ユキノが何か言いかけた時、それを遮るように事務室の扉が開かれた。 - 40祭りが終わり、26/02/21(土) 02:10:52
「すみません、連邦生徒会での仕事が少し長引きまして……ユキノさんもいたのですね。
今日の件ですか」
それは、元々来る予定があった不知火カヤであった。
「ええ、裏でどういうたくらみがあったのか問い詰めにきたんだけど……」
「成程、そう言う話ですね。まあ、あの作戦を組み立てたのがミヤコさんである、というのは先生のことを知っていれば逆に信じがたい面もありますからね。私もミヤコさんから悪だくみを明かされたとき、背後に先生がいるものだと思いましたから」
「その話も聞いたわ。その上でカヤ支部長からも話を聞きたいと思って」
「……まあ、別にいいですよ。ここには書類を届けに来ただけですし。知っていることを話すくらいは構いません」
不知火カヤはそう言って、勝手知ったると言った様子で事務室内の椅子に着いた。
集まったメンバーでいうと、これは2回目の幹部会議のようなものだった。 - 41二次元好きの匿名さん26/02/21(土) 02:12:31
本日はここまで
ユキノが落ち込んでたのでフォローしていたら2話にまたがる話になってしまいました。 - 42二次元好きの匿名さん26/02/21(土) 03:13:20
乙です
丁寧なフォローで読んでて幸せになる…… - 43二次元好きの匿名さん26/02/21(土) 08:03:52
原作先生とはまた違ったアプローチのフォローの仕方が黒服らしいよね
- 44二次元好きの匿名さん26/02/21(土) 15:19:34
ひるほー
- 45二次元好きの匿名さん26/02/21(土) 21:44:27
早いけど
一応保守 - 46二次元好きの匿名さん26/02/22(日) 06:06:34
あさほー
- 47書いてる人26/02/22(日) 08:52:10
うわー!?
後2行くらいで終わるところで寝落ちしてしまいました!1
暫くお待ちください - 48振り返りと次のこと26/02/22(日) 09:44:52
「ルール説明の日の夕方、ちょうど皆さんが訓練を終えた後でしょうかね。ミヤコさんから呼び出しがあったのですよ。またいつもの果たし状かと思いましたが、あの日はちょっと様子が違いまして」
不知火カヤは自分で改めてコーヒーを入れて席に着き、それを飲みながら語り始めた。
「最初はルールについての確認でしたね。つまり、あの『協力を求めたり参加をさせてはいけない人物』の対象に私が含まれていないのではないか、という確認でした。最初は言葉遊びでもしたいのかと思いましたが」
彼女はその時の様子をよく思い出すためか、額に指を立て、考えなら話を続ける。
「もちろん、私は当然そういったややこしいことに巻き込まれたくもなかったので気づきもしなかったのですが、確かにミヤコさんの言う通り、私はルールに含まれていない、と解釈することができましたね、というより」
そこまで言ってから、彼女は私を疑うような眼差しで見た。
「そう思ってから見ると、意図的に私のことは除外されているように見えました。私もルール違反ということにしたいのであれば、最初から先生と同様に私を名指しで排除すればよいのですから」
「ふむ、面白い意見ですね。まあ急ごしらえのルールですから、どうしても穴が生まれてしまうものです」
私が一般論で答えると、七度ユキノまで私のことを睨んだような気がした。 - 49二次元好きの匿名さん26/02/22(日) 09:47:34
お疲れ様です。
ありがたいですけど、無理はなさらないでくださいね - 50振り返りと次のこと26/02/22(日) 10:51:47
「まあ、いいということにしましょう。どうせ先生を問い詰めても証拠はでてきやしないのですから。」
不承不承といった様子でうなずき、不知火カヤを話を再開する。
「それで、まさかそれだけを聞きに来たわけがない。私に協力しろと言いに来たのですか? と尋ねると、ミヤコさんは素直にうなずきました」
「それで、カヤ室長は協力することにしたと?」
七度ユキノが少し不信そうに尋ねる。
「まさか。ミヤコさんのことは嫌いではないですし、後輩でもありますが、この模擬戦に関してはどちらかに肩入れす立場にはなかったですからね。彼女に尋ねました。私のメリットは何ですか、と。そこにいる先生とは基本的には異なります」
まるで私なら無条件で月雪ミヤコに協力するとでも言いたげな様子だが、別にそういうわけではない。不知火カヤや他の者とは協力する基準が異なるというだけだ。
「つまり、賄賂を要求した、ということ?」
七度ユキノの目が鋭くなるが、不知火カヤは肩をすくめた。
「今の説明の通りです。私は別に何も要求していませんよ。少し親バカがでていますよ」
「親バカ!?」 - 51振り返りと次のこと26/02/22(日) 10:55:25
七度ユキノがわかりやすく憤慨する。あまり見たことのない姿だ。少なくとも、私に対して疑いの目を向けてきた時のような冷静さを併せ持った酷薄さではなく、年相応のことに指摘されたことに腹を立てたような様子だ。
おそらく物珍し気に見ていたのが伝わったのだろう。彼女は私の視線に気づくと、頬を赤くして俯いた。
「……続けて良いですか? 私がこちらのメリットを確認したところ、ミヤコさんは暫く考えた後、あることを言ったんです。何と言ったと思いますか?」
唐突に、不知火カヤは私たちに質問した。唐突にクイズを出したい気分になったのだろうか。
「そうですね。私に助言を求めに来た時には、『勝ちたい』と言っていましたが」
「外れですね。先生ならそれで十分だったのでしょうが、彼女の意欲は私には関係ありません」
予想通りだが、当然私にたいするときとは違う内容で勝負に出たらしい。
「定番なのは、なんでも一つ言うことを聞く、とか?」
「それも違いますね。そんなことを言い出すのはよっぽどの愚か者か、いった相手によほど甘えているか、でしょう。もちろんそこまで言われた場合でも、協力は惜しまなかったと思いますが」
不知火カヤは得意げになって七度ユキノの回答も否定した。 - 52振り返りと次のこと26/02/22(日) 10:57:28
「では、答えを言いますが、ミヤコさんはこう言ったのです。『ユキノ先輩を一泡吹かせたくないですか? 私は吹かせたいです! 一回くらいは!』と。」
笑いをこらえるように、彼女は正解を明らかにした。
「あの子……」
七度ユキノは頭が痛くなったのか、こめかみを押さえる。
「笑えるでしょう? ああ、一応フォローしておきますと、さすがに彼女も言葉を間違えたのに気付いたのか、すぐに訂正というか、言い方を変えていましたよ。敬愛するユキノ先輩を驚かせるような策をもって勝利したいとか、いろいろと」
「そう……何というか、ウチの後輩が変なことを言って申し訳なかったわ」
「いえ、私も流石にあの言いようには驚きましたが。ですが……そうですね、ミヤコさんからの相談を勝手にバラしてしまった償いとして言いますが、結局、ミヤコさんの最初の提案は間違っていなかったのですよ」
