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願わくば賑やかな幸福を/Novel by 黄牙@腐のつくソルジャー

願わくば賑やかな幸福を

3,918 character(s)7 mins

メイン登場人物:エミヤ(赤弓)、紅閻魔、他お正月イベ関連鯖など
タグ分からなかったのでおかしかったら編集お願いします。
表紙素材:宵月さま(id=72706467)からお借りしました

 癒しのお宿にエミヤが自分から訪れることは絶対にないだろうなー、あのイベントのお宿に彼は行ってないだろうなー、紅閻魔ちゅんでもアラヤの英霊のところに出張は出来ないだろうなー(本人たちの希望に関わらず)
 ならばエミヤのために紅閻魔ちゅんにはカルデアキッチン教室開いて貰うしかない!という欲望が叶った話(ゲッシュ:自カルデアに居る鯖しか書かない)
 書いてるうちに気付いたのがこの二人が揃うとたぶん適度にお互いに仕事取り合い、譲り合い、気を使い合いそうだからこっちの「お願いだから休んで!自分が楽しんで!」って切なる願いが辛うじて叶ったという事…?なかなか全幅で任せることが出来ない不器用な人たちだなって切なくなった。信用されてないってことではないのだが力不足なのが悔しくなるなって代弁はブーティカさんが似合うと思ってる。

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「そろそろ蒸し上がったか……ふむ、紅閻魔殿確認をお願いしたい」
「はいでちゅ!ふむふむ、芯が残ってなくて水気もほど良くいい出来でちゅ。エミヤは見込みがあるでちね」
「そうだと良いのだが流石にこれほど大量に餅をついたことは無いからもち米の蒸かし時間の調整がまだまだだ。途中彼らを暇にさせてしまった」
「たしかにつき手のペースを読むことも大切でちがエミヤは予め釜に足す湯を沸かしておいたりと手際は見事でちた。蒸す場所も限られているし多少はしかたありまちぇん。自分達で行う時は待ち時間も一興というものでち」
 エミヤはミトンを嵌めると蒸し上がった二升のもち米を持ち上げる。
「ではちょっと渡してくる」
「残りは紅が見ていまちゅから餅を丸めるのを手伝ってくるでち。そろそろあちらの人手が足りなくなっているころでしょう」
「承知した。丸もちは他の者に任せて板餅を作るとしよう」
「むむう、紅としては丸もちに拘りたいところでちがカルデアは人数も多いでちから仕方ありまちぇん。そうちてください」
 手早く段取りを確認し終えたらスイングドアを背中で押して通り向ける。カルデアの食堂ではテーブルとイスを両端によせ開けたスペースに臼が7個、杵が10本用意され各々クラスごとに餅つきを楽しんでいた。エクストラクラスは適当に付き合いのあるサーヴァントに誘われた所で楽しんでいるようだ。
 人で溢れたフロアは外から見回してもいまひとつ現状が把握できない。
「玉藻の前、新しいものが蒸かし上がったがどこか空きはあるかな?」
「ランサークラスの部隊がちょうどつき上がったところですのであちらにお願いします。ちょっと道をあけて下さいな!通りますよ」
「承知した。助かるよ」
 前半はエミヤへ、後半はこちらに背を向けてにぎやいでいるサーヴァントに向けて呼びかける。サッと道を開けてくれた彼らと彼女に礼をいいエミヤは蒸籠を持ち直しランサーのサーヴァントが囲む臼を目指した。

「すまない新しいものが蒸し上がったので頼めるだろうか」
「丁度綺麗にしたところです。どうぞお入れくださいな」
 ランサークラスの臼は清姫が担当していた。
「キミはバーサーカークラスでは?」
「あちらにはキャットさんが居ますしそれにますたぁにお出しするのにバーサーカーの方々がついた餅はちょっと…」
「ああ……」
 エミヤが他と同じく木製で投影した臼と杵は狂スロットの一突きで粉砕され、次に石製で投影したものはカリギュラによって二つに割られ今彼らが使っているのは鋼鉄製だ。鋼鉄製の臼と杵ってなんでさ、風情がないにもほどがある。比較的理性的な面子が突くようにしてくれたおかげでなんとかあそこのクラスでも餅はつき上がっているようだ。

 すでに年が明けて1週間以上経っているというのになぜカルデアで餅つき大会が始まっているのか。年末にカルデアキッチン勢が用意した餅はそれなりの量があった。少なくともスタッフ及びサーヴァントに餅を入れた雑煮と汁粉を振る舞ってもおつりがでるくらいには用意したのだ。(受け取ってはもらえなかったが彷徨海の方々にもいくらか用意した)
 それでも餅を追加で作ることになった切っ掛けはマスターとマシュによる雑煮談義(関東風関西風、すまし汁白みそ赤みそ、丸もち角もち餡子もち)だったろう。聞いたサーヴァント達は自分はこれが食べたい、いやあれがいい、それも捨て難いとなった。その時は餅もないことだし今年はこれで勘弁して欲しいと押し切ることが出来た。彼らも大部分が話題にのっただけ、相伴にあずかれれば僥倖という程度だったのだろう、あっさりと引いてくれたのだ。
 それが年明けの特異点修正でマスターと縁を結んだ紅閻魔がカルデアの召喚陣に現われた。彼女を連れてキッチンにやってきたマスターは
「ねえエミヤ、餅つきなら手伝うからあの話今からでもなんとかならないかなぁ?」
 そう言ったのだ。つまるところマスターも食べ比べがしたかったのか。そうか。
 紅閻魔1人の増援は普通のお料理サーヴァント100人、いや1000人力で、確かに不可能はなかった。だが日本に溢れる雑煮の種類を全て作るには餅が足らない。どう考えても無理だった。やっと腰を落ち着けることのできたマスター、マシュを始めとした人間のスタッフ諸君を労いたい気持ちはやまやまだし紅閻魔の技を盗み見るチャンスを捨てるのも惜しいと頭を抱えるキッチン勢に誰が投げかけたか「だったら全員でつけばいいんじゃね」「餅つき?おもしろそう」「マスターには自分が突いた餅を!」「俺のも食べてくれるよな?」「いいえマスターには私が!」
 そうして紅閻魔歓迎会(全サーヴァント クラス対抗餅つき大会)は決行された。

