大峡谷で行われるゾラ・マグダラオスの捕獲作戦には、調査拠点のほぼ全員が参加することになっている。
ハンター以外にも、そこでの事象を事細かに記録する編纂者、バリスタなどの兵器を整備する技術者、彼らへ食糧や水を行き渡らせる支援者など、役割は多岐にわたる。
それはそれとして、アステラに残る人材も必要だった。作戦中、拠点を完全な無人にしてしまうわけにもいかない。
あの龍の図体では、最悪の場合、峡谷が崩壊して誰も帰ってこれなくなる可能性すらある。そんな時の保険として、最低限の人員に拠点を託す。
そんな中で私は、その最低限の人員に選ばれて、今は古代樹の森を歩いていた。
先日まで拠点の近くで暴れていたアンジャナフは、五期団のハンターの手で捕獲されたらしい。つまり現状では、陸路は安全ということになる。でも、何者かがアンジャナフの縄張りを奪いに来ないとも限らない。
古代樹の森の視察は必要な仕事だ。こういった裏方の任務は四期団が担ってくれることが多いけれど、私に任されたということは、それだけ信頼されているということでもある。
「はぁ……」
それでも、どうしてもため息をついてしまう自分がいた。
十年前の、見たことのない景色や生き物に憧れを抱いていた頃の自分はどこに行ってしまったのだろう。
それらに対する感性が失われてしまったわけではない、と思う。そうであれば、編纂者としての活動を続けていられないだろうし、手帳を手に取って何かを描くのは楽しいと感じる。
ただ、十年前とは状況が変わった。考えなければいけないことが、増えすぎてしまった。調査団を巡る事象の最前線に立つのが、少し怖くなっている。その意識は、これまでの編纂者としての活動にも表れていたのかもしれない。
かつての指切りの約束を思い出す。使い込まれたレザー装備を着る女性との記憶。
フィールドマスターとの連絡も、取れていない。むしろ、私が大峡谷へ行かなかった理由はそこにあったのかもしれない。彼女がいる可能性が、あったから。
四期団のハンターから聞いた話によれば、彼女は数年前にアステラに顔を出したっきり姿を見せていないそうだ。大方、大峡谷の向こう側でずっと調査をしているのだろうとのこと。
誰も、遭難したとか命を落としたとかの可能性を考えていないのが、かえって彼女らしいと言えた。命とは時にあっけなく散ってしまうものだけれど、彼女ら一期団の人々にはそういう理を自ら踏み越えるかのような力強さを感じる。
そんな彼女のことを考えると、自然と目を逸らしたくなってしまう。
だって、今更どんな顔をして彼女と向き合えばいいのだろう。
子どもの頃の約束は、待ちきれずに外に出て大怪我をして現大陸に運ばれるという、最悪に近い破り方をしてしまった。私から話を持ちかけておいて、これだ。
今の私には、彼女と一緒に行動したり、話をする資格も、勇気もない。ただ、接触を避けることしかできないでいる。
総司令やソードマスター、料理長に対しても同じような振る舞いをしてしまっていた。
彼らが今でも息災なのは純粋に喜ばしいことだ。でも、過去の出来事をなかったことにはできない。
私が十年前のあの少女であることは彼らも察しているだろう。今は何も触れないでくれているだけ、ありがたいのかもしれなかった。
「…………うん?」
遠くに垣間見える大峡谷の、その内側で今まさに繰り広げられているだろう迎撃戦のことを思いながら森の中を歩いていた、そのとき。森のどこかで何者かの咆哮が聞こえてきた。
トウゲンチョウなどの鳥たちが一気に空へ飛び立つ。穏やかではなさそうな雰囲気だ。
緩んでいた気持ちを引き締めて、いつでもその場から逃げられるように閃光弾をスリンガーにセットし、ポーチの中の回復薬の場所を改めて確認してから動き出す。