笑顔で語っていた不知火カヤは真面目な表情に戻り、そう改めた
「……実際のところ、私がユキノさん、あなたを見返したい、と思っていたのは間違いではなかったのです。一泡吹かせるというのは少し大げさですが、出し抜きたい、と思ってしまったのはまあ、否定はできません。見下ろされていたくないと思ったんです」
不知火カヤはそういった後、苦笑いをした。まるで罪を自白した後のような雰囲気だった。 - 53振り返りと次のこと26/02/22(日) 10:59:02
「カヤ……よくわかったわ、ありがとう。それから、ごめんなさい。カヤのことを見下しているつもりはなかったし、個人的には評価していた……というより、私のほうこそ」
七度ユキノは少しだけ私のほうを見て、不知火カヤのほうに再度振り向いた。
「ミヤコが貴女になつき始めたりとか、その他のこととかで、嫉妬していたのかもしれない。でも、カヤの能力について見下しているというようなことはない。私だけじゃなくて、SRTのみんなもそうよ」
そして、彼女も自分の気持ちを、おそらく素直に話した。
「……分かりました。まあ、そもそもが私の僻みのようなものです、そこまでお気になさらず。それと、その呼び方は?」
唐突に呼び捨てにされ、不知火カヤが戸惑った表情を浮かべる。
「それは、支部長としてのあなたに、という訳じゃなくて、私の友人としてのカヤに対して、という意味だったから。気に障ったなら謝る」
それに対しての回答がこれであり、彼女は目を見開いた。
「気に障ったりはしていません。……友人、ですか。私のことをそう呼んでくれる人は、随分久しぶりに感じます。……ユキノ」
そしてそう言って、七度ユキノの言葉を受け入れた。
「種明かしとしてはこんなところです。具体的な作戦内容についてはミヤコさんが組みたてたものです。私はその中でできることをやっていただけで」
不知火カヤは、彼女の立場から見た今日の模擬戦についての説明をそう締めくくった。 - 54振り返りと次のこと26/02/22(日) 11:00:46
―
「そういえば、ユキノさん」
不知火カヤが来る直前、七度ユキノが何かを言いかけていたことを思い出し、確認する。
「先ほど、何か言いかけていませんでしたか? 私への提案だったかと思いますが」
「ああ、それは。……例のワカモの件です。もし、SRTであの件の調査を進めるのであれば、RABBIT小隊を中心にやるのはどうですか? 私がアリウスの調査で抜けることがありそうなのもあって、丁度いいのではないかと思ったんです」
七度ユキノの提案は、大いに検討の余地がある内容だった。一方狐坂ワカモの名を聞いて、不知火カヤの顔色が少し顔色を悪くした。
「あの噂は本当だったのですか、災厄の狐が暴れているというのは。だとしたら、連邦生徒会に責任がありますね。……尻ぬぐいをさせることになってしまい、申し訳ありません。」
「カヤさんが謝ることはありませんよ。ただ、そうですね……その辺りの真偽も含めて、やってみましょうか」
RABBIT小隊にとって初となる任務は、こうして「狐坂ワカモの捜索」に決まったのだった。 - 55二次元好きの匿名さん26/02/22(日) 11:12:54
休日の朝に投稿したので急な連絡があったりなんだりで時間がかかってしまいましたがここまでです。
カヤもやっと仲間になった感じです - 56二次元好きの匿名さん26/02/22(日) 11:14:19
お疲れさまでした!
- 57二次元好きの匿名さん26/02/22(日) 17:58:43
やっと追いつきました
とても面白く続きが気になって仕方ないです - 58二次元好きの匿名さん26/02/22(日) 18:05:41
カヤちゃん...いい友達を持ったね...
- 59二次元好きの匿名さん26/02/22(日) 18:51:17
地味にカヤが味方になる展開って珍しい気がする
- 60二次元好きの匿名さん26/02/22(日) 22:30:13
黒服…致し方ないが変なところで信頼されてぬぇー
- 61行動選択26/02/23(月) 03:37:41
チームシャッフルにて行った模擬戦から数日後、現在シャーレへと集まってきている狐坂ワカモに関する依頼や関係する可能性があると思われる依頼、そして情報についてまとまったので、RABBIT小隊を呼び出した。
指定した集合時間に会議室に向かうと、既に4人とも揃っていた。
珍しく霞沢ミユが席についていたが、隠れるのを諦めたのか、それともすでにゴミ箱から引っ張り出された後だったのかは分からない。
最近気づいたのだが、SRTの生徒達が事前連絡なく遅刻する姿を見たことが無い。霞沢ミユの姿が見えないこと自体はあったが、それでも彼女は常に室内にはいた。校風から来るものだろうか。
ゲーム開発部が寝坊で全員遅刻したというケースがあったことを思い出した。
予め「シャーレに届いている依頼について、RABBIT小隊に請けてほしい」という点については説明していたため、生徒たちに困惑の様子は無かったが、表情はそれぞれだった。
具体的には、月雪ミヤコと空井サキの顔には期待が浮かんでおり、霞沢ミユは困ったような表情をしており、風倉モエは怪しい笑みを浮かべていた。半分はいつも通りだ。
「さて、全員集まっていますね。先日のイベントはお疲れさまでした。今日集まっていただいたのはお伝えした通り、シャーレに来ている依頼がいくつかあるのですが、それらの解決を行っていただきたいのです。」
「いくつか? SRTを頼らざるを得ない大きな案件なのかと思ってたけど」
空井サキが私の説明に対し、期待外れであるかのような反応を示す。 - 62行動選択26/02/23(月) 03:42:47
「その辺りはこの後説明します。その前に、一点。先日の模擬戦ではチームの体制を再考する可能性があるとお伝えしていましたが……」
月雪ミヤコがはっとした表情になる。空井サキも同様だ。恐らく忘れていたのだろう。
「観戦していた2年生の隊長2人と3年生とで相談したのですが、1年生から特に要望が無ければそのままでいいのではないか、ということになりました。」
相談が始まって5分で決まった結論を伝える。
「なんだ……驚かせるなよ」
「あれ~? サキは隊長になりたかったんじゃないの?」
風倉モエがわざとらしく尋ねるが、空井サキは「もういいんだよ」と軽く言い返すに留めていた。
実際に、解決した問題なのだろう。
「では本題ですね。結構な量がありますので、いくつか抜粋して説明していきます」
落ち着いたところで、説明を始める。 - 63行動選択26/02/23(月) 03:45:09
File① 「謎のお面の生徒に襲われました」
情報提供者:百鬼夜行陰陽部
場所:百鬼夜行自治区
情報:百鬼夜行内の山道にて、お面をつけた女生徒と思われる人物に襲撃された。犯人は直前に買ったばかりの菓子類(羊羹、饅頭)を強奪し、逃走した。と陰陽部に通報があった。現在治安維持を務めている百花繚乱紛争調停委員会が活動停止中のため、シャーレに調査願いたい。
「えーこれ、ウチ案件でいいの?」
