とあるカルデアの育児日記【保護者組編】
⚠︎名前は立香固定です。色々暴走ぎみ。幼児化有ります。基本立香ちゃんと英霊達の愉快なほのぼの話。
前回のシリーズを予想外に見て頂けたようで、本当にありがとうございます…!結局元に戻らなかった話の続き。
◻︎前回のアンケートでトップ独走した保護者組(一番手はエミヤ)編を始める事に致しました。
再びアンケート設置したので良ければぽちりとお願い致します。相変わらず微妙にシリアスとギャグ混じりで微妙な雰囲気です(続)とは書きましたがこれ本当に続いていいのかと((((;゚Д゚)))))))
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さて、立香幼児化事件から1日経ち、元に戻るだろうと思われていた彼女はどうしているだろうか。
毎日の日課で、バイタルチェック兼迎えにと向かった立香の部屋に断りを入れて入ったマシュの絶叫で、カルデア中の1日が始まった。
「…で、何でこうなっちゃったんだい…?」
昨日より再び管制室にて。
ゲンド○ポーズよろしく項垂れたロマニは、人差し指を口にくわえ、マシュの膝に大人しく鎮座している立香を見やる。
姿は二歳児のまま…どころか、髪の毛が四方八方に伸び、最早立香の表情が見えない程覆われていて別の生き物のように見えた。
立香を抱き上げたマシュが慌てて管制室に入ってきたのを見た日本人職員が女の子なのにと涙を浮かべてこう言った。
「スー○そっくりっすね…」
と。
ロマニはそのスー○が何か知らなかったが、うっかり検索で調べて泣いた。
うちの子はこんな毛むくじゃらじゃない…と涙を光らせる事しか出来なかった。
どうして元に戻らないのか、ロマニが慎重に立香を診断しても、やはり特に異常は見つからず、途方に暮れるしかない。
次の特異点がまだ見つかっていない事だけが幸いした事だろうか。
ともかく、こうして立香をそのままスー○にしておく訳にはいかない。
散髪してやりたいがマシュもロマニもこういうことは苦手な部類であった。
しかもこんな小さな子どもにハサミを持つなんて怖いにも程があるしもしもその肌に傷つけたりでもしたらと思うと自分の命がない気がする。
前日の件でカルデア中のサーヴァントに事が露見した事もあって昨日は大変だった。
千差万別あるとは言えお世話したいと名乗り出る半分の英霊がその任をかけてカルデアが崩壊しかけたとか笑えない話だ。
埒が開かないと結局、マシュとダヴィンチで立香が部屋で眠るまで護衛…子育てをしていた。
今日もそうなるのではないかとロマニは胃の底から重い息を抜いた。
「マシュばかりに立香ちゃんを任せるのは負担が大きい。小さい子の世話は初めてだろう?」
「…確かに驚きはしましたが、全然大丈夫です。先輩は先輩です。根本的なものは何も変わってません。むしろ私は嬉しいです。その、あまり幼児はカルデアでは縁がないので…」
「マシュ…いや、助かってるよ、ありがとう。立香ちゃんも君といて安心できるだろうし。ところで」
話を切り替えた瞬間、立香の小さいお腹からぐぎゅと控えめな腹の虫が鳴った。
今の時刻は朝の8時半。立香が起き出してからもう2時間半は経っているのだ、小さい身体にとってはそろそろ限界だろう。
疑問は残っていたがまあ特に問題はないだろう、後で聞けばいい事だ。
ロマニは立ち上がりスー○…いや立香に目線を合わせると、隈が酷い目で諦めたように笑い、告げた。
「ご飯、食べに行こっか」
と。
****
それから食堂に向かう途中、ロマニに肩車をされてご機嫌な立香だったが、初見の者にとってはロマニがもふっとしてるものに覆われている図しか見えず、背後を目撃した職員は
「oh.あれが噂のホラーSADAKO…」
と何故か感動したように独り言を漏らしていたし、朝が早い聖を担う者達はロマニにどこでそんな物の怪をつけてきたのか問い質し、キャスターのクー・フーリンなんかは立香をルーン魔術で燃やそうとし、アストルフォは笑い死にかけ、とにかくもう散々だった。
誤解を解き事情を説明した後で、食堂に着くなりざわつく一同の中、厨房に引っ込んでいたあの、あのエミヤでさえ小さく絶叫したくらいである。
ロマニは朝からもう1週間は働いたくらいに疲れ切っていた。
「ろま、いたた?いいこ、いいこよ」
毛むくじゃらの立香がロマニのつむじを優しく撫でる。
幼児とは恐ろしいものである。こんなにささくれて疲弊しきった心でさえ、その優しさと癒しが全て持っていってしまうのだから、神に愛される天使だと言うのも納得ができてしまう。
「大丈夫だよ、ありがとう」
「ろま、にこー、しゅるから、いつかもにこー、しゅるね」
「んんん゙っごほん、立香ちゃんは本当に良い子だなあ」
なでなでーと仕返しされる立香も大変嬉しそうで、マシュもそんな2人のやり取りを見て穏やかに笑う。
更にそれを見ていたエミヤがこめかみを手で押さえながら、ため息をひとつ。
「朝食が終わったら私と一緒に来たまえ、その髪の毛をどうにかしないといけないだろう、どこか既視感あるものに見えてならん…」