古代樹の森にはキザシヤンマなどの小さな生き物たちが数多く生きている。彼らは周囲の環境の変化に敏感で、特に大型の生物が近くにいると挙動を変えるので、こういうときにはよい指標になる。
彼らを頼りにしつつ森の中を歩んでいくと、だんだんと咆哮が鮮明に聞こえるようになってきた。
この特徴的な声には聞き覚えがある。十中八九、蛮顎竜アンジャナフだ。
調査団の懸念が本物になってしまった。今アステラの生態研究所でいびきをかいて寝ている個体とは別の、縄張りを奪いに来た個体だろう。大方、大峡谷の近くに住んでいたのがゾラ・マグダラオスの気配に当てられて下ってきたか。
地響きや、木が揺れる音も聞こえてくる。どうやら他の大型種と争っているようだけれど、相手が何なのかは分からない。
今に至るまでのそれなりに長い時間、暴れん坊の彼と渡り合える存在と言えば、雌火竜リオレイアだろうか。でも、彼女が相手ならその声も聞こえてくるはずだ。
悪い予想だと、同種同士という線も十分にあり得る。そうなると正直、手に負えない。今調査拠点にいる人員で対処しきれるかどうか。
騒ぎの音が近くなってきた。
極力見つかることのないように、背中の鞄から隠れ身の装衣という迷彩服を取り出して羽織る。さらにツタの葉を頭から被って、景色への同化を試みる。
なるべく茂みに紛れ込めるように。ほとんど気休めのようなもので、注視されればすぐに見つかってしまうけれど、何もしないよりはいい。
アンジャナフが暴れた跡は、何本かの若木がへし折られていて、身を隠すには丁度よかった。怒声はもうすぐそこだ。
双眼鏡を取り出して、木々の隙間からかの竜の姿を探す。…………いた。
桃色と黒の体色は森の中でよく目立つ。アンジャナフの気性を体現しているかのようだ。
対する生物は……見当たらない。
もしリオレイアが相手でこの森では保護色になるとは言っても、これだけ近いなら見分けがつくはずだ。同種が相手なら言わずもがな。
アンジャナフも敵を見失っているようだ。しきりに周囲を気にしている。よく見ると、首や脚から血を流していた。さらに喉袋は真っ赤に染まっていて、背中の羽まで展開されている。
怒っている。それだけかの竜を追い詰めたということだ。相当なやり手のようだが。
もしかして、リオレウスか。過去の記憶が一気に蘇って、身体がこわばる。
震える息を吐いたそのとき、アンジャナフの近くの木々が揺れて、そこを何かが高速で駆け抜けていった。
はっとしたのは私もアンジャナフも同じだ。間髪置かず、その木々に向かってアンジャナフが火を吐いた。
ごばっと枝葉が逆立ち、その合間を火炎が吹き抜けていく。成木なので炎上まではしなかったが、もし生物がいればたまったものではないだろう。私であれば間違いなく木から落ちている。
だが、肝心の目標は捉えられていない。煙を立ち昇らせる樹木には何もいない。苛立たしげに唸ったアンジャナフの、その背後に影が踊った。
「!」
一閃。アンジャナフの背中の羽が切り裂かれ、鮮血が舞った。アンジャナフは悲鳴を上げ、反射的に振り向いて噛みつく。が、それは空を切っている。
浅く切り刻まれたかのような背中の傷は、どちらかと言えば刃よりも棍棒によるそれだ。傷を負わせた張本人は、軽い足音で地面に降り立つ。その体毛は青白く、明るく。
トビカガチだ。アンジャナフとトビカガチが、この騒ぎを引き起こしていた。
ハンターが傍にいない今、ここは危険だ。情報を得た時点でここを離れるべきであることは分かっていたけれど、私は彼らの縄張り争いに目が離せずにいた。
トビカガチは目撃数こそ少ないものの、古代樹の森にはよくいる大型の牙竜種だ。
たしか、五期団が来てから既に二度捕獲されている。同一個体ではなかったはずだから、それなりの数が生息しているのだろう。