「確かに、ヴァルキューレに頼めばいいじゃないか」
風倉モエがが尋ね、それに空井サキが同意した。
「陰陽部って……百鬼夜行の生徒会ですよね? そこがわざわざシャーレに頼んでくるということは、何かヴァルキューレには頼みづらい理由があるのかもしれません」
月雪ミヤコは情報提供者に注目したようだ。
「では、次のファイルを見てみましょうか」
そう言って、新たな資料を提示する。 - 64行動選択26/02/23(月) 03:46:15
File② 「友達を助けてくれた人を探しています」
情報提供者:立木マイア
場所:トリニティ自治区
情報:先生、お久しぶりです。私がミカさんに助けられた日の2日後、仲の良かったアリウスの生徒が私と同じように保護されたそうです。
その子が言うには、お面をつけた不思議なお姉さんがご飯を食べさせてくれ、救護騎士団まで届けてくれたとそうなんです。お礼がしたいという事なのですが、誰に頼めば良いか分からなくて連絡しました。ご迷惑だったらすみません……
「んん? 何だこれは」
「またお面の話ですか……」
生徒達の顔に疑問が浮かぶ。二つの資料には共通点がありながら、性質が真逆の物だった
「ではもう一つ、とりあえず最後のファイルですね。」
3つ目の資料を取り出す。 - 65行動選択26/02/23(月) 03:47:27
File③ 「狐坂ワカモに襲撃を受けた」
情報提供者:ヴァルキューレ警察学校(実際の通報者の情報は非公開)
場所:ブラックマーケット近郊
情報:とある経営者からの通報です。その人物が経営している商店に、何者かが襲撃を仕掛け、破壊と略奪の限りを尽くして去っていったという被害届が出されました。当初ヴァルキューレで捜査を行いましたが、通報者が「犯人は狐坂ワカモであった」と主張を始めたことから、情報を共有します。
「狐坂ワカモ……」
月雪ミヤコが呟く。
他の生徒たちは黙って顔を見合わせた。3つのファイルを連続で出した意味が分かったのだろう。
彼女たちはもちろんその名前を知っているだろう。連邦生徒会長とFOX小隊が狐坂ワカモを捕縛したというあの有名な顛末を、SRTに入った生徒たちが知らない訳がない。
故にこそ、彼女たちの表情には不安が浮かんでいる。FOX小隊の先輩達から話を聞いていたのだろう。狐坂ワカモは、「厄介」と言うには厄介すぎるほどの存在だ。 - 66行動選択26/02/23(月) 03:48:28
「さて、3つのファイルを見て想像はできたでしょうが、改めて説明します。最近、矯正局を脱走して以来姿を見せていなかった七囚人の1人、狐坂ワカモの目撃情報や、被害報告などが多くみられるようになりました。皆さんにお願いしたいのは……」
生徒達が息を呑むのを見ながら、話しを続ける。
「彼女の捕縛、ではありません。少なくとも今のところは」
「……え? そうなんですか?」
私の言葉の予想が外れたのか、月雪ミヤコが気が抜けたようになる。
「最終的にそれが必要ならその可能性もありますが、今のところは調査ですね。連邦生徒会を通してヴァルキューレにも情報提供を依頼したり、シャーレに届いた依頼や、目撃情報などを精査して、関係のありそうなものを集めましたが、それがそこそこの量になりましてね。まずはそれなりに有力そうな情報からいくつか調べてみよう、と思いまして」
実のところ、狐坂ワカモの犯行と特定できている事件というのは、現時点では存在しないのだ。彼女は、私と会った時もそうだったが仮面を被っている。
だからと言って仮面を被っている人物が必ずしも狐坂ワカモであるとは限らない。当たり前の話だ。様々な可能性を検討しなければならない。
「まあ、一旦はフィールドワークの訓練だと思っていただければ結構です。勿論、実際に襲撃事件などは起こっているので、警戒は必要ですがね。どうでしょう、この調査、うけてみますか?」
そう言って、生徒たちの方を見る。 - 67行動選択26/02/23(月) 03:49:42
「私は……当然受けたいです。SRTに入った目的にも近いので。みんなはどう思う?」
月雪ミヤコが、率先して隊員に尋ねる。
「私も異論は無い。リーダーの意志に従うよ」
「結構ヤバそうな事件じゃん? 全然やるよ~?」
空井サキと風倉モエはすぐに賛同を示した。
残る霞沢ミユに、視線が集まる。
「……あ……あの……やり、ます。何の役にも立てない……かもしれないけど」
彼女も目を瞑って同意した。
「分かりました。ではとりあえず、何から調べるか、というところから皆さんに決めていただきましょう。この3つのファイルからでも良いですし、他にも目撃証言などもありますし、そちらから調べてもらっても結構ですよ。」
私がそう言うと、生徒たちはおずおずと、3つのファイルを見比べながら相談し始めた。
そして、最初に選ばれたのは…… - 68行動選択26/02/23(月) 03:51:56
File① 「謎のお面の生徒に襲われました」
File② 「友達を助けてくれた人を探しています」
File③ 「狐坂ワカモに襲撃を受けた」
>>70 上記3つから選択
雰囲気のためなので最終的に全部調べますので、お気軽に選択ください
- 69二次元好きの匿名さん26/02/23(月) 03:56:06
おお……安価……
めちゃくちゃ珍しくリアルタイムあえて驚いてたらすごいところに
File②を見たいなぁ - 70二次元好きの匿名さん26/02/23(月) 08:07:24
おぉ
安価
file②で - 71二次元好きの匿名さん26/02/23(月) 08:09:31
②かなぁ
- 72二次元好きの匿名さん26/02/23(月) 08:12:14
みんな②が気になってて草w
- 73二次元好きの匿名さん26/02/23(月) 09:41:47
②だけが予想がつきにくいから気になってしょうがないのよ
しかしブルアカぎソシャゲじゃなくてコンシューマーのRPGだったらありそうなイベントだぁ - 74書いてる人26/02/23(月) 11:40:50
安価回答ありがとうございます
見返すと②の内容が普通に間違ってました
✕ 私がミカさんに助けられた日の2日後
◯ あの調印式の日の2日後
です……
後で貼り直しますが安価はやり直しをせず行こうと思います
申し訳ありません! - 75二次元好きの匿名さん26/02/23(月) 14:44:34
先生の目的(アリウス生の保護)を手伝おうと
略奪→保護を繰り返しているとかかね
でも信用に足る情報が一つもねぇでやんの
ワカモがお菓子ひったくりなんてやってたかね - 76二次元好きの匿名さん26/02/23(月) 19:56:32
メタ的に言えば全部調べる以上全てハズレなんだろうけどそれでもFile②がどう転んでも面白そう
- 77二次元好きの匿名さん26/02/23(月) 23:36:21
これは②は誰だろう
- 78書いてる人26/02/23(月) 23:59:39
申し訳ありませんが、今夜の更新はありません。
よろしくお願いします - 79二次元好きの匿名さん26/02/24(火) 00:03:19
お疲れ様です!
