呑み比べ
「まあユキちゃんが飲むと大変そうだよね。いろんな意味で」
「そうなのですわ?」
「うん。こう……一人飲酒運転で走ったらシャレにならなそうというか……ふと思うけど元康くんがお酒を飲んだ状態で馬車に乗ったら飲酒運転なのか? ユキちゃんが飲むと飲酒運転なのか……どっちだ?」
「ユキさんではないですかー? 別にその人、乗ってるだけですし、まあ車輪出して進んだらアウトでしょうけどー」
ウサギ男が酔ったようにお義父さんの疑問に答えますぞ。
「そう……だね」
「ではどんどん行きますよー」
「ヴォフー! みんなが俺の領地に来たことを祝ってー!」
グビグビっとヴォルフの掛け声で俺たちはどんどん酒を飲んで行きましたぞ。
そうしてどんどん酒は運び込まれてみんなどんちゃん騒いで行ったのですぞ。
で、ゴロンと泥酔したウサギ男が寝転がっております。
経験の差か一番に潰れましたな。
最後近くはケタケタと笑っていましたな。
「ぐー……」
「テオが寝ちゃったか、あまり飲みなれて無いからしょうがないかな」
「ヴォッフ! 一人脱落!」
ヴォルフが勝利のポーズを取ってますぞ。
寝転がるウサギ男にお義父さんは軽く掛け布団を掛けましたぞ。
「ウサギ姿のまま寝てるね。亜人獣人って酔いつぶれると本来の姿になるとか法則あるの?」
寝ているテオの寝顔がなんか可愛いねーと言いながらお義父さんはパンダに聞きますぞ。
「ああん? 人それぞれさね。酒は魔力が回復する効果があるから余計な力が入る意味で獣人姿になるのも居ればリラックスで変身するのも居るさね」
「そっか、じゃあ酔い潰して正体を現すって訳でもないのか」
「魔物なら化けの皮が剥がれるって話があるさね」
「なるほど、その辺りが亜人獣人と魔物との違いという感じか」
「まだまだ飲むー! ヴォッフー」
「ふん。お前の思い通りに等させんぞ。そもそもどれだけ酔わせようとしても酔わない奴とどうする気だ」
「ヴォフ、夜が更ければ何もなければ眠くて寝てくれる。それを待つだけ」
「なるほど……考えたな」
バチバチっとワニ男とヴォルフがにらみ合いをしながら酒をどんどん飲んで行きますな。
所でユキちゃん。
「はい元康様! もっと飲んで欲しいですわ」
負けじと俺の杯にどんどんお酒を注いで行くのは良いのですが、飲み過ぎると俺が酔ってしまいますぞ。
「飲みますぞー」
ですがユキちゃんの期待に応えねばなりませんな。
ちなみにお義父さんは寝ているウサギ男のにこやかな寝顔の髭をチョイチョイと弄って遊んでおります。
「吐く感じがしないから大丈夫な酔いつぶれ方かな? テオも結構健康になったもんだ」
酒は一番弱いですがな。
とは思いましたが下戸って程ではないので伸びしろはありそうですぞ。
「プハー! ヴォッフ!」
「まだまだー!」
グビグビと飲んでいくヴォルフとワニ男なのですぞ。
「まあシオンもストレスたまってるのかな? 珍しい飲み方してるよね。エクレールさんはそこまで飲まないしなー」
「騎士様はエルメロに領地経営の指揮で負けて愚痴って潰れた事あるさねー」
「ああ、なんかラーサさんと飲んでるなーって思った時があったけどその件か。しかし結構、ヴォルフとシオンも粘るなー」
部屋には沢山の瓶が転がって来てますぞ。
「とはいえ、これはこれでなんかみんなで旅行してる感じがして楽しい様な気もする」
「そう思ってるのはアンタだけな気もするさね」
「そう? あ、二人ともお酒だけってのはあんまりよくないからついでに何か食べるんだよー」
「ヴォフー」
「わかっている」
お酒のつまみとばかりに残り物も持って来て貰ってきているのですぞ。
「ただなんていうか、西洋のファンタジーのお城で狼男やリザードマン達と楽しく宴会ってのも雰囲気は良いかもね」
お義父さんはそんなやり取りを楽しそうにしております。
「部屋に送迎は今回しなくて良いみたいだし」
「ぐー……岩谷様、むにゃむにゃ」
寝入っているウサギ男を背もたれにしてお義父さんはパンダと飲み交わし続けるのですぞ。
「当主の部屋で飲み明かすなんて一族はどう判断するか見物さね」
「ヴォッフ! 問題ない!」
ヴォルフが杯をパンダに向けて言い切ったのですぞ。
盾の勇者様歓迎の宴なのですべて不問になるという事なのでしょう。
「ヴォフー! 腕立て高速50回!」
「ふん! 受けて立とう! 槍の勇者もだ」
ヴォルフとワニ男が勝負をして負けた方が飲むルールで争っていますぞ。
「負けませんぞ! ブルンブルン!」
腕立てですぞー! ガクガクですな!