今アンジャナフと争っているのは、そのうちの一匹だろうか。でも、ハンターから聞いた話によれば、トビカガチとアンジャナフでは基本的に後者に軍配が上がるはずだ。体格差が大きいため、それを覆すのは難しいのだろう、と。
しかし、目の前で繰り広げられているそれは、トビカガチがアンジャナフを翻弄しているように見える。
トビカガチの喉元を狙って、アンジャナフが二度三度と噛みつきにかかる。大きく飛び退いてこれを躱したトビカガチは、坂の上から鋭く尻尾を振るう。
またアンジャナフが怯んだ。見れば、腹部に針のような羽が突き刺さっている。さっきの動作でこれを飛ばしたのか。
無論、それだけでは牽制程度にしかならない。高所を取られたのであれば、その足場ごと突き崩す。そう言わんばかりの豪快さで、地面を抉りながらアンジャナフが迫る。
どんっとその体躯がぶちあたると、ここまで振動が届いてきた。がらがらと壁が崩れる。もしそこに生物がいれば、きっと致命傷は避けられない。
しかし、それで動揺するトビカガチではない。またも事前に飛び上がり、気付いたときには器用にアンジャナフの背中に飛び乗っていた。そして、その尻尾に向けて牙を突き立てる。
また血が舞った。アンジャナフは苦悶の声を上げ、滅茶苦茶に暴れ回る。その場で二転三転し、起き上がったかと思えば尻尾を振り回す。
それだけで周囲の木々が傾き、草花は潰れる。五期団のハンターはこの暴れ竜をよく捕獲してみせたものだと、ひしひしと思った。
もしトビカガチがすぐに離れていたとしても、翼を持っていない限りは巻き込まれそうな暴れ方だった。実際、アンジャナフはそれを狙っていたのか、荒い息をつきながら地面を見渡す。
そしてそこに、トビカガチはいない。
アンジャナフはそれに気付いた時点で、上空を見るべきだったのだろう。
トビカガチは翼を持たないが、左右の前脚と後脚を繋ぐように飛膜を持ち、滞空することができる。
自身の身が危なくなるとふわりと宙を漂い、またアンジャナフの背中に降り立つ。そんな曲芸めいた技を何度も繰り広げたトビカガチの尻尾は、眩いほどの静電気を湛えていた。
今、赤熱化して炎が漏れ出ているアンジャナフの頬を、トビカガチの尻尾が強かに打ち据える。
それはアンジャナフの最大の武器であり、同時に明確な弱点でもある。ばこん、という音共に咥内が炸裂し、今度こそアンジャナフが倒れる。鼻の骨も砕かれ、血が溢れ出している。
死ぬまでは至らないだろうが、大きすぎる痛手だ。素人目の私から見ても決着がついただろうことが分かった。
トビカガチは相手の命まで奪うつもりはないのか追撃をせず、しかし油断なく構えている。
しばらくして立ち上がったアンジャナフに、先ほどまでの勇猛さはなかった。
二歩、三歩と後退って、身を翻して歩き去っていく。ちょうど大峡谷の外れに向かう方向だ。あれなら遠征中の調査団と鉢合わせることもないだろう。
私たちアステラ残留組に課せられていた難題は、このトビカガチが解決してしまったことになる。
かの竜はしばらく帯電状態を保ったままだったが、やがてふるふると首を振ると地面に尻尾を下ろし、電気を逃がしていつもの状態に戻る。
もし調査団に捕獲されていた個体であれば、脚か首に印がつけられているはずだ。それを見たいが、見つかるわけにもいかない。遠目に観察だけして、帰って報告書にまとめようか────。
帯電状態が解かれた尻尾と背中は、いびつな毛並みをしていた。
────あれ、は。
あれは、火傷の痕か。
自然にはあんな風にならない。それは捕獲された個体を観察していれば分かる。個体差の範疇を越えているように思える。
羽や毛そのものというよりも、それを生やす皮膚が爛れて、そのまま成長してしまったような毛並みだ。まるで、何かに焼かれたかのように。