- 80二次元好きの匿名さん26/02/24(火) 07:09:36
あさほー
- 81二次元好きの匿名さん26/02/24(火) 12:34:02
昼保守
- 82二次元好きの匿名さん26/02/24(火) 18:29:39
ほー
- 83二次元好きの匿名さん26/02/24(火) 22:55:13
よるほー
- 84選択 File②26/02/25(水) 01:09:17
「順当にいけば、被害者がはっきりワカモの名前を出してる最後のファイルにが一番近道な気がするけどな」
空井サキが3つ目のファイルを手に取り、そう言った。月雪ミヤコと風倉モエも異論は無いようだったが、霞沢ミユは、そうではないようだった。
「ミユ? それが気になるの?」
彼女の様子に、月雪ミヤコが気付いた。彼女は別のファイルを注視しているようだった。
「ひっ!? あ……えっと……最後のでも……」
自分に注目が集まっていることに気付き、彼女は慌てて自分の意見を無いものにしようとする。
「ミユ、何か気になることがあったならちゃんと言って。それから、みんなで判断しよう」
しかし、隊長はそれを許さなかった。隠れようとする彼女の顔を見つめて、問い質す。
「………その……これだけ……分からないというか……おかしいと思うんです……」
彼女が見ていたのは立木マイアから提供のあった2つ目の資料だった。 - 85選択 File②26/02/25(水) 01:12:02
「これの何がおかしいの?」
風倉モエがファイルを眺めながら尋ねる。
「えっと、モエちゃん。……これもワカモさんの可能性があるってことだから……誰かを、助けてあげたってことで……」
「あー。うん、確かにイメージとは合わないね。狐坂ワカモってとにかく破壊と略奪って印象だね」
言われて、風倉モエも頷く。
「もし、これが本当にワカモさんのことだったら……そもそも前提が変わってくると思うんです……暴れているのはワカモさんなのか……」
「あるいは、何か事情があるのかもしれない、と」
2番目のファイルを見直していた月雪ミヤコの補足に霞沢ミユが頷く。
「だったら、2番目からでも良いぞ。もし関係ないと分かったら、それはそれで可能性を潰せることにもなるし」
最後のファイルを提案していた空井サキも、意見を翻した。彼女たちの選択が決まったようだ。
「決まったようですね。情報提供者に連絡をとってみることにしましょう。」
そう言って、すぐに救護騎士団の蒼森ミネに連絡を入れた。 - 86選択 File②26/02/25(水) 01:14:10
―
救護騎士団長からの回答はすぐにあり、RABBIT小隊の生徒たちと私は、トリニティ自治区へと移動していた。
「先生、立木マイアという方は、どういう生徒なんですか?」
移動中、月雪ミヤコから質問を受ける。
「書いているとおり、元アリウスの住人ですよ。調印式での作戦の前、別の事件で保護された生徒です。保護された直後は極めて危険なレベルの衰弱状態にありましたが、最近は回復してきていて、救護騎士団の手伝いをしているらしいです。皆さんと同じ年齢ですよ」
肉体的衰弱に加えて、PTSDの症状も強く出ていた彼女だが、その状態でもアリウスで共に生活していた友人たちのことを心配していた彼女のことだ。友人の恩人のために動く、というのもよく理解できる話だった。
「……」
少し生徒たちの表情に陰が差す。アリウスの生徒たちが厳しい状況にあった、という話は伝聞で知っているのだろう。
「皆さんはアリウススクワッドの方たちと話したことはありますか?」
ふと思い立ち、問いかける。彼女たちとは同じ建物で一緒に生活しているはずだが、あまり一緒にいるところは見た覚えがない。
SRTシャーレ支部全体でも、例外は秤アツコと七度ユキノ位のものだった。
「挨拶くらいならありますが……」
予想通りの回答が返ってくる。挨拶すらしたことが無さそうな者もいたが。
「そうですか。無理にとは言いませんが、異文化で育ってきた者同士です。交流することで知れることもあるかもしれませんよ」
私のその言葉に、RABBIT小隊の生徒たちは神妙に頷いた。 - 87選択 File②26/02/25(水) 01:16:24
―
立木マイアがかつて入院しており、そして今は手伝いをしているトリニティの病棟へと到着した。
受付をしていた生徒に用件を告げ、暫くすると、少々サイズが大きめの救護騎士団の制服を身に纏った本人が現れた。
「お待たせしてすみません。先生……と、えっと、あの、そちらの方たちは……」
後ろに控えていた見慣れない制服の生徒達に、戸惑った様子を見せる。SRT生徒たちが来ると、うまく伝わっていなかったようだ。
「ああ、すみません。こちらはSRT特殊学園シャーレ支部に所属の皆さんです。今回の調査には彼女達を中心に行ってもらうつもりでして」
「そ、そうなんですね……?」
立木マイアは恐る恐ると言った調子で頭を下げる。対して、月雪ミヤコが前に進み出た。
「初めまして、SRT特殊学園、RABBIT小隊の小隊長、月雪ミヤコです。よろしくお願いします」
「あっ。はい、よろしくお願いします。立木マイアです。本日は、あの、えっと、わざわざお越しいただきありがとうございます?」
見慣れない制服に身を包み、軍属のようなことを言う月雪ミヤコに、立木マイアは恐縮しているようだった。それを見た月雪ミヤコは少し思案するような表情をし、そして表情を緩めた。
「そんなに緊張しなくてもいいですよ。マイアさん。先生から聞いた話だと、私たちは同じ学年だそうです。なので、何なら呼び捨てでも構いませんよ。」
「あ……ありがとうございます。えと、ちょっと人見知りで……ごめんなさい。ちょっと呼び捨ては難しいですけど、そう言ってくれて、ありがとうございます。あ、でも、私の事はマイアと呼んでもらって大丈夫です」
彼女の場合は生来の人見知りというよりは環境によるものが大きいのだろうが、月雪ミヤコの生来の面倒見の良さのようなものに惹かれたのか、立木マイアは少し落ち着いたようだ。 - 88選択 File②26/02/25(水) 01:19:01
「そう? じゃあ、マイア。早速なのですが、何故私たちがここに来たか、というのは分かっていますか?」
「は、はい。あの、友達を助けてくれた人を探してくれるって話ですよね?」
その人物を探す、というよりはその人物が狐坂ワカモなのかを調べるというのが目的だが、間違ってはいない。月雪ミヤコはどのように返すのだろうか。
「そうです。見つかる保証はありませんが、全力を尽くすと約束します。まずは、もう少し詳しい話を聞きたいのですが……」
真正面からそう言い切った彼女に、立木マイアの表情が明るくなる。
「は、はい! では早速……あ。」
そして今すぐにでもその友人の元に案内してくれそうな雰囲気があったのだが、何か問題があったかのように固まる。
「どうかしましたか?」
「えと、皆さんそのー……着替えとか持ってませんよね?」
立木マイアが妙なことを言い出す。
「すみません、着替えは持ってきていないですね。一応この制服自体は清潔な物を着てきましたが」
「そ、そうですよね……あの、その友達なんですけど……私と同じくらい、かそれよりも人見知りで……そのうえ、あの調印式の日にSRTの方に襲撃されたのをトラウマに思っているみたいなんです」
そう説明する彼女は、申し訳なさそうな顔をしていた。
「ああ、ユキノ先輩……は別か。でも、FOX小隊の先輩達のことですね」
「は、はい、多分そうだと思います。」
月雪ミヤコの確認に、彼女は頷く。 - 89選択 File②26/02/25(水) 01:20:05
「成程……そういう事であれば、仕方ないですね。一度出直しましょうか?」
そう言って月雪ミヤコは、後ろで待機していた隊員たちの方に振り向き、尋ねる。
「今からか? 結構面倒だぞ。服ならその辺で売ってるものを買ったりできないのか?」
「いやいや、サキ。ここトリニティだよー? 破産しちゃいそう……あ、それも良いかも……」
「そ、そんな高級服、私には勿体なくてとても……」
突然話を振られたからか、大いに脱線している。私が口を開こうとしたその時、背後から突然声がした。
「トリニティの制服であれば予備が何着かありますよ」
「……いつからそこに?」
いきなり現れた鷲見セリナに尋ねる。以前も似たようなことがあった記憶があるが、今回も何の気配も感じなかった。SRTの生徒たちどころか、向かって正面で話していたため後ろが見えていたはずの立木マイアすら驚いている様子だった。
「こんにちは、先生。丁度通りかかったところで、服が必要というのが聞こえましたので、お力になれるかなと思いまして」
服が必要という話が聞こえていたのなら、それから暫く話を聞いていたということだ、声を掛けられるまで全く気付かなかった。
これ以上この場で調査しようとすると帰れなくなりそうなので、それに関して指摘することは諦めた。 - 90選択 File②26/02/25(水) 01:25:38
「……えっと、あなたは?」
困惑していた月雪ミヤコがその表情のまま問いかける。
「はい。救護騎士団の2年生。鷲見セリナです。マイアちゃんの相談を受けてくださって、ありがとうございます」
「は、はい。ありがとうございます。私はSRTの月雪ミヤコで、この3人は同じ小隊の隊員です」
立木マイアに対してした正式名称での自己紹介ではなく、彼女は簡潔な自己紹介を行った。
「よろしくお願いしますね。それで、制服はどうされますか?」
「えっと、その、凄く助かります。お願いしても良いですか?」
まだ少しペースを取り戻せていないが、他校の先輩に彼女はどうにか頷いて答えた。
「はい、では少々おまちくださいね。」
そう言って、鷲見セリナはどこかへと去っていった。
「……ミユならあれマネできるんじゃない?」
風倉モエのからかいに、霞沢ミユは必死に首を振っていた。 - 91二次元好きの匿名さん26/02/25(水) 01:27:55
本日はここまで
本題にたどり着けず! - 92二次元好きの匿名さん26/02/25(水) 07:51:50
お疲れ様です!