「わー完全に酔っぱらってるなー」
「もっとヤレさね」
パチパチっとパンダが拍手してますぞ。
「で、アンタはアタイで何してるさね」
「え? まあほろ酔いのラーサさんが似合いそうなアクセサリーの試着?」
「チッ、しょうがないさねー」
機嫌がよくなっているパンダはお義父さんに色々とつけられてますぞ。
「俺が一番に50回達成ですぞー!」
今回の腕立て勝負は俺の勝ちなのですぞ。
「さすが元康様ですわ! はいですわ」
「おうですぞ! グビグビ……あれ? ユキちゃん、勝ったからには飲まなくて良いのです……ぞ?」
ユキちゃんが勝っても負けても俺にお酒を進めて下さるのですぞ。
ダメですぞ。ユキちゃん。
このままではヴォルフ達に負けてしまいますぞ。
まあヴォルフ達も負けたので飲んでいるから差し引きではどうにかなるはずなのですぞ。
そんなこんなで夜はどんどん更けて行き、お義父さんのあくびの回数が増えて来てうつらうつらし始めたのですぞ。
お義父さんは寝ずにいることが多いですが、こういう場では退屈になるのか居眠りを始めてしまうのですな。
そんなお義父さんをしり目に俺とワニ男、ヴォルフの勝負は続いているのですぞ。
グビグビと負けじと飲んでますが、今夜のヴォルフは妙に強いですぞ。
喋る前のヴォルフは泣き上戸になってバンダナを頭に巻いて裂いていたのに、勝負を続けております。
「ぐ……まだ……くうう」
小さな勝負で負けたワニ男が豪快に樽から酒を飲んでおりますぞ。
「うおおおお!」
「元康様ー! 凄いですわーはい。もう一杯ですわ」
「うう……ユキちゃん、勝った時は飲まないのですぞ」
時々ユキちゃんが勝ったのに俺にお酒を出して飲む様におねだりするのがかなりハードなのですぞ。
潰れる……前にもあったような気がしますが、ユキちゃんを悲しませるわけにはいかないのですぞ。
くじ引きやじゃんけん、カードゲームと勝負は続いて行きますな。
勝敗に関してはみんな同じくらいですぞ。
ここはどれだけ酒に強いかが結末に差が開きますな。
「すー……」
お義父さんは既に寝ており、ウサギ男とパンダに寄りかかっておりました。
寄りかかって寝るお義父さんをパンダは何やら優しい目で微笑んでいるように見えますが気のせいですかな?
「おうおう、根性が見えるねぇ」
パンダは高みの見物とばかりにすべての勝負後に合わせて酒を飲んでいますが潰れる様子が無いのですぞ。
お姉さんのお姉さんがお義父さんを除外すると化け物並みに強いですがパンダも相当なのですぞ。
酔い潰すとモードチェンジしますが、そこに届かないのですかな?