 エミヤがもち米を臼に開けると清姫が手早くまとめ杵を持ったサーヴァントがさっそく潰すために陣取る。
「ほいほいっとこんなもんかね。さあ次はだれがつく?」
「キミはもうついたのか」
「え?わ、私?私は別にこんな餅つきなんて……」
「一度くらいやってみるのもいいだろう。ヘクトール殿杵を貸してくれ」
「はいよ」
「持ち方は槍を持つのとさして変わらないよ。そう、そのまま持ちあげて」
「えいっ!  ひゃあぁぁぁやってしまったのだわぁぁ!」
 振りかぶった杵を思い切り振り下ろしたエレシュキガルが叩いたのはもち米ではなく臼の縁。彼女の悲鳴のような声にランサークラスで餅つきをしていた面々が振り返った。
「あちゃーやっちまったか」
「あるあるってやつですね」
「はっはっはっディルムッドもやっていたからキミがやってしまうのも仕方ない」
「主!それはすでに過去の話です。確かにこのディルムッド初めての時は…」
「はいお二人はこっちでね。ほらお前さんが教えてやんな。経験者なんだろ?おじさん腰が限界だし」
「ん?あーじゃあお手本見せてやっか!」
 杵を受け取ったクーフーリンは腕まくりの動作をして臼の前に立ち杵を軽く顔の前あたりまで持ち上げるとそのまま下ろした。
  ぺったん
  ぺったん
  ぺったん
  ぺったん
  ひょい
「っとこんな感じな」
「こんな感じでいいのかしら?」
 へったん
「そーそー、つくときは腕の力じゃなく杵の重さに任せるんだ」
「え、ええ」
  へったん
  へったっ
  ぺった
  ぺた
「返し手は毎回手を出す必要はありません。杵の落ちるところの餅がつけたらついてない所を持ってくる感じで…今です!」
「はいっ」
 いつのまにか返し手に控えていたブリュンヒルデに清姫が合図をだす。
  ひょい
  ぺったん
「きゃー!」
「うまくいきました!」
 餅をつく良い音が出たことに2人が喜びの声を上げる。
  ぺったん
  ぺったん
  ぺったん
  ひょい
  ぺったん
  ぺったん
  ぺったん
  ひょい
「そろそろつけているのではないかね」
 臼の中にぽってりと鎮座する餅は表面なめらかで触ったら指がどこまでも沈んでいきそうな柔らかさを醸し出している。
「片栗粉を打った台の上に載せて端の方…そうだな親指1本分くらいの所を掴み絞るように切っていくとちょうど良いサイズになるだろう」
「掴み絞る…首をもぎるようなものですか」
「例えが物騒だが上手にできているな。自重でつぶれるからもう少しドーム型になっていても大丈夫だ」
「おらあ!」
「止せ!ハンバーグではないのだから潰すんじゃない!」
 賑やかなフロアにちゅんちゅんと雀の声が響く。
「ちちゅん!お餅はできたでちか?絡みを色々用意ちまちたから取りに来てくだちゃい」
「紅ちゃんごめんねー1人でやらせちゃって」
「大丈夫でちゅ。お餅を整えるのは人手がいりまちゅからね。ブーティカはどの絡みがいいでちゅか?」
「…そうだなあ、あたしはゴマときな粉を試してみたいかな。でも加減が分からないからこっちで一緒にやってもらえないかな」
「そうするといいのだワン!あとはこのキャットが代わるぞ」
「そうでちか?でも1人は大変でち……」
「ならば大変不服ですが私も一緒に先生の代わりを務めますのでどうぞ先生はフロアの方で他の方々のご指導を願います」
「女狐と一緒なのはキャットも不満だがここは仕方ない。キャットが大人の対応という物をみせてやろう」
「ええ、ええ、見せていただこうではないですか」
「不肖この巴もお手伝いいたします」
 火花を散らしながらキッチンへと入っていく二人の後を巴御前が回収した杵を担いで追いかけていく。
「一人で持つのは大変だろう。私も――」
「はいはいアナタはこっちよ。ほらあそこの風流野郎はあんころ餅を大量生産してるからほっとくとアンコぜんぶ使われちゃうわよ。ヘラクレスもなぜだか分からないけど巨大丸もちを積み上げてるし……」
「おそらく雪だるまだな。ヘラクレス、杵を枝代わりに刺そうとしたり臼をバケツ代わりにするのは止めてくれ。小次郎殿、餡で包むのではなく乗せる程度にしてくれないと足りなくなるかと」
「――――!」
「ははは、これだけ種類があるのだしアンコがなくなったならそちらで食べるのもよいかと思ってな」
「アーチャー、私は出来ればすべて味見してみたいのですが!」
「それは構わないよセイバー、ただ最初は2個程度にして他の者にも行き渡ってからお代りをしようか」
 気付けば手の空いたサーヴァントが机を並べ直し銘々寛いでいるし、お茶もいつの間にか用意されている。
「おーい、全員モチは行き渡ったか?ほんじゃ」

「「「「「いただきます!!」」」」

Comments

  • 無限ループ
    January 29, 2019
  • さきは
    January 22, 2019
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