うーん、さすがセリナだw - 93二次元好きの匿名さん26/02/25(水) 10:40:13
ミユは気配遮断、セリナはほぼほぼテレポートだもんなぁ…
- 94二次元好きの匿名さん26/02/25(水) 17:53:20
あ、そっかの他も「それホントにワカモ?」となるけど(特に①とかメタいけどお面被ってるモブ達の可能性のある訳で)②だけに明確にワカモが善行してる話だから気になってたのか
- 95二次元好きの匿名さん26/02/25(水) 22:46:57
よるほー
- 96書いてる人26/02/26(木) 00:05:34
申し訳ありませんが、今日の更新はありません。
明日は更新予定です。 - 97二次元好きの匿名さん26/02/26(木) 06:43:17
朝保守
楽しみにしてます! - 98二次元好きの匿名さん26/02/26(木) 12:30:49
ほー
- 99二次元好きの匿名さん26/02/26(木) 19:04:42
はやめのほー
- 100二次元好きの匿名さん26/02/26(木) 23:16:13
念のためほしゅ
- 101File2 証言①26/02/27(金) 00:37:43
「……ともあれ、体調は殆ど回復したようで何よりです」
「ありがとうございます。ここの皆さんにはとってもお世話になったので、ちょっとでもお役に立てていれば良いのですが……」
鷲見セリナが制服を取りに行っている間、立木マイアと近況報告がてら話をする。調印式での事件以降、今回の件の生徒以外で何人か、保護されたアリウス生徒がいたらしい。
しかし、全員がそろったわけでもなければ、アリウスに残っていた生徒たちが見つかったという報告もない状況だった。
一方、RABBIT小隊の生徒たちは、何か別件を離しているようだった。
「すみません、思ったより予備の制服の在庫が無くて、今すぐお貸しできそうなのは2着しかありませんでした。」
戻ってきた鷲見セリナは、頭を下げながらそう言った。立木マイアがそうであるように、トリニティの制服に身を包み、活動を始めているアリウスの生徒が増えているため、そういうことになっているのだろう。
「いえ、助かります。その……そもそもそのマイアの友達という子の状態を考えると大勢で押しかけるのも良くないとさっき思い至ったので……」
「あ……ありがとうございます。そうですね、その方があの子も落ち着いて話が出来ると思います。」
月雪ミヤコの礼と気遣いに対し、鷲見セリナも礼を返す。立木マイアも世話になっている彼女に続き頭を下げた。 - 102二次元好きの匿名さん26/02/27(金) 00:38:46
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- 103File2 証言①26/02/27(金) 00:43:59
「さて、そうと決まれば誰が聞き込みをするかですが、ミユ、誰と行きたいですか?」
「え? ミユが決めるのか? 3人で決めればよくないか?」
「私は別にどっちでも良いから好きに決めていいよー」
3人が口々に意見を述べていく。
「え? ……あ、あの……私は確定なんですか……?」
出遅れた霞沢ミユが慌てて抗議のようなものをし始めるが、
「え?……うん。ミユの意見でここに来たのだから、ミユは確定で良いと思う」
と、それが当然であるという様子の月雪ミヤコに、残りの二人が同意して頷く。それ以上反論する気力がなくなったらしく、彼女は肩を落とした。
「はい、私の勝ちー!」
結局残った3人でじゃんけんをして勝った者、ということになったらしく、空井サキが快哉を挙げていた、
聞き込みを行う二人が決まり、鷲見セリナはその二人を連れて更衣室へと案内していく。
しかし、誰が聞き込みを行うかという話のわりに妙に盛り上がっていた。
「ミヤコさん、なぜ聞き込みを行う人物選びで白熱していたのですか?」
気になり、尋ねてみると、
「……ああ、ええと。……くだらない話と言わないでくださいね?」
回答の前に月雪ミヤコはくぎを刺すようにそう言った
「はい?」
「トリニティの制服を着れるチャンスなんてめったにないじゃないですか。お嬢様学校ですよ? 一度くらいは着てみたいというものです」
まあ、負けたので着れないんですけど、と彼女は肩を落とした。
「……成程」
それは、私が分からない訳だ。思いがけない回答だったが、妙に納得した気分になった。 - 104File2 証言①26/02/27(金) 00:53:14
待つこと暫く。トリニティの一般生徒の制服に身を包んだ二人が戻ってきた。鷲見セリナは次の用事があるということで、二人を連れて戻ってきた後、再びどこかへと去っていった。
「先生、どうかな?」
戻ってきて早々、空井サキに尋ねられる。隣で霞沢ミユも黙ってこちらを見ていた。
「そうですね……とてもよく似合っていると思いますよ。どこから見てもトリニティの生徒にしか見えません」
私が素直な感想を述べると、空井サキどころか霞沢ミユからも抗議するような目を向けられた。私に何を望んでいるのだろうか。
「あっ……あの、先生、そろそろ」
2人と似たような表情でこちらを見ていた立木マイアが、役割を思い出したように言う。
彼女の友人が待っているはずだ。そろそろ行くべきだろう。
情報提供者が入院しているという病室に、立木マイアが先行して入室した。私ではなく別の生徒が聞き込みを行うことなどを説明するのだろう。
数分も待っていると、立木マイアから入室の許可が下りたので中へと入る。
室内で起き上がってこちらを見ていたのは、言われていた通り、立木マイアと比べてもさらに小柄な、髪を短く切りそろえた少女だった。 - 105File2 証言①26/02/27(金) 00:54:14
「こ……こんちわ……」
恐る恐ると言った様子で彼女は、入ってきた私たちに頭を下げた。隣を見ると、それを受けて空井サキが霞沢ミユの背を押していた。
「サキちゃん!? あ……えと、こ、こ、こんにちはっ……!!」
余程緊張した様子の霞沢ミユが、動揺しながら頭を下げた。そしてそれを確認した空井サキも、苦笑しながらそれに続いた。
「こんにちは。1年生の空井サキと言います。こちらは霞沢ミユ。それと……」
「マイアさんから話を聞いていると思いますが、今回引率で訪問しているシャーレの先生をやっている者です。よろしくお願いします。」
珍しい丁寧な言葉で、空井サキは卒なく挨拶や紹介を行った。彼女もまた、エリートであることを思い出す。
「あ、うん。えーっと、マイアちゃんが言うには、私の恩人を探してくれるって話だけど、ほんと、ですか?」
たどたどしい敬語で、少女が尋ねる。
「は、はい。あ……でも、その前に詳しくお話を聞きたくて……」
「あ、うん。そうだ、ですよね。えと、じゃあ、話しますね。最悪様の話」
「最悪様……?」
お互いに緊張しているからか、微妙に話が噛み合っていない状態で、アリウスの少女は話し始めた。 - 106File2 証言①26/02/27(金) 00:55:17
~~
あの作戦の日、本当に何が起こってるか分からなくて、聞いてた話と違うじゃん! って思いながら誰もいない路地を逃げてたの。
アリウスの生徒だと思ってた子がいきなり服とガスマスク取って別の制服になるし、目の前で友達が捕まっちゃって、あの時は本当に殺されるって思ってたから、必死で。サオリが撤退の指示を出すより早く逃げてた。
後から知った話だけど、あの時殆ど
偶々目くらましを持ってたのと、後、多分私ちっちゃいから、見つからなかったのかな。
でも、今自分がどこにいるかなんて全然分からなくて、躓いて転んじゃって。痛いし、怖いし、お腹すいたしで、動けなくなっちゃって、泣きながら蹲ってたんです。
しばらくそうしてたら、突然、声を掛けられたの。
「そこのあなた。少しお聞きしたいことがあるのですが」
いきなり話しかけられて、びっくりしてそっちを見たの。
そうしたら、少し変わった服装をしてお面を被った人がこっちに銃を向けていて。
その時、ああ、私ここで死ぬんだ、って思って……うーん、多分そこで気を失ったんだと思います。
~~ - 107File2 証言①26/02/27(金) 00:56:21
「その仮面って、どういうのだったか覚えてる?」
アリウスの少女による、仮面の人物が現れるところまでの話を聞き、空井サキが尋ねた。
「うーん……、その時のはあんまり覚えてない。何となく赤と白のお面だったと思うけど……」
「こういうの?」
狐坂ワカモがつけている狐面を見せると、彼女はそれをじっと見つめて。
「うーん……こんなんだったような、ちょっと違ったような……。ごめんなさい、思い出せないで
す。あ、でも、私が目覚めた後は、別のをつけてた。もっと、なんというか黒っぽいやつです」
と言った。彼女にとって見慣れない、異文化の仮面だ。上手く言語化できないのも仕方ないだろう。
それよりも、彼女の話を聞いていて気づいたことがある。空井サキや霞沢ミユが気付いていないようであれば、後で補足しておこう。
「成程? ……うん、そっか。話の腰を折ってごめん。続きを聞かせてもらえる?」
空井サキがそう言って続きを促すと、少女は頷いて再び話し始めた。 - 108二次元好きの匿名さん26/02/27(金) 00:58:34
本日はここまで
証言パートが難しい - 109二次元好きの匿名さん26/02/27(金) 07:35:21
保守
- 110二次元好きの匿名さん26/02/27(金) 07:35:46
一応気分によって仮面変えるみたいな事は描写されてるが黒っぽいお面ねぇ…黒服モチーフだったら黒服見てすぐ思い出すだろうが…うーむ?