結局エミヤが散髪を請け負ってくれる事になり、1人の青年と1人の幼女は多目的室へと向かう。
圧倒的面倒見の良さから立香も懐いているエミヤなら大丈夫だろうとロマニとマシュがエミヤに彼女を託し、引き続きこの件の原因を調べるからと食堂で別れた。
原因が早目に見つかればいいのだが、とエミヤは思案するがその前に、この小さい命を守ってやらなければならない。
カルデアの危険区域、何かと教育によろしくない者、特にティーチ。特にだ。あと並々ならぬ想いをマスターに抱いている者。
後者は完全に犯罪案件だ、こんな小さなマスターが怯える事などあってはならない。
今、この役目を全うできるのは自分しかいないだろう。
そんな真面目すぎる使命感を背負い、エミヤは立香を連れて多目的室に入っていく。
…のを、渦めく黒い影が追っていく…所を更に見ていた王がいたのを、2人は知らない。
手先が器用なエミヤはスー○立香を座らせ要領よくハサミを髪に入れていく。
立香はご機嫌なままでたまによくわからない鼻歌だったり舌ったらずでえみやのまね、と投影魔術の真似や果てはフライパンの返しまでして足をぶらつかせて遊んでいた。
(やはりマスターは幼子と言えどよく見ているのだな)
ハサミを入れながらエミヤはその滅多に崩すことのない表情を、少しだけ崩していた。
それに、こんなに小さい女の子を目の前にして、どこか酷く懐かしくもあるのだ。
守ってやらねば、そうだ、これはーーーー
ちょきん、という音と共に前髪を切り終わる。覗いた彼女の美しく澄んだ瞳は、黄色とも黄金とも言えぬ形容しがたい綺麗な色に、自分が映りこんでいる。
少しだけそれがいたたまれなくて目を逸らすも、そんなもの彼女には関係がなく、えみや?ところころした声で呼んだ。
「…すまない、何でもない。さあ続きだ」
ちょきんちょきん、と静かなハサミの音だけが多目的室に響き渡る。
こんなに静かな時間を過ごしたのはいつぶりだっただろうか。自分にとっても、マスターにとってもだ。
最近のカルデアは常に喧騒、焦燥、たまに催しで溢れる賑わい、静かとは程遠い環境だった。
エミヤは考える。これは立香の魔力を奪った事故ではなく、カルデア全体のシステムが立香を故意的に休ませる為の必要義務で働いたのではないかと。
あくまで可能性としか考えなかったが、それでも彼女は最近何があってもいつも笑ってばかりで、今のように表情をころころ変える事もなく、大丈夫とも言わず、何も言わなかった…とはマシュから聞いた話だった。
立香は人間だ。信頼してる人間にでさえ、心を封じ込めるような、そんな痛ましい姿を少なくとも自分は望んでいない。
人類最後のマスター、その肩書きは酷く重く、「ヒーロー」にならなければという強迫概念。全て理解できるからこそ、彼女には自分のようにはなって欲しくない。
自ら厨房に立つのも、彼女がこの料理を食べて美味しいと笑ってくれるからであって、それ以外の何の理由もない。
せめて一時でも幸せであってほしい、と彼女のサーヴァントとして願うのだけは、許して欲しいとさえ思う。
「マスター…いや、立香」
「んー?なあ、にー?」
「君が心からの笑いを得るために必要な事は、私が手伝おう。だから、安心したまえ」
「んんー?いつか、むじゅかしい」
「はは、今は分からずともいいがね。君が思ってる以上にここの連中は君を放っておく事はしないだろうさ」
ちょきん、と最後の髪が切り終わり、いつもの立香と違わず愛らしい顔がはてなマークを一生懸命飛ばしていた。
さて、髪は切り終えたが、これからどうするか。さすがに女子のヘアアレンジには些か自信がない。
立香はそのままでも十分可愛いのだが、エミヤ的には、こう、料理で言う調味料のようなものが、何かが足りてないように思う。
「えみや、あいがと!ちゅー!」
「!!!!?」
どうしたものかと首を傾げていると唐突の幼女から頰にキス。エミヤは反応できずただただその触れられた頬を押さえ、驚きを極める事しか出来ない。
立香はえへへと照れたように無邪気に笑ってはいるが、これが自分以外の輩だったらどうすると今すぐ説教したい。がそれすらもできない。
せいぜい口を半開きにして言葉を詰まらせる事以外は。
その刹那、どこからともなく青白い光と黒い煙のような光がエミヤめがけて飛んでくる。
間一髪避けたが多目的室の壁は悲惨だ、後で修理しておく事にしようとどこか冷静に振り返れば。
「マスター!俺を呼んだな!」
「マスター!余を呼んだか!」
「…………」
唐突に現れた個性的の中の個性である保護属性、ファラオたるオジマンディアスと巌窟王ことエドモンに睨みつけられたエミヤが死んだ目で「呼んでいないが」と冷静に突っ込むまで、あと3秒。
果たして、立香のこれからは。
(続)
ロマニ&マシュとちび立香のトリオは微笑ましいなぁ。そして、ちび立香とエミヤはオカンと子供だよな、可愛いなぁ。(*´ω`*)と思ってたら、何かモンペが現れました…よ。( ̄▽ ̄;)ほのぼのが吹っ飛んだよ!