そして、そんな目に実際に遭ったトビカガチのことを、他ならない私だけが知っている。
「……!」
トビカガチがこちらを向いた。
隠れ身の装衣が見抜かれたというよりも、私の過失だ。恐らく双眼鏡の光が反射してしまっていた。薄暗い森の中できらりと光るものがあれば、誰だって目を向けるだろう。
スリンガーに装填された閃光弾をさする。この竜相手に指笛でメルノスを呼ぶのは得策ではないか。一応ハジケぐるみも採取してきているけど、それを当てることができるかは別問題だ。
そんなことよりも、心臓が早鐘を打っていて咄嗟に行動できる気がしない。
だって、だってあのトビカガチは。
トビカガチは一気に飛びかかるでもなく、立ち去るでもなく、静かにこちらに向かって歩き始めた。
その挙動にますます混乱してしまう。そんな近寄り方は知らない。獲物を狩るような忍び寄りでもない気がして、本能が警鐘を鳴らしてくれない。
……いや、むしろこれは、過去の記憶が警戒を阻害しているのか……。
枝葉を頭から被ったような恰好のまま、俯いたようにその場から動かない私は、傍から見れば自失しているようにさえ見えただろう。
気付けば、トビカガチはもうすぐ目の前まで近づいていた。
赤水晶のような、透き通った瞳が私を見つめる。私は抗いようもなく、その目を見つめ返す。あまり竜と視線を合わせてはいけない。そんな基本すら忘れてしまっていた。
そのまま襲われても仕方がないと思った。逃げていかない私を警戒しての行動だとすれば、それは私が愚かなだけの話だ。
あるいは、単に好奇心かもしれない。だとすれば、私の今の反応はきっとつまらなくて、そのうち立ち去ることになるだろう。
過去の記憶に囚われているのは、私だけだ。
もしあの子が生きていたとして、あの日々のことを覚えておく義理はない。忘れていても、それを私が責めることなんてできない。
むしろ、忘れていてほしいまであったのかもしれない。生きていればそれで。そう思っていたはずだ。……そのはずなのに。
自分の心の内が分からない。分からないから今、立ち尽くしている。
トビカガチが私を見つめている。私は少し、視線を逸らした。
すん、とトビカガチが鼻をすすった。私の肩が小さく跳ねた。
そのまますんすんと匂いを嗅いだトビカガチは、目を閉じて、頭を下げて。
とん、と私のお腹を小突き、頭を軽く擦り付けた。
「…………あぁ」
それは、だめだ。
本当にたくさんのことを、思い出してしまうから。
急にいろんなことが起こりすぎて、混乱して涙が出てくる。けれどその涙は、現大陸で流していたものに比べれば、不快ではないものだった。
私のことを、覚えてくれていたのか。断定はできないけれど、他の竜種どころか同種でも、こういう触れ合い方をすることは滅多に起こりえない。
それが勘違いであろうとなかろうと、この涙は、過去との繋がりを私が勝手に感じてしまっているからなのだろう。
トビカガチもずいぶんと大きくなった。立派な成体どころか、同種でも大きい部類に入りそうだ。
背中の傷を見る限り、生き抜く上で相当に大きな苦労を負っただろうに、それでも生き残っていてくれたのだ。
そして、その苦労を負わせたのは、他ならない私だ。間接的とはいえ、何も言い逃れはできない。大きすぎる古傷を見て、ぎゅっと胸が締め付けられる。
私にこんなことを言う資格はないのかもしれない。それでも、口から自然と言葉が零れる。
「あの日はごめんね。大変な思いをさせちゃってごめんなさい……」
トビカガチの身体にそっと手を伸ばし、撫でる。
アンジャナフの血で汚れていたけれど、グローブ越しなので洗えば大丈夫だ。この状況でもグローブ越しでないと触ることを戸惑ってしまいそうなことが、私があれからさまざまなことを学んだ成果であり、代償でもあるのだろう。