しかし最悪様って… - 111二次元好きの匿名さん26/02/27(金) 15:41:58
保守
- 112書いてる人26/02/27(金) 20:40:45
月末恒例のまだ仕事が全然終わらなそうな雰囲気のため、本日更新できません…
- 113二次元好きの匿名さん26/02/27(金) 21:05:46
お疲れさまです
口調はワカモっぽい 銃構えるとかもしそうではある - 114二次元好きの匿名さん26/02/28(土) 00:13:23
ちょいちょい最悪様て
何て呼ばれ方してるんや - 115アール26/02/28(土) 01:31:02
- 116二次元好きの匿名さん26/02/28(土) 07:52:29
あさほー
- 117二次元好きの匿名さん26/02/28(土) 15:21:40
ひるほー
- 118二次元好きの匿名さん26/02/28(土) 22:09:39
よるほー
- 119File2 証言②26/03/01(日) 00:04:29
~~
目覚めた時、ああ、夢だったんだって思った。でも、どこから? って思って、そのとき、気づいたんだけど、柔らかい布団で寝てたんです。こんな布団で寝たことなんて無いし、自分がどこにいるのかもわからなくて。
でも、やっぱり夢じゃなかったんだなって言うのは分かったかな。
みんなはどうなったんだろう、とか、逃げた方が良いのかな、とか思ったんだけど、柔らかくて暖かい布団からどうしても逃れられなくて、ぼうっと天井を見上げてたんです。
しばらくそうしていたら、部屋に人が入ってきて、それは多分あの時私を見つけた人でした。
多分っていうのは、その……。仮面が多分変わっていて、ちょっと格好も変わっていたので、絶対とは言い切れないだけです。多分、声とかは同じのような気がします。
「あら、目覚めましたか」
その人は私が起きているのに気づいたみたいで、私に声を掛けてくれました。
スマートフォンを持って、何かを確認していたみたいですが、それはやめて、私の方を見ました。
「急に気を失ったから連れてきたのだけど、あなた、もしかして今話題のテロリストの一味?」
そう聞かれて、返事をしようとしたんだけど全然声が出ませんでした。たぶん、すっごく喉が渇いてたから。その様子に気付いたのか、その人は水を持ってきてくれました。
とっても、綺麗でおいしい水。見ただけでいつも飲んでいるものとは違う、と分かって……ここに入院してからはまるで当たり前のように飲ませてくれますケド、あの時の私にとってそれはとんでもないことで……
一息で飲み干した後、それが全部涙に変わるみたいにまた泣いちゃった。目の前の恩人が困ってるのは分かったけど、どうしても止められなかった。 - 120File2 証言②26/03/01(日) 00:05:30
涙が止まるころには、あの人はいなくなっていて、呆れられたのかな……って思ったんだけど、暫くしたらまた戻ってきてくれたの。
それも、お水のおかわりと、食べ物を一緒に持ってきてくれました。食べたことないような甘いお菓子で、また涙が出そうになったんだけど、その前に
「もう泣かないでくれると助かります」
とため息交じりで言われたので頑張って我慢した。でも、その位おいしかった。
それで食べ終わった時、まだ質問に答えていないことを思い出して、慌てて正直に答えたの。
「話題のテロリストというのが何かは分からないけど、アリウスの生徒です」
って。正直に言ったら何かされるかも、とも思ったんだけど、十分に良い思いはできたから、それでも良かったんです。何もかも虚しいと思っていたのに、赤の他人にこんなに優しくしてくれる人がいるんだって知れたから、それで。
でも、あの人は、それを聞いて、一際深いため息をついて。
「……今、私がとても機嫌が良くて助かりましたね。お友達のところに連れて行ってあげます」
って言いました。 - 121File2 証言②26/03/01(日) 00:07:16
どういう事だろう、と思ったんだけど、そしたらあの人はいきなり私を引っ張って後ろを向かせると、私に目隠しをしたの。それで多分何か箱みたいなものに入れられて、あ、でも全然息苦しいとかは無かったなあ。
抵抗も出来ずに、といってもする気もなかったんだけど。そのまま私は抱えられて、結構長い間、どこかに運ばれていました。
気づいたらまた私は寝ていて、身体を揺すられて目覚めました。
外に出された後、目隠しを外されました。えーっと、場所はここから100mほど離れた人気のない路地です。
「ここをまっすぐ行けばお友達に会えるわ。後は好きになさい」
と、そう言ってあの人はどこかへと行こうとしていました。慌てて、聞いたんです。せめて名前だけでも知りたくて、そしたらあの人は立ち止まって
「……さいあく」
って言ったんだけど、その後
「……いえ、名前など知る必要ないでしょう? 忘れなさい」
って、言われて……だから、それが名前なのかは分かんないけど、私は最悪様って呼んでいるんです。
その後、言われた通りまっすぐ進んだらそこにいたトリニティの子に見つかって……今は救護騎士団の子だってわかってるけど、すぐに捕まって、あの人の言う通り、それからすぐに……死んじゃったと思ってたマイアや、他の友達と再会できました。
あの人はきっと、探してほしくないと思ってるかもしれないけど、やっぱり私はお礼が言いたくて……ここまで詳しく話したのは皆さんだけです。
もし、あの人を見つけることが出来れば、私がお礼を言いたがっていると伝えてくれませんか? あの人が拒否したら、それはそれで良いから。どうか、よろしくお願いします。
~~ - 122File2 証言②26/03/01(日) 00:08:21
最後に頭を下げて、彼女は話を終えた。
「……あ、ありがとうございます。話してくれて。……えと、見つけられる保証は、その……できませんが、また必ず、報告に来ます」
霞沢ミユが少したどたどしく、しかし、意思を込めて証言者の生徒へと約束した。空井サキもそれに続き、マイアを除く3人で、病室から退室した。
そして、待機していた二人と合流し、外へと出て、 その足で、彼女が解放されたという路地へと向かった。
「期待はしてなかったけど、やっぱり何もないな」
路地を眺めながら、空井サキが言った。道すがら、証言について重要そうと思われるやりとりについては待機していた月雪ミヤコと風倉モエにも伝えていた。 - 123File2 証言②26/03/01(日) 00:09:21
「ちょっと、聞いても良いですか?」
その場所で、月雪ミヤコが言う。
「聞いていた3人は、どう思いました? その、彼女を保護したのは狐坂ワカモなのか、という話」
その言葉に、実際に聞いていた2人は思案顔になる。
「うーん……正直分かんないな。雰囲気とかはそれっぽい気がするけど、狐坂ワカモだとして、行動は謎だよな。あの子めちゃくちゃ感謝してたし、聞いてる立場からだと、めちゃくちゃ親切な良いやつって感じ? ただ、素性を隠そうとしてるのは指名手配犯だから、と言えばそれっぽいとは思うけど」
空井サキは、そう答えた。霞沢ミユも頷いている。あの証言者は話が特別に上手い部類ではなかったが、それでも実体験に込められた感情は真に迫っていた。
「そう? 又聞きだから正しいかわかんないけど、行動の違和感っていうのは薄れたかなーって思ったけど」
