イランの報復攻撃、イスラエルにとどまらない可能性 対象拡大の懸念広がる

イランの首都テヘランで立ち上る煙=28日(ゲッティ=共同)
イランの首都テヘランで立ち上る煙=28日(ゲッティ=共同)

【カイロ=佐藤貴生】イランは米国とイスラエルの攻撃に備え、さまざまな形で報復の準備を進めてきた。攻撃が体制を脅かす規模になれば、イランの報復対象が拡大し、中東全域に影響が広がる事態も懸念される。

カタールやバーレーンに米軍

欧米メディアは、イランが周辺国にある米軍駐留拠点を本格攻撃するシナリオを有力視してきた。イランの最高指導者ハメネイ師に直属する革命防衛隊の幹部は1月下旬、周辺国が領空や領土を対イラン攻撃に使わせれば「敵対的」とみなすと警告し、報復を示唆していた。

ペルシャ湾岸のカタールの空軍基地には1万人規模の米軍が駐留し、米海軍第5艦隊の司令部があるバーレーンにも米兵約5千人がいる。両国の基地から米兵数百人が避難したとの観測もある。

攻撃の応酬となる公算

イスラエル軍が米軍とともに攻撃に踏み切ったことを受け、イランは報復としてイスラエルへの反撃を開始した。2024年以降、イスラエルはイランと複数回交戦しており、今回も防衛と反撃の「準備を完了した」(19日付イスラエル有力紙ハーレツ)とみられていた。

イランのイスラエルへの報復が激化すれば、攻撃の応酬となる公算が大きい。イランは昨年6月の交戦の際、少なくとも弾道ミサイル200発をイスラエルに発射し、同国では約30人が死亡、3千人超が負傷したとされる。

「非対称戦」仕掛ける構図

ハメネイ師は2月中旬、「軍艦より危険なのは、それを海底に沈める兵器だ」と述べ、攻撃を受ければ反撃する意向を示した。

英BBC放送(電子版)は、イランが多数の自爆型無人機や高速艇で近海に展開中の米軍艦を波状攻撃する可能性を指摘していた。総合力では太刀打ちできない米軍に非対称戦を仕掛ける構図だ。

BBCはまた、イランがエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡に機雷を設置し、航行を阻む作戦も選択肢に挙げた。世界で取引される原油や石油関連製品、液化天然ガスの2割前後がホルムズ海峡を経由しており、石油危機や原油価格の高騰を招く恐れがある。

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