私が手で触れるのを、トビカガチは拒まなかった。されるがままになっている。
さっきあんなに苛烈にアンジャナフを追い払ったのに。ともすれば、少し心配になってしまうくらいの態度の変わりようだった。
竜に荒らされた森の中に、風や木擦れ、平穏の音が戻ってくる。それが感じ取れるくらいの時間、私とトビカガチは一緒にいた。
十年間想い続けた。その歳月に対して、この再会の時間はあまりにも短かった。もっとずっと、せめて一日くらいはこうしていたいと思った。
けれど、今の私は。調査団としての今の私の立場が、それを許してはくれない。
明日までにアステラに戻らなければ、その理由の説明が求められる。不在のまま数日経とうものなら、偵察や捜索隊が組まれるような事態になってしまう。
周りが優秀な人たちばかりだから忘れがちになるけれど、新大陸はそれだけ危険な場所だ。人ひとりの命くらい、あっさりと呑み込んでしまえる。いつ誰がいなくなってもおかしくはないから、人員の管理をしっかりと行っている。
日はもう落ちようとしている。そろそろ身支度をしないと、明日の帰還が遅くなってしまう。そんな風に、どこか冷静に事象を見る私がいた。
むしろ、夢が現実になってしまったかのような、この状況になって初めて、現実のさまざまなことが思い浮かび始めた。
その最たるものは、トビカガチが今いるこの場所が、調査団の観測範囲内にあるということだ。もちろん、ハンターの探索や狩猟が許可されていることになる。
このトビカガチは、私に対してはこのように警戒を薄めているような様子を見せている。しかし、他の人々に対してはどんな反応を見せるか分からない。過去の私の記憶でも、そんな機会はなかったから。
もし他の人には好戦的だったりすると、かなりまずいことになる。
調査団は基本的にモンスターの討伐を推奨していない。とはいえ、それで人的被害が大きくなってしまっては元も子もないので、あくまで努力目標の範囲に留まっている。
実際、瀕死になっても生き足掻こうと暴れるモンスターがここには多く、討伐報告も少なくなかった。
今まで調査団と直接見えることがなかっただろうトビカガチが、もし、狩猟対象になってしまうことがあったら。
その可能性を思いついたとき、心の底からしんと冷えるような恐怖が染みわたった。
頃合いだ。私はトビカガチをそっと引き離す。湧き上がってきた手の震えを気取られたくなかった。
そして、逡巡する。なにかと幼かった過去は何気なく接していたが、今は現実というものを知ってしまった。これから私がしようとすることに、意味はあるのか。
やがて、首を振る。しゃがんでトビカガチと目線を合わせ、言い聞かせるように告げる。
「……今日は私、帰るね。できれば、私以外の人とは出会わないように気を付けて。あなたは強いけど、それでも怪我をしてほしくないから、ね?」
トビカガチの赤い瞳に、吸い込まれそうになる。
伝わっていない。当たり前だ。以前、一緒に森に行ったときの意思疎通できているような感覚は奇跡というか、ほとんど偶然だ。
それでも言葉にしたのは、私自身に言い聞かせるためだ。きっと大丈夫だと、せめて口に出して言わなければ、彼の傍を離れたくなくなってしまいそうだったから。
静かに後退り、そして踵を返す私に、トビカガチはついてこなかった。
それはかつて、修練場予定地で私を見送ったときのように。しばらく私の後ろ姿を見送り、やがて深い森へ溶けていくように立ち去っていく。
しばらくして私がこっそり振り向いたとき、もうその姿は見えなくなっていた。
ひらひらと舞う白い羽毛が、彼が確かにそこにいたということを示していた。