「え? なんでだ?」
「だってさー」
風倉モエはいつもと同じ笑みを浮かべながら続ける。
「その最悪様? がやったことって、普通に誘拐だよね。された側がそう受け取ってないだけで」
「……え?」
証言を直接聞いた二人が呆然としていたが、聞いていた本人では気付きにくいこともある。先ほど気付いたことと併せて私が指摘しようかと思っていたが、必要なかったようだ。
全員で証言を聞かなかったことが、寧ろ良かったのかもしれない。 - 124File2 証言②26/03/01(日) 00:10:22
「普通に推測だから、話半分で聞いてほしいんだけど。多分、その推定ワカモはさー、何でかエデン条約の調印式の日に何か目的があってトリニティにいて、そこで偶々倒れている怪しい人物に遭遇した、でも話を聞く前に倒れちゃったから、仕方なく誘拐した」
淡々と話す様子に、他の生徒たちがじっと見守っている。彼女の発言がそこまで注目されているのは珍しいような気がする。
「でも、あの子が起きる前に多分、推定ワカモはその知りたかったことを知ってしまった。あるいは、その情報が必要なくなってしまった。一日くらいあったなら、あの事件の表向きの顛末くらいは十分知れるはずだしね」
彼女の推測は筋が通っていた。なんの情報もない人物が、あの日、調印式の会場とされていた場所で爆発が起きたとしたら、何が起きているのか気になるのも当然ではある。それより問題は……
「多分その顛末は推定ワカモにとって都合が良いもので、だから気まぐれか、または同情心みたいなもので、水や食べ物をあげて、解放してあげた。その子はとても喜んでたみたいだし、勿論悪い事じゃないけど、捕虜や誘拐の被害者に飲食物を与える、なんて変なことではないしね~」
風倉モエが推測を話し終えた。空井サキと霞沢ミユは何も言えないようだった。彼女の推測に納得してしまったのだろう。
「……私も、似たような感想を持ちました。ただ結果的に、その人物が行ったのが善行になった、というのは間違いではないと思います」
月雪ミヤコが2人をフォローするようにそう言った。 - 125File2 証言②26/03/01(日) 00:11:24
「先生は、何か気付いたことはありましたか?」
「……ええ、そうですね、一つだけ。彼女が倒れた場所なのですが、恐らく設定していた立ち入り禁止エリアの内側ですね」
「何故ですか?」
彼女の証言を思い出しながら、続ける。
「彼女が逃げている途中、誰とも会っていないと言ったからです。エリアへ入る道には警備員がいたはずですし、実際警備を振り払って逃げていったという報告も上がっています。しかし彼女の場合はそうではありません。彼女を保護、あるいは誘拐した人物は立ち入り禁止エリアの内側に誰にも知られずに侵入し、それから人一人を抱えて同じく誰にも気づかれずそこから離れています」
当日の警備などの配置を決めていた私からの説明を聞いているうちに、その意味に気付いた生徒たちが目を見開く。
「彼女が本人か、そうでないか。確信は持てませんが、私は本人である可能性は高いのではないか、と思いますね。行動原理ではなく、『能力的な問題』、という側面で」
可能性が高いというより、私は殆どその人物が狐坂ワカモであること自体は確信していた。それが分かったとしても、分からないことはまだ多くあった。
「……本物だとしたら、ワカモはどうしてそこにいたんでしょうか。古聖堂を破壊しようとしていた、とか?」
「うーん……それだと、終わった後上機嫌だった、というのも気になるな。テロリストの気持ちは分かんないけど、獲物を横取りされたようなもんじゃないのか?」
生徒たちもそれに気づいているようだった。 - 126File2 証言②26/03/01(日) 00:13:04
「うーん……とりあえず今言えそうなことは、今回のワカモが本物だったとしても、何か解決するる訳ではない、という事です。調査に関しては、むしろ偽物だった場合の方が都合が良かったかもしれません」
月雪ミヤコは、路地で行われていた話し合いを、そう結論付けた。
「では、他のファイルの調査をしますか? と言っても、今日これから行くにはもう遅くなりそうです。今日のところは帰りましょうか」
私がそう言うと、生徒たちは素直にうなずいた。これで、一つ目の調査は終了となった。
翌日、RABBIT小隊が決めた2つ目の調査先は……
File① 「謎のお面の生徒に襲われました」
File② 「友達を助けてくれた人を探しています」 済
File③ 「狐坂ワカモに襲撃を受けた」
- 127二次元好きの匿名さん26/03/01(日) 02:42:41
災厄という言葉を知らなかったとか、聞き間違い辺りかな(日常会話で使うこともない単語だし)
安価なら③で - 128二次元好きの匿名さん26/03/01(日) 06:10:40
③で
- 129二次元好きの匿名さん26/03/01(日) 10:32:14
保守
- 130二次元好きの匿名さん26/03/01(日) 16:52:28
保守
- 131二次元好きの匿名さん26/03/01(日) 19:30:41
保守
- 132二次元好きの匿名さん26/03/01(日) 22:02:39
ほー
- 133選択 File③26/03/02(月) 01:45:04
「昨日先生と別れた後話し合ったんですけど、サキの言っていた、最後のファイルでしたっけ、あれを次に調べたいということになったんです」
翌日、RABBIT小隊の生徒たちが選択したのは、ヴァルキューレからの情報提供である、「狐坂ワカモから襲撃を受けた」というものだった。
「もちろん構いませんよ。ちなみに、理由をお伺いしても良いですか?」
「昨日も似たようなことを話した気がしますが、情報としては昨日のものと一見真逆で、こちらは一般的なワカモのイメージとしても適合しています。だからという訳じゃありませんが、もしこちらが本物の狐坂ワカモだったとしたら、すぐにでも彼女の身柄を確保しなければならない、という理由にもなります。なので、2択ですがこちらを優先しようと思います」
月雪ミヤコはそう言った。話し合ったというのはその通りらしく、集合していた他の隊員たちも頷いていた。
「ありがとうございます。では、早速ヴァルキューレへと行ってみましょうか。情報提供者は公安局です。」 - 134選択 File③26/03/02(月) 01:46:27
持ち物を取りに、RABBIT小隊の生徒たちを外に待たせ、一度事務所に戻ると不知火カヤがいた。
「今日はRABBIT小隊の子達とどこかに行くと言っていませんでしたか?」
「ええ、その場所が決まったので一度資料を取りに来たのです。今日はヴァルキューレに行くことになりました」
彼女からの質問にそう答えると、彼女は興味ありそうな顔になった。
「ヴァルキューレ? まさか公安局ですか?」
RABBIT小隊が狐坂ワカモの追跡をしていることは、彼女も承認を出している以上当然知っている。関連部署もそれで推理したのだろう。
「ええ、そうですね」
「……良ければご一緒しても? 公安局長とは顔見知りでして、一度会いたいと思っていたのです」
「それは……むしろ助かりますね」
丁度、ヴァルキューレへのコネクションが足りなくて困っていたところではある。顔見知り程度でも顔が利く者に同行してもらうのはありがたい。
