君を母にする
かっこいいキャスニキは居ません。えっろい話でもありません。
すまない、お期待の物ではないと思うんだ。
エミヤがオカンしてる時だけ子供返りするキャスニキの話
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キャスタークラスのクーフーリンには妙な癖がある。マスターがそれに気づいたのはランサークラスのクーフーリンが召喚されてからだった。カルデアでの最古参はマシュとキャスタークーフーリンとそして、冬木で唯一呼べたアーチャーエミヤで、それはそれは長い事、この三人が主戦力として先頭に立ちカルデアを回してきた。少しづつほんの少しづつ仲間を増やし、四つ目の特異点を修復するまで、縁がなかったのかランサークラスのクーフーリン二人や古代ケルトのサーヴァントはこのカルデアに現界することはなかった。だから、マスターはキャスターの妙な癖を不思議に思いつつもそういうものなのだろうと流していた。それにクーフーリンを知るエミヤが案外あっさりとそれを受け入れてしまったからというのもあって、そんなものなんだろうと思っていたのもあった。そうこうしているうちにようやっとランサークラスのクーフーリンのうちエミヤと面識がある方が召喚され、キャスターのクーフーリンともエミヤとも顔合わせを済ませた後、それが起きたのは翌日のおやつ時だ。
「おい、槍なし」
「なんか言ったか、若造」
「ああ?テメェこそその弓兵に対してのその腑抜けた態度はなんだ」
「はぁ?」
ランサーとキャスターのクーフーリン同士による一発触発の雰囲気はキャスタークーフーリンの怪訝な声で霧散した。サーヴァント同士の衝突はカルデアでは珍しくはない。柔軟なのもいれば堅物なのもいる。その中でクーフーリンという人物は芯こそぶれることはないが、柔軟に周りに適応し円滑に物事を進めるタイプの人格を持つ。他クラスでの現界とはいえ同一人物がいるという状況にも容易く馴染んでいたように見えたからこそ、このことにマスターは酷く驚いていた。最もその驚きはキャスターのクーフーリンのとある癖をランサーのクーフーリンは持たないというところにもあったのだが。そもそもキャスタークーフーリンの妙な癖とはなにか、それに尽きるのだが、一種の幼児返りのようなそれに近い物だ。それは『エミヤが誰かの面倒を見ている時、エミヤに対して子供っぽい言動をする』というものだ。状況と相手が限定されるが、周囲の目があるところで繰り広げられるそれが始まったのはいつだったかマスターはあまり覚えていない。ただ、気づいたらそうなっていた。それを明確に浮き彫りにしたのが、ランサーが来てからというだけであった。
「ランサー」
「あんだよ」
「私もよくわからないんだが、キャスターの君のこれは無意識らしい」
「どういうことだ?」
「それこそ、私が知るわけないだろう」
どこぞの王妃は雛鳥のようだといった。どこかの海賊は質が悪いと吐き捨てた。とある王は居もしない母を求める子供と評した。けれどその癖はあまりにもカルデアの日常に馴染みすぎていて、たとえクーフーリンと英霊としてであったことがある英霊達もそんなものかと納得してしまった。とはいえエミヤ本人がそうであったかと言えばそうではない。彼はキャスターのクーフーリンのその癖に気づいた時は指摘していたが、本人がそんな言動をしているか?と首を傾げるのと、気付いた時期がまだまだ人手不足な時でもあったため結局なあなあで流してしまっていたという。ランサーのクーフーリンがあまりにもあんな同位体は嫌だというので、カルデアの映像記録を見てもらいないながら、癖を自覚してもらおうという話になった。
「なぁ、そんなにオレは子供返りとやらをしてるのか?」
「少なくとも私が知る限りでは言動が子供っぽくなるな」
「そうか」
「じゃあ、槍ニキも見たくはないだろうけど、当事者として一緒に見ようか」
「なんでだよ!」
「マスター、今日の夕食は」
「ブーディカ姉さん達に任せよう」
「では、それを伝えてから私はそちらに向かうよ」
「分かった。場所はマスタールームだから」
「ああ」
ぶつくさと文句を言いつつもマスターについていくランサーのクーフーリンといまいち理解していないらしいキャスターのクーフーリンを見送って、エミヤはブーディカを探しにその場から離れた。
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- なぎさんFeb 22nd