眠る前に、大切な記憶を一つ捨てる。
その代償で得る力。
この時点で残酷なのに、物語はさらに踏み込む。
現れた“倒せない敵”――
黒脈重兵(ヘモ・ガード)。
記憶そのものを奪い、
主人公の力の仕組みを理解している存在。
これは単なる強敵ではない。
“能力のメタ構造”を知る敵だ。
剣もスキルも通じない。
ドラゴンさえ無力。
逃げ込んだ王都で始まるのは、戦闘ではなく調査。
医療院、禁書庫、観測の中心。
バトルファンタジーでありながら、
物語の主戦場は“情報”と“仕組み”。
同行するセリスは問い詰めない。
忘れていく“今”を、代わりに覚えている。
強さと人間性の綱引き。
捨てるか、守るか。
これは「強くなる物語」ではない。
「捨て方を学ぶ物語」だ。