「そうなのですか? では同席させてもらいますね。ちなみに、その資料というのは私が見ても良いものですか?」
少し考えたが、問題ないだろうと考え手を伸ばした彼女に書類を持たせた。 - 135選択 File③26/03/02(月) 01:47:32
不知火カヤを引き連れて外に出ると、真っ先にそれに気づいた風倉モエが、こちらに背を向けている隊長をからかうように口を開いた。
「ミヤコ、先生が大好きな先輩連れて来てるよ~?」
「え、ユキノ先輩!?」
月雪ミヤコが勢いよくこちらを振り向いた。
「なんだ、カヤ先輩か」
そして、彼女は露骨にがっかりとした仕草をした。
「いきなり失礼な反応ですね……」
「カヤ先輩、なんで一緒に来たんだ? 一緒に来るの?」
空井サキが茶番を無視して尋ねる。
「ええ、少し公安局長の顔でも身に行こうかと。彼女とは腐れ縁でして」
「え、そうなのか。……そういえば、カヤ先輩って結構偉い人だったよな。ミヤコと遊んでる印象しかなかったから忘れてたよ」
空井サキのその意外そうな反応を見て、不知火カヤは私を睨んだ。
「それだけ親しみやすい人物と思われているということです。良いことだと思いますよ」
私がそう言うと、彼女は溜息をついた。
「……正直、以前ほどそういう発言に腹が立たなくなってきたのが一層癪に障りますね」
私と不知火カヤのその会話を、RABBIT小隊の生徒たちは不思議そうな目で見ていた。 - 136選択 File③26/03/02(月) 01:49:06
―
ヴァルキューレ警察学校に着いた。受付にいた生徒は私よりもむしろ隣にいた不知火カヤに驚愕していたが、アポなしで行ったにも関わらず、しっかりとした応接室に揃って通された。
「カヤ先輩って本当に偉い人だったんですね」
月雪ミヤコが改めてそう言った。
「それ、先ほどサキさんにも言われたのですが、そもそも支部長なのですから貴女方より偉いのは当然でしょう」
不知火カヤはとっくに聞き飽きたとばかりにそう言った。
「あ、そう言えばそうでしたね」
「ミヤコさんが私に勝負を挑むのはそれが理由だったはずなのですが!?」
「そうでしたっけ? もはや日常になっていて忘れてました」
じゃれ合いにしか見えない二人の会話を眺めていると、風倉モエが近づいてきた。
「ミヤコって実際、カヤ先輩の事大好きだよね。多分、ユキノ先輩と同じくらいだよ、あれ」
私にそう耳打ちしてにやける彼女も、大概の性格をしていると言えるだろう。 - 137選択 File③26/03/02(月) 01:50:43
そうこうしていると、応接室の扉が開かれた。現れたのは長髪と警察らしい鋭い目つきが特徴の女生徒だ。恐らく彼女が
「お待たせしてすみません。先生、SRTの皆さん。公安局局長の尾刃カンナです」
謝罪とともに名乗ったのは、やはり公安局長であった。彼女は不知火カヤについて言及しなかったが、視線は明らかにそちらに向けられていた。
「こんにちは、カンナさん。お久しぶりですね」
不知火カヤはその視線にも、意図的に挨拶から外されたことも気にした様子を見せず、にこやかに話しかけた。
「……シャーレの先生に飼い殺しにされていると噂になっていましたが、その様子だとそういう訳でもないようですね。どういうつもりでいらっしゃったのか分かりませんが後輩を利用するのであれば看過できませんよ」
腐れ縁、と不知火カヤが語っていたのがよく理解できた。尾刃カンナは不知火カヤの不正を疑っていたか、ある程度何かを掴んでいて事実上の共犯状態になっていた過去があるのかもしれない。
そして、尾刃カンナのその発言に面白くなさそうな顔をしている者がいた。言われた本人は一切気にしていない。RABBIT小隊の生徒たち、中でもつい先ほど本人に対し失礼な発言を連発していた月雪ミヤコだった。 - 138選択 File③26/03/02(月) 01:52:01
彼女が口を開こうとしたが、不知火カヤがそれを制するように再度返事をした。
「何か勘違いしているようですが、今回私は挨拶に来ただけですよ。RABBIT小隊の皆さんが公安局に行かれるというので、そのついでです。そうですよね、先生」
「ええ、まあ。今回に関しては一言一句その通りですね」
不知火カヤに語調を合わせる。今回の目的を考えると、今の彼女の行動は正解だっただろう。
「それと、カンナさんに一言伝えたくて。……私は色々と諦めて一旦出直すことにしましたよ。最初は惜しかったですが、最近はそう感じることも減ってきたのも確かです。……生意気な後輩と新しい友人もできましたしね。カンナさんからは卑怯者にうつるかもしれませんが……後は『私の後輩たち』に任せるとしましょう」
彼女がそう言い終え、月雪ミヤコの方を見る。苛立ちを見せていたはずの彼女は少しの困惑がありつつも、本来の目的を思い出したようだ。
そして尾刃カンナも、自分の発言にSRTの生徒たちが怒りを見せていたことと、その後の不知火カヤの言葉に、何か感じるところがあったのか、戸惑った表情をしていた。 - 139選択 File③26/03/02(月) 01:54:16
「あの、すみません。ご挨拶が遅れました。SRT特殊学園の月雪ミヤコです。私たち4人でRABBIT小隊というチームを組んでいて、その隊長を務めています」
気持ちを切り替えた様子の月雪ミヤコが、改めて自己紹介をする。
「今日は、狐坂ワカモの目撃情報……というより被害報告について、詳しい話を聞きたくて訪問しました、よろしくお願いします」
そう言った彼女に続き、他の隊員もそれぞれ頭を下げた。
「……いや、失礼。みっともないところを見せました。色々と考えを改める必要がありそうです。こちらこそ、来ていただきありがとうございます。恥ずかしい話、狐坂ワカモについては、ウチだけでどうにかしたいという気持ちもありましたが、上層部は身柄の拘束にあまり乗り気ではない状況です。現行犯ならまだしもね。そちらが彼女の情報を集めていると聞いて大喜びでしたよ」
尾刃カンナも切り替えたと思いきや、別の方向性からまたも彼女の鬱憤が見え始める。妙に最初から喧嘩腰のように見えたのも、かなりストレスが溜まっているからなのかもしれない。
ともかく、ようやく詳しい話が聞けそうな状況になったらしい。 - 140二次元好きの匿名さん26/03/02(月) 01:57:16
本日はここまで
カルバノグ1章が無いのでカンナ出しました
SRT編なのにカヤの今の立ち位置表明回になってしまった
それなりに積み重ねが会ったことを表現できてたらいいなあ - 141二次元好きの匿名さん26/03/02(月) 06:55:12
最高
- 142二次元好きの匿名さん26/03/02(月) 08:55:45
ほんといい空気吸ってるなカヤちゃん...
ここのカヤちゃん好き - 143二次元好きの匿名さん26/03/02(月) 15:33:15
'-'
- 144二次元好きの匿名さん26/03/02(月) 19:52:09
保守
- 145二次元好きの匿名さん26/03/02(月) 22:41:04
よるほー
- 146書いてる人26/03/03(火) 00:55:36
本日は更新なしとなります。
明日更新予定です。 - 147二次元好きの匿名さん26/03/03(火) 05:40:59
保守
- 148二次元好きの匿名さん26/03/03(火) 12:18:37